テニス上達メモ136.「シェークスピア」からの教え
▶「さらに良くしようとして」vs.「それでいい」
「さらに良くしようとして、良いものを駄目にしてしまうことが多い」と言ったのは、ウィリアム・シェークスピアでした。
この名言は、悩めるテニスプレーヤーにもぴったり当てはまりそうです。
「イメージのズレ」がない限り、再三お伝えしているとおり素振りや球出し練習で気持ち良く振り抜けるスイングができているのであれば、ご自身のフォームはすでに「それでいい」。
もう、良いものを持っています。
▶「気持ち悪いスイング」の原因
先述した「イメージのズレ」とは、『笑っていいとも!』で百獣の王こと武井壮氏がタモリさんに試した実験が一例。
このようなズレがあるケースでは、確かにフォーム修正が必要になる場合もあります(関連記事「『笑っていいとも』で実証済み」)。
または「トップスピンは下から上へスイングしないとかからない」とイメージしているプレーヤーは、それでも回転がかからないと、一層下から上へのベクトルを強めて、身体動作として不自然で合理的ではないフォームになってしまいます。
それが「気持ち悪いスイング」の原因です。
▶「部分変更」が「全体バランス」を崩す
「それでいい」のに、それを「さらに良くしようとして駄目にしてしまうことが多い」とシェークスピアは苦言を呈したのでした。
「まだ、手首を使えていない!」
「ヒザの曲げ伸ばしが不十分だ!」
「ヒジが曲がりすぎている!」などといって部分的により良くしようと意識すると、体はつながっているのだから、今度は全体としてのバランスが崩れてしまいます。
確かに、手首やヒザやヒジの使い方を意識して上手くいくプレーヤーはいいのです。
しかし多くの場合シェークスピアの言葉を借りると、むしろ「駄目になる」。
最も自然でバランスの取れたフォームとは、体のパーツ(部分)を意識せずに、トータル(全体)として流れで振れた結果、打球タイミングの合うスイングです。
▶「乱れたフォーム=正解」もある
テニスはいつも完璧なフォームで打てる競技ではありません。
それができるとしたら、それは「戦うテニス」ではなくお膳立てされた「お遊戯会」。
どちらかというと、非完璧な打ち方を強いられてばかりのスポーツです。
必要なのはさまざまなボールに対応できる心身の「柔らかさ」であるというのに、そのためにフォームを「固める」のは真逆の取り組みとさえ言えます。
いえむしろ、打球タイミングがズレそうになったとき、体は柔らかくフォームを崩して打球タイミングを合わせにいってくれるから、その時々の状況によっては「乱れたフォーム=正解」もあり得る。
タイミングが遅れているのに正しいとされる「背すじピン」で打とうとするから、詰まったインパクトになってしまいます(関連記事「プロのフォームはムチャクチャ!?」)。
そういう場合は「のけ反るフォームが正解!」というわけですね。
https://youtu.be/TC5yc32EnL4
▶なぜ、「すっきりボールに集中」できないのか?
また、まだ自分のフォームに不完全な部分があるという気持ちがどこかに残っていると、感情的にも生理的にもすっきりボールに集中し切れません。
感情的には不安や疑念が、生理的にはアドレナリンやノルアドレナリンが優位になります。
するとどうしても、「そちら」が気になる。
「集中」というのは、そういう「雑念」が一切ない状態です。
▶「上達の好循環」に乗るために
せっかく楽しむために始めたテニスが、雑念まみれのストレスになる。
ただでさえテニスはミスするスポーツなのに、「今のフォームのままでは駄目だ」と自己否定ばかりしていると、テニスによって自己肯定感は下がる一方です。
それがテニスによって、自分が惨めになる原因です。
なので「それでいい」とありのままの自分のフォームを受け入れるところが出発点。
「足るを知る」に通じるところがあるかもしれません。
「今でもう、十分だ」と。
すると「足るを知ると富む」と続く教えの全文のとおり、良くしようとしなくても「さらに富む(良くなる)」上達の好循環に乗れるのです。
▶今のフォームの「足るを知ると富む」
もう一度繰り返します。
「さらに良くしようとして、良いものを駄目にしてしまうことが多い」と言ったのは、シェークスピアでした。
さらにフォームを良くしようとして、せっかくの今の良いフォームを、駄目にしてしまいませんように。
駄目になる理由は、さらに良くしようとするから。
今のフォームの「足るを知ると富む」のです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
https://note.com/tenniszero
無料メール相談、お問合せ、ご意見、お悩み等は
こちらまで
tenniszero.note@gmail.com