テニス上達メモ139.すごい触覚
▶ラケットを短く持って「触覚」を研ぎ澄ませる
前回の「耳を澄ませば」の話は、音情報の「聴覚」を利用したテニス上達法の一例でした。
今回は「触覚」編。
インパクトの手ごたえを、微に入り細に入り感じ分けて、当たった衝撃の大小、硬軟、清濁を感じ取ります。
やることはただそれだけで、フォームや打ち方などは一切気にしないというのが、この練習法のポイントです。
工夫として、グリップではなくシャフト側の付近を短く持ちショートラリーなどで行なうと、打球感がダイレクトに手のひらや腕へ伝わってくるので、不慣れな人にはよいかもしれません。
▶インパクトを感じる触覚
インパクトの瞬間は、目では絶対に見えないけれど、手のひらで感じることができるという点で、触覚は場合によっては、視覚以上に情報収集力が優れます(関連記事「インパクトの瞬間は見えない」)。
目に見えないような小雨の降り始めなども、皮膚に触れたりした触覚は、すぐさま感じ取れたりしますからね。
こちらでご紹介しているボール積みなども、目のピントを毛羽に合わせて集中はしますけれども、見た目のボールバランス以上に、触覚がコントロールしていると思います。
恐らく見た目のボールバランスで積もうとすると、騙されます(2球は乗っても3球は乗らないでしょう)。
私の丸いプロフィールアイコンも、やや左へ傾いているように見える?(やはり、上から目線とボール目線の間には、目に見えないギャップがあるのです)。
とはいえ、目をつぶるとやっぱり積めないでしょうから、後述するとおり、各感覚器が「協働している」と言えます。
ボール積みについて、「かくかくしかじかのテクニックを駆使して乗せている!」とでも胸を張って言えればかっこいいのでしょうけれども、潜在意識がやっている仕業なので、なぜ積めるのかは正直なところ、私にもさっぱり分かりません(関連記事「潜在意識の働きを活性化する最大のポイントは、『分からない』というのが、最大のポイント!?」)。
▶打球感に集中する
ボールをこすったりホールドしたりするインパクトの感触なども、手のひら感覚や腕に受ける衝撃などを通じて、脳へ伝わります。
とはいえ実際のプレーでは、打球感にこだわる必要はありません。
打球感に対する触覚的集中は、ボールをよく見て打球タイミングを測る視覚的集中と、トレードオフの相関だからです。
つまり打球感を意識すると、ボールの回転が見えなくなります(関連記事「集中するときのポイント。『どれかひとつ』に的を絞る」)。
ただ前回、耳栓をするとプレーしにくいことを確認したとおり、意識しなくてもバックグラウンド(潜在意識)では視覚とともに、聴覚も触覚も協働して、ボール情報を受信しています。
それが証拠に「軍手」をするなどして触覚をあえて鈍らせたら、やっぱりテニスのプレーは難しくなるでしょうからね。
▶大事なのは「発信」ではなく「受信」
大事なのは、どうやって打つかの発信ではなく、ボール情報の受信。
つまり「受け身」なのです。
自ら働きかけようとしなくて、よい。
ですから努力感も頑張り感もない「無」です(関連記事「無心は誰もが「経験済み」」)。
ただボール情報を、「見取る」「聞き取る」「感じ取る」だけです。
▶無とは「自分をなくすこと」
テーマから逸脱しますが「無になる」、言い換えればセルフトーク(考えごと)をなくすとは、「自分をなくす」ことでもあります。
勝ちたい、負けたくない、上手く打ちたい、こういう理想的な自分でありたい、かっこいい自分でありたいなど、「こうありたい自分」をなくし「こうなったら嫌な自分」をなくす、つまり欲と怒りからの遠離が「無」。
▶「努力」や「頑張り」は発信のベクトル
発信しようとすればするほど、自分(セルフトーク)が出てきてしまいます。
発信と受信とでは、ベクトルはまったくの逆。
発信しようと意識するほど、ボール情報の受信はおろそかになってしまう相関です。
ですからテニスが上手くいかないという人は、努力したり頑張ったりしないでください。
それでは、上手くやりたい欲と、上手くできない怒りによって心が動揺し、自分でどうにかしようとする自分(セルフトーク)が出てくる発信になってしまいます。
▶ナイスキャッチでナイスショット!
セルフトークのない集中が「無」であり、どうにかしようとする自分が出てくる「有」が非集中の相関。
繰り返しになりますが、テニスを上手くプレーするうえで大事なのは受信(受け身)です。
視覚、聴覚、触覚、場合によっては嗅覚(関連記事「ジョコビッチ、『匂い』を嗅ぐ」)といった五感でボール情報をナイスキャッチすれば、精緻な体は適切に機能、反応してくれてナイスショットを打ってくれます(関連記事「小自然の体がプレーするテニスだから、自然体だと上手くいく」)。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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