テニス上達メモ476.面白かったのに、途中から残念な気持ちになった「相席食堂」
▶バッティングフォームを教える元木大介さん
昨日視聴していた(おそらく再放送の)テレビ番組「相席食堂」。
進行役を務めるお笑いコンビ「千鳥」の大悟とノブによる掛け合いと、元読売ジャイアンツ選手・コーチの元木大介さんによるやり取りが面白くて楽しく視聴していましたが、途中から残念な気持ちになりました。
私がいぶかしく思い始めたのは、元木大介さんが、北海道のバッティングセンターを訪問するリポートあたりから。
そこで居合わせた女子中学生に元木さんは、コチラでご指摘いただいているような、バットに手を添えてスイング軌道をなぞらえるバッティングフォームを指導し始めたのです。
これで女の子には、フォームを意識して、ボールに集中できなくなる下地が整った。
こうしてタレント(才能)はスポイル(ダメに)されていくのだなぁ、と。
コチラでも述べましたが(また元木さんの意向というより番組による演出なのかもしれませんけれども)、求められてもいないアドバイスは上下関係を作り、支配的ですらある。
後述しますが私たちアラフィフ世代ではスーパーヒーローの元木さんであっても、今の女子中学生には知る由もなし。
女の子はロケ中、何も見知らぬ中年に「教えてほしい」などと、一言も発していなかったと思うのだが……。
▶捕球前にグラブを叩かない?
さらに元木さんは少年野球教室を訪れ、ボールをキャッチする練習中の男子には、「キャッチする前にグラブを(逆のこぶしで)叩く必要はない」とアドバイスをしたと思う。
このアドバイスにならうならば、今後この幼気な男子は、ボールキャッチが下手になるでしょう。
素直でなくなるのです。
それが残念でなりません。
自由にのびのびと、せっかくそれで「タイミング」を計っていたというのに、です。
テニスで言えば、せっかく無意識でできていた「スプリットステップ」を、あえてやめるように意識させる内容。
見た目では、直接的に捕球(テニスで言えば打球)には、関係ないように映る仕草が、人によってはタイミングを計るうえで大いに関係があるのです。
▶いきなり「ドン!」だと、ずっこける
かけっこで、いきなり「ドン!」だとずっこけます。
ですからタイミングを計るきっかけ(リズム)がほしい。
それを『究極のテニス上達法』では、「ヨーイ、ドン!」の「ヨーイ」だと、たとえました。
だから、合うのです。
インパクトの「いきなりバシッ!」だけでは、おっかなびっくりで、スイングがずっこける。
捕球も打球も、フォーム(形)ではなく、打球のタイミング(時間)しだいです。
全体の形は、その時々で変わってよい。
当たり前の話です。
どれだけフォームが正しくても、タイミングが合わなければ、絶対に「スポッ!」と、あるいは「スパーン!」と、ボールをクリーンには捕らえられないのですから。
グラブもラケットも、プレー中は刻一刻と動いていて、ボールに捕球面または打球面が正対するタイミングは一瞬。
その一瞬のタイミングを捕えるのが、ナイスキャッチ、そしてナイスショットの真実なのです。
▶言葉を使ってプレーしない
とはいえもちろん、指導した元木さんに罪はないのです。
自身は「感覚」で野球をプレーしてきました。
そのユニークなキャラクターは、いかにも敬愛する天然さん。
なので自身がプレーするときには「打ち方」など意識しないからこそ、ロケ中に試打していた何本も真っ直ぐ転がるパットの腕前は、見事だったのです。
ところが改めて教える立場になって、言葉にすると表面的なフォームにしか指南が及ばないのは、致し方ありません。
しかし野球もテニスもゴルフもスポーツは「感覚」ゆえに、「言葉」にならない(しない)のもまた、『究極のテニス上達法』なのです。
言葉によるセルフトーク(「インナーゲーム」シリーズでいうところのセルフ1)の弊害は、テニスゼロでしょっちゅうご説明しているとおりです。
よろしかったらページ上部の検索窓に、「テニスゼロ セルフトーク」などと入れて探してみてください。
情報が厳選されて見つかると思います。
▶名選手必ずしも名コーチならず
いにしえより「名選手必ずしも名コーチならず」とよく言われます。
あえて敬意を込めて呼び捨てだけど、「元木」といえば、私の地元・大阪府豊中市で私たち世代の間では同郷であるとともに、高校球児のスーパーヒーロー。
その活躍は、持てる「感覚」でプレーしてきた賜物であったはずです。
▶電話越しに「そうだ、それでいい!」
数少ない、「名選手でかつ名コーチ」といえば、長嶋茂雄・元読売ジャイアンツ選手・監督、現終身名誉監督が想起されます。
若かりしころスランプに陥っていた阪神タイガースの掛布雅之選手へ、電話越しにバッティングを指導。
電話越しに応じる掛布に向かって「今、バットある?」「振ってみて」「そうだ、それでいいんだ!」などといって電話をガチャリと切ったというのだけれど、「見えない電話越しなのに『そうだ、それでいいんだ!』も何もないだろう」と掛布選手はおどけます。
だけど長嶋さんは、実は素振りのビュンと鳴るバットが風を切る「音」を聞いて、「そうだ、それでいいんだ!」と見(聞き)抜いていたという後日談、というかオチなのでした。
掛布さんはスランプを克服し、長嶋さんの息子である一茂さんによると、その年の掛布さんは「ホームラン王をとっているんじゃないかな」と顧みます。
▶五感で感じるままにプレー
見た目のフォーム(形)ではない。
何しろ目に見えない「電話越し」なのですから。
くだんの少年野球教室で練習していた男子は、グラブを叩く「パン!」と鳴る音を、聴覚を通じて、あるいはグラブを「パン!」と叩く感触を、触覚を通じて、捕球タイミングを計っていたのです。
運動は、フォームについて頭で考えるのではなくて、五感を通じた感覚に委ねてできるようになるのが本筋です。
そして最後に、もちろん長嶋さんも「カンピューター」と言われるくらいだから、感覚でプレーする敬愛したい天然さんですね。
ちなみにネイティブの間では、「コンピューター」よりも「カンピューター」のほうが、発音として近いのだそうですよ。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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