質問085:試合が恐い
回答
▶テニスは、練習と試合は「別物」
ご相談内容から、練習では比較的いい調子で楽しめるレベルのプレーができていると拝察されます。
だけど試合になると、過去のトラウマから、「1ゲームは取らないと」「スコックだけはせめて免れたい」という未来への不安から、恐怖がフラッシュバックされるのだと想像されます。
なぜそうなるのでしょうか?
試合になるとイメージがズレるんですよ。
練習では、ポイントを取る意識がない。ミスしても重くない。緊張もしない。
一方では試合になると、ポイントを取る意識が出る。ミスすると重い。緊張もする。
やっていることといえば、ネットを挟んでボールを打ち合う同じ競技なのに、練習と試合とでは、テニスは「別物」とさえ言えます。
▶同じ「1時間」でも、時間の経ち方が違う?
一体何が、ご自身のなかで起こっているのでしょうか?
たとえば時間の経ち方だって、同じ「1時間」でも勉強しているときと、遊んでいるときとでは、速く感じられたり、遅く感じられたりと、さまざま変わりますよね。
これが、現実的な「1時間」に対する、イメージのズレ。
その現実に対するイメージのズレが発生すると、テニスはどんなに頑張っても、「絶対にミスする」のです。
ここがいちばんのポイントです。
「周りは楽に打ててるのになんでおれだけ…」って思うでしょう?
それは、周りの人は「運動神経がいい」とか、「テニスセンスがある」とかでは全然なくて、単に「イメージのズレがない」からにすぎません。
▶いつも「遅刻」する人はこれが原因
家から学校まで、30分かかるのが現実なのに、30分についてご自身のイメージが35分にズレていたら、必ず5分遅刻するようなものです。
テニスではこのイメージが、たとえば対戦相手の体格だったり、コートがアウトドアかインドアかだったり、サーフェスが砂入り人工芝かカーペットかだったり、風があるかないかだったり、あるいは対戦相手の1本前のショットから受ける印象であったりで、グラグラ揺らぐのですね。
「だったら気をつけよう」と頭で意識したところで、上手くいきません
このイメージのズレには、あらがえないのです。
たとえばご自身にとって「苦手なイメージのある人」に対しては、どこか避けたりしたくなるのではないでしょうか?
みんなの前では親しそうに振る舞えるとしても、本心は苦手意識を感じるでしょう。
イメージには、あらがえないからです。
それと同じように試合が恐い現状を、根性や精神論でどうにかしようとすると、余計につらくなります。
なので「メンタル鍛える以前にカウンセリングとか行ったほうがいい?」というのは、当てはまりません。
カウンセリングを受けても、テニスにおける「現実に対するイメージのズレ」は、直してもらえないからです。
▶「イメージがすべて」byアンドレ・アガシ
「イメージがすべて」といったのは、アンドレ・アガシでした。
本当に、そのとおりなのです。
この世は、幸せなイメージがある人は、この世が幸せになる。
この世に不幸なイメージがある人は、この世が不幸になります。
幸せな現実、不幸な世界が、先にあるわけではありません。
幸せなイメージ、不幸なイメージが、イメージどおりの現実を後から作り出すのです。
まったく同じ世界を目の当たりにしても、です。
「テニスを楽しむことはごもっともなんですが、こんなことがあっては楽しめるはずもない」というのも、ごもっともです。
テニスは上手くないと、楽しくないですからね。
▶「RAS」は「赤い車」ばかり見つける?
脳に備わる「RAS(Reticular Activating System)」と関連づけて、説明できるかもしれません。
日本語では、「網様体賦活系(もうようたいふかつけい)」と訳されます。
これから購入予定などで「赤い車」に興味のある人は、街中に赤い車をジャンジャカ見るのです。
脳はそうやってイメージに基づく情報を私たちにフィルタリングして見せるから、現実世界がイメージどおりになるのです。
たとえば同じ街の風景を見ていても、シルバーの車に興味のある人は、赤い車が目に入らず、「シルバーだらけの現実世界」を見るのです。
ですから、「この世は、幸せなイメージがある人は、この世が幸せになる。この世に不幸なイメージがある人は、この世が不幸になる」というのが現実なのです。
▶「フォーム」は原因ではない
イメージのズレは「思い込み」のようなものですから、本人にはなかなか気づけません。
自分が「思い込んでいる」とすら気づけないのが、思い込みの本質です。
そのせいで、ご本人にしてみればなぜミスヒットしたのか分からないから、常識的なテニス指導を真に受けて、フォームのまずさに原因を求めてしまう。
しかしミスする本当の原因は、フォームは関係ないので、一層悩みを深めてしまう「悪化」になるのです。
▶ミスするのは「イメージどおり」の結果
また、ミスというのは打つ直前に「ネットするかも!」「アウトが恐い!」などという、自分でも気づかないくらい瞬間的なイメージがよぎったときに、生じることが多いのです。
「イメージは現実化する」。
だからミスも、ご自身が瞬間的によぎらせたまさに「イメージどおり」の結果なのですね。
「1ゲームは取らないとヤバい」というイメージがある。
「スコックだけはせめて免れたい」というイメージがある。
すると、どうなるでしょうか?
そのイメージが、現実化します。
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(テニスゼロ)
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