テニス上達メモ025:できないのは「苦手」ではなく、単に「不慣れ」?
▶バックハンドが「苦手って本当」?
特にテニス初級者のうちは、バックハンドに苦手意識を持つ人が少なくありません。
いわく「力が入りにくいから」。
いわく「日常生活にない動作だから」。
とはいえテニス上級者になると、「フォアよりもバックのほうが得意」「安定する」という逆転現象がよくささやかれます。
▶片手打ちバックハンドは「パワフル」
苦手意識の原因は先述したとおり、「バックは力が入りにくいから」が、特に片手打ちだと多そうですけれども、フォアのスイングが「押す」とすれば、バックの「引く」力のほうが、バイオメカニクス的にはよりパワフルです。
学生時代、体力測定の背筋力テストで、200kgに針が振り切るクラスメイトもいました。
ノコギリの刃が押すときよりも、引くときのほうがより切れるようにデザインされているのは、バイメカとして理にかなっているからでしょう。
片手打ちバックハンドだから力が入らないというのは思い込みです。
ロジャー・フェデラーも、スタン・ワウリンカも、ステファノス・チチパスも、両手打ちに負けず劣らずのショットを繰り出します。
ピート・サンプラスはピーター・フィッシャー博士の助言を受けて、14歳のときにバックハンドを両手打ちから片手打ちに変更しました。
どちらがいいというわけではないですし、プレーヤーの好みやプレースタイル、時代の流行りにも委ねられるのですけれども、いずれにしても「片手打ちバックハンドは力が入りにくい」というのは事実ではありません。
▶単に「慣れていないだけ」
力は、入るのです。
引く動作は、日常生活にも皆無ではありません。
だとすれば「苦手」というよりも、単に「慣れていない」だけではないか、と疑われます。
「苦手」と「不慣れ」の混同。
大勢の人前で話した経験が少ないなら、それはスピーチが「苦手」というよりも、スピーチに単に「慣れていない」だけ。
料理を数回しか作ったことがないなら、それは料理が「苦手」なのではなく、単に「慣れていない」だけ。
▶捨てられない?
私は基礎的集中力を高めるためによく、「モノを捨ててみては?」と提案します。
そうすると「私、捨てるのが『苦手』なんです」と返ってくるケースが少なくありません。
使っていない明らかな不用品さえ「捨てられない」と言うのです。
よくよく聞いてみるとそういう人は、捨てるのが「苦手」というよりも、自ら積極的に捨てるという経験をあまりしてこなかったのであり、単に「慣れていないだけ」だったりするのです。
なので捨てるのに慣れていないうちは、抵抗感を覚えるかもしれません。
▶「友だち100人」で苦しむ人たち
本当の苦手というのは反対に、経験をすればするほど、下手になったり苦しくなったりすること。
たとえば会えば会うほど嫌になる人がいるとすれば、それは本当の苦手なので、距離を置くのが賢明です。
人間ですからどうしても、「反り」「相性」はあります。
「みんな仲良く」「友だち100人できるかな」がデフォルトだと思うから、苦しみます。
あるいはテニスでは、フォアハンドを打てば打つほど苦しくなるイップスは、本当の苦手でしょう。
「苦手」なのか「不慣れ」なのかを峻別して、取り組み方を工夫するのです。
▶「モノを捨てる」と「デフォルトの集中力」が上がる
ところで話が逸れますが、「捨てと基礎的集中?」「何の関係があるの?」といぶかる向きもあるかもしれません。
それについても付言しておきますと、目に入るモノが多ければ多いほど、認識する脳のメモリが費やされます。
考え事も始まります。
「賞味期限が近い……」だとか、「この服はずいぶん着ていない……」だとか「この部分が汚れている……」だとか。
この、「意識があちらこちらへ移ろう」迷いの煩悩こそ「集中の対極」なわけですね。
「モノが目に入るくらいどうということはない」と思う人もいるかもしれませんけれども、さにあらず。
その逆で、捨ててモノを少なくすると、脳のメモリを浪費せず、考え事に意識もさまよわせずに済むから、基礎的な、「デフォルトの集中力」が上がるのです。
▶「思い切って」捨てる
私はほとんどモノを持っていませんが、それでもゴミではなくまだ使えるものを捨てるシーンでは、抵抗感にさいなまれるときもあります。
それでも思い切って捨ててみる。
その効果は、単にモノがなくなってすっきり片付くだけではありません。
先述したとおり、デフォルトの集中力が上がるのです。
▶「まるで魔法」。布団をなくして「平床寝台」効果を得る
捨ててしまえばほとんどの場合、「何であんなモノを持っていたのだろう」という思いに至ります。
私はベッドを始め、布団やマットレスなどの寝具も持っていません。
寝るのは、いつもよく磨き上げている床(今は畳も)。
年齢や体格など人によるから万人へおすすめはしませんけれども、私は「平床寝台」効果で背筋が伸び、おかげさまで健康です。
こちらでは「体の歪みによる体中の凝りに悩まされて数十年」という方が、「まるで魔法。整体要らず」と評しています。
手作りした「木枕」も絶好調です。
アラフィフにありがちな腰痛や肩こりなどとも、一切無縁。
健康のためにやっているというより、慣れたら硬いほうが楽です。
そう、「得手不得手」なのではなく、「慣れ不慣れ」。
またホコリが出ないし、潜んでいると言われるダニもいないし、布にまとわりつく生活臭もない副次効果が認められます。
▶「できる問題」を確認して「安心したい」心理
冗長になりました。
話をもとに戻しますと、苦手だと思っている物事のなかには、単に「慣れていない」だけ、という経験不足が少なくありません。
初級者であれば「バックハンドが苦手」、中級者であれば「スマッシュが苦手」「ドロップショットが苦手」とは言うかもしれないけれど、「それってフォアよりたくさん打ちましたか?」という疑問。
単に慣れていないだけであれば、フォアの乱打の数や時間は減らして、バックハンドやスマッシュ、ドロップショットの経験を増やすのです。
試験勉強でもそうですけれども、ややもすれば「できるところ」を確認して、安心したい心理がある。
しかし本当に勉強ができるようになるには、「できない」ところをやらなければ意味がありません。
▶慣れていなければ「できない」のは誰でもそう
繰り返しになりますが、重たくて移動できない、書類の内容が理解できなくて処分できないなどでなければ、「捨てる」など、本当は誰でもできます。
単に慣れていないだけ。
それと同じようにテニスのショットも、「苦手」なのではなく、単に「慣れていない」だけなのかもしれません。
いくら「大谷翔平はすごいアスリート」だといっても、テニスを経験していなければ私たちのほうが勝算は高い(ただし勝負に絶対はありません)。
苦手意識と捉えると気が重くなりますが、単に経験不足でできないのであれば「誰でもそう」なので、ならば、経験を積めばいいだけの話です。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero