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質問130:それこそ集中できないのではないか?

(※ご質問内容を一部編集して「執着」とあったところを「こだわり」に変えています)
テニス上達メモ275.テニスにこだわらなければ、テニスは上手くなる」のコラムを興味深く読みました。
確かに周りの人を見ると、そのような感じがある気がしました!
ただ、テニスに勉強にほかの趣味にと気持ちを分散させると、それこそ集中できないのではないでしょうか?

回答


▶テニスについて考えると、テニスが下手になる

 
そうではないのです。
 
テニスにこだわってしまうと、たとえば仕事中や勉強中にも、テニスについて考えてしまうことがあると思います。
 
寝るときでも、今日のテニスのミスを思い出しては反省や分析をし、眠りに集中できなくなる
 
するとどうなるかというと、仕事や勉強や睡眠、その他いろんな対象に集中できない癖がつくから、やっぱりテニスにも、集中できなくなるのです。
 
集中できない癖とは、「考える癖」とも言い換えられます。
 
そしてそれは取りも直さずこちらで述べている「思考型テニス」なのです。
 

▶「よく学び、よく遊べ」


集中のキーワードは「今」。
 
「今・ここ・この瞬間」への没頭こそが、過去や未来へ意識を分散させない集中です。
 
ですから、あるひとつのことにこだわってしまうと、たとえば仕事中にも昨日のテニスや明日の試合について考えてしまいます
 
そうしてあらゆる対象への集中力が落ちやすくなるのです。
 
学ぶときは学びに没頭、遊ぶときは遊びに集中。
 
「よく学び、よく遊べ」のほうが、集中力は上がるというわけですね。
 

▶ほかの教科を勉強する「内職」はなぜ起こるのか?


「学び」にこだわると、「遊ぶ」ときにも「学ぶ」ことが気になる。
 
「遊び」にこだわると、「学ぶ」ときにも「遊ぶ」ことが気になる。
 
そうして集中力が落ちてしまうのです。

授業中にほかの勉強をすることを「内職」などと言いますね。

なぜそんな専門用語があるかというと、誰しも心は「移り気(非集中)」がデフォルトだからです。

「国語」の授業中には「数学」が気になるかと思ったら、「数学」の授業中には「国語」が気になって、結局どっちにも集中できず、どっちつかずになりかねません

その心のさまを、猿が木から木へ引っ切りなしに飛び移る様子にたとえて「猿心」などとも、専門用語では言われます

▶肝心なのは「こだわり」ではなく「集中力」


肝心なのは、ある特定の対象へこだわるのではなくて、どんな対象にも発揮できるご自身の集中力です。

当該メモでも述べました。

強い上腕二頭筋力があれば、腕相撲も、お姫様抱っこも、介護補助もできるイメージ。

ですから、テニスの上手い人が必ずしも「仕事もできるわけではない」けれど、(集中する対象さえ間違えなければ)テニスができる人は仕事もできる(可能性がある)と言えるのです。

▶「こだわりの味」にこだわると?

 
「こだわりの味」にこだわると、ほかの味を味わえません。
 
ほかの味を食べているとき、「こだわりの味」を思い出して頭の中で比較したりする(考えたりする)から、味わえないのです。
 
「意識」と「舌識」はトレードオフなのでしたね。

ほかにも「眼耳鼻舌身意(げんにびぜつしんい)」のそれぞれに、認識・識別の「識」という字を当てて、すべての感覚と思考は相容れない相関です。 

いつも同じたとえ話で恐れ入りますが、この文章をある程度集中して読んでいるとき、空調の「」が鳴っていたかもしれないけれど、よく聞こえなかったはずです(「意識」と「耳識」のトレードオフ)。

ですからテニスも、フォームや打ち方などを「意識」しているとき、ボールをよく見る「眼識」は機能しなくなる(集中できなくなる)のです。

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