質問064:ダブルスでボレーをするとき、焦ってしまっているような気がする
回答
▶「目線を切ると焦ってしまう」のは当然
ボレーは、バウンドする前の高速度のボールを、しかもストロークの約半分の至近距離で打ち返すという性質のショット。
対応するプレーヤー側としては、時間と距離の両方の余裕が、ストロークに比べて相対的に少ないというのが、ボレーに苦手意識を持つ人が多い原因となっていそうです。
ストロークは、ボールがバウンドすると着弾した際に生じるサーフェスとの摩擦により、ショットのスピード感が緩まりますが、ボレーは「それがない」というのが、習得を難しくしている可能性として疑われる要因。
この場合、飛び交うボールからいったん目線を切ると、もう次にボールの速さに即応し直すのが、難しくなるということを覚えておいてください。
即応し直そうとするやいなや、ボールがそこまで来ていて、対応が間に合わなくなるのです。
これが、仰せの「焦ってしまっているような気がする」理由。
目線を切ると、焦ってしまう。
そうなるのは当然です。
運転中、急に人が視界へ飛び込んでくるようなもので、急ハンドル、急ブレーキになるからです。
それと同じように、急にボールが視界へ飛び込んできたら、ラケットワークの急ハンドル、急ブレーキになりかねません。
しかし、その人(テニスではボール)の存在に気づいていて、ずっと注視し続けていたら、事態は一変しますよね。
焦らなくなる。
余裕を持って対応できるようになるのです。
▶ストロークは「バウンド」にイメージのズレがある
とはいえ、ストロークの場合はまた事情が違っていて、バウンドについて「現実に対するイメージのズレ」があると、どんなに距離と時間に余裕があっても、ミスするものはミスします。
それが証拠に、ふわっと浮いてきた、一見するだけだと簡単に打ち返せそうな印象の「チャンスボール」に限って、ふかしたり、ネットに叩きつけたりするのは、そういう理由によります。
特にそういった症状でお悩みの方は、『テニス・ベースメソッド(基準法)』をお選びください。
ドラマチックなテニスの改善をお約束しています。
▶背景が動く? ボールがとどまる?
さて閑話休題。
話をボレーに戻しますと、目線を切っても、「ボールならすぐに見直せるよ!(即応し直せる・リフォーカスできるよ!)」という人がいるとしたら、「適切なボールの見方になっていない」と疑われます。
解像度の粗い見方だから、それくらいの見え方のレベルで、見えているように満足する。
私が申し上げているのは、背景が動き、その中心視野のなかでボールが、ずーっと、とどまり続けて見えるボールの見方です。
背景が動く?
ボールがとどまる?
そんな見方、本当にあるのか?
あるのです。
では、実際に確かめてみましょうか。
▶「動く物体」と「とどまる背景」との逆転現象を体験!
目の前で人差し指を立て、ゆっ~くりと、左右に動かしてみてください(欲張って速く動かすと、実験の意図をくみ取りにくいので注意)。
「普通に見る」だけだと、人差し指が目の前で左右に振れ、動きの残像により、人差し指の輪郭がカスレて見えたりする、「ぼやけた見え方」になる場合もあると思います。
特に、人差し指の方向をターンする瞬間あたりで、シュッとカスレる見え方になりやすいでしょう。
では、次です。
人差し指の細部に宿る「指紋」を見ようとすると、どうなるでしょうか?
今度は指先が視野の中心にとどまり、背景がその背後で動いて見えるはず。
その背景はというと、非常にぼやけた見え方をしていて、その中心に指先だけが、ハッキリ・クッキリと、映し出された状態になっているのではないでしょうか。
中心視野で目のピントを絞り込んだ結果として現れる、「動く物体」と「とどまる背景」との逆転現象を、ここでは体験しています。
▶ボールを中心視野にとどめてみる方法
テニスで言う、この「指紋」にあたるものとは、一体何でしょう!?
それを探り当てれば、ボールも中心視野にとどめる見方ができるようになるというわけですね。
あと具体的なプレー上の注意点として、特にダブルスでは、一般的には後ろを振り返らずに、「つねに前を向いておくように」指導されます。
しかしそうすると、自分のパートナー側(後衛側)にボールが行ったときには、必然的にいったんボールから目線を切ってしまう場面がインプレー中に出てきます。
次の瞬間には、急にボールが視界へ飛び込んでくるから、ラケットワークの急ハンドル、急ブレーキになりかねません。
これが、ボレーが上手くいかなくなる原因。
指紋を「ずっと見続ける」から、背景のほうが動き、動いている指のほうが、中心視野の真ん中で、とどまって見えたのですからね。
▶目線を切ると「一般的な見方」に戻る
目線を切って、一時的にパッと見直したとしたら、やっぱり指のほうが動いて見える一般的な見方に戻ってしまうのです。
テニスボールも、それと同じです。
そしてもちろん、ボレーはストロークに比べて、比較的練習量が少なくなりやすいというのも、苦手を助長する原因になっています。
ボレーが苦手なのを自認されているというならば、現状を把握されている証拠。
ボレーの練習量を増やして、上記の内容に留意しながら、「新しいボールの見方」に励まれるとよいと思います。
▶noteのおかげで『新・ボールの見方』復刊!
さて、「『新・ボールの見方』~怖れのメガネを外して、ありのままに見る技術」が、復刊しました。
従来のウェブサイト「テニスゼロ」がレンタルサーバーの都合上、閉鎖に追い込まれたときには、「もう、普及はあきらめよう……」と断念しかけましたが、noteの存在を教えてもらって、ここまで復活するに至りました。
しかもnoteが擁する多機能のおかげで、従来のブログサービスよりも質の高い情報提供ができるのには、感謝の念に堪えません。
内容が気に入らないなら「役に立ちません」などと、言ってもらって構わないのです。
ならば私も何かお返事をするでしょうから、そういうコミュニケーションを通じて、お互いに信頼し合えるようになる過程に喜びを感じます。
人間関係は育てるもの。
そうしてテニスゼロは教えていただきながら、「今・ここにいる」のですから。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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