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テニス上達メモ124.何とかしようと意識せずに「ただ聴く」


▶「言語指令」がテニスを下手にする

 
テニスでいう集中とは、頭の中であれこれ考えないこと。
 
つまり、「ひざを曲げよう」「ボールとの距離はこれくらい」「軸を保たなきゃ」などのセルフトークをやめること。
 
セルフトークの「言語指令」が増えれば増えるほど、テニスのパフォーマンスは下がります
 

▶「ほんとノロマなんだから!」

 
これは、車の運転で考えると分かりやすいのです。
 
たとえば助手席に座っている嫁が、「ほらそこ、右入って!」「サッサとハンドル切りなさいよ!」「ほんとノロマなんだから!」などと言う。
 
これでは夫は、運転に集中しにくくなりますね(笑)。
 
急に右へハンドルを切ると、本当に事故にもなりかねません。
 
事故になると、ノロマどころか余計に時間を費やします。
 

▶エネルギーの「分配」をしない

 
頭の中に言語的な指令が増えれば増えるほど、パフォーマンスはそのぶん低下する。
 
脳は言語を司る領域を働かせると、運動を司る領域に、全エネルギーを注げないのです。
 
おしゃべりが、運動(見る、聴くなど)に対する集中力に、横槍を入れるのです。
 
私たちの持っているエネルギーは、精神も肉体も有限。
 
それを分配せずに1箇所に集める力が「集中力」です。
 

▶「ラリーのリズム」をよく聴く

 
言語領域の働きをオフにし、運動領域に全エネルギーを注がせる。
 
ただ、言うは易しで、つい色んなことを考えてしまうのが、私たち人間です。
 
そしてそれが、テニスの上達を阻害します。
 
練習の手習いとしては、ラリーのリズムを演出する「音」に耳を澄ませます
 
バウンド音やインパクト音に集中すると、頭の中では考え事ができにくくなります。
 
逆に頭の中でいろいろ考えていると、音に集中できません。
 
今、空調などに耳を澄ませてみれば分かります。
 
音に集中すると、頭の中の考えごとはしにくくなります
 
逆にこの文章を読んでいる最中、空調の音を認識していなかったはずです。
 

▶ジャッジメントを脇に置いて「ただ聴く」

 
ただし、「このインパクト音は良い」「さっきのインパクト音は悪かった」などと、ジャッジしないでください。
 
ジャッジするとまた、セルフトークが始まります。
 
人との会話も同じです。
 
会話を始めると私たちはすぐに、「そんなのだめだよ」「もっといい方法があるのに」「この問題を解決するには」「なんて言い返そうかな」などと、口には出さないとしても頭の中でジャッジメントに入ります。
 
すると相手の話を聴いているようでいて、「聴いていない」のですね。
 

▶人との「会話」は集中力を育むよい練習


「その考えは間違っている」「こうしたほうがいいのに」「本当にそのとおりだよね」などと、口を挟むどころか頭の中でも考えずに、善悪なども抜きにして、「ただ聴く」のです。
 
良い悪いなどとジャッジメントしないでいると、聴くのがすごく「楽」だし、人の悩みを1時間聴いていても疲れないし、こちらを攻撃するような話を聴かされても、「面白い」といったら語弊がありますけれども、結構「楽しく」聴いていられます
 
「そんなの間違っている!」
 
反論の反撃をすると、それは自分に対する攻撃にもなる。
 
相手を殴れば、自分のこぶしも負傷するようなものです。
 
つい私たちは、口を挟みたくなりがちです。
 
実際に口を挟まないまでも、頭の中で考えてしまいがちです。
 
それが、セフルトーク
 

▶「聴覚的集中」は便利


日常生活でも「ただ聴く」聴覚的集中は便利です。
 
もちろんテニスにメインで使うのはボールを見る視覚的集中でしょうけれども、いろいろ用事がある日常生活では、ひとつの対象に目を凝らし続けるのは難しいかもしれません。
 
しかし聴覚的集中なら、あれこれ動き回りながらでも、音はつねに身の回りで鳴っているから、聴き続けることができます
 
歯磨きなら歯磨きの音に集中。
 
本当に何も音が鳴っていなかったら、呼吸の「スーハー」を聴きます。
 
そのとき頭の中で「今日は何をしようかな」などと考えたとすれば、それがセルフトーク。
 

▶考えないと「生産性」が上がり「上達の2軸」が達成される


「ただ聴く」。
 
「そんな聴いているだけじゃなくてちゃんと考えないと、生産性が落ちるんじゃないの?」などと、考えるでしょうか?
 
否。
 
頭の中の思考は多くがネガティブなストレスですから、それがなくなるとすっきりして、かえって新たな気づきやアイデア、ひらめきを得やすくなるのです。
 
生産性が上がるとは、テニスで言えばすなわち、「上達の2軸」がハイスピードかつハイレベルで達成されるというわけです。 
 

▶「ただ聴く」「ただ見る」難しさ

 
ただし、言うは易し行うは難しで、「ただ聴く」「ただ見る」が、いちばん難しいのです。
 
そこに「賛成反対」「善悪」「是非」「良し悪し」といったジャッジメントを下す癖を、私たちが持ってしまっているからです。
 
ですから、「ただ聴く」「ただ見る」ができるようになるための「集中力(≒考えない)」を鍛えると、テニスはレベルアップするのです(※注1)。

そのためには繰り返しになりますが、人との「会話」は集中力を育むよい練習になります。

ただしこの問題をどうにかしようなどと、「意識」しなければ

言語を操れなかった幼少期を除けば、「ただ聴く」は、人によっては人生で「初体験」かもしれません。

※注1
念のため付言すると、たとえば頭で考える必要のある試験などでは、思考に意識を集めるのが集中。

深く考える場合は、目を閉じたり耳をふさいだりするのも有効でしょう。

「集中する対象」を間違えないことが、テニスも仕事もできるようになるポイントです。

▶結論:人生の「彩り」だった


結論です。
 
テニスに集中したいなら、セルフトークをやめること。
 
運転に集中したいなら、命令口調の嫁を黙らせることです(笑)。
 
ただ後年、独り身となった私としては、今思えばそういうパートナーがいてくれたことも、人生の彩りだったと顧みます。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero