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テニス上達メモ149.「リズム」に乗ればタイミングは合う!



▶点と点をつないで線にする

 
「打球タイミングは、合わせようとしても合わない」、前回の『テニス上達メモ』ではこのように書きました。
 
今回はこの話を補足するヒントにしていただければと思います。
 
テニスでミスする原因は打球タイミングのズレが唯一ですから、相手ボールのスピードや距離の閾値が、自分のカバーリング力を超えない限り、タイミングさえ合っていればテニスのミスはなくなります(関連記事「全日本レベルの相手に安定した返球ができない」)。
 
さてタイミングを合わせるには、「リズム」です。
 
タイミングの点が連なり、リズムの線になるからです
 
タン・タン・タターン。
 

▶リズムといえば……

 
そしてリズムといえば、おもには「音」情報
 
リズムを取る、あるいはリズムに乗るためには、バウンドやインパクトの「音」を聴けばいいのです。
 
聴覚的集中の登場。
 
もちろん、そのせいでメインとなる視覚的集中は落ちますけれども、サブルートとしての集中回路が開かれて、バックグラウンド(潜在意識)では協働します(関連記事「耳を澄ませば」)。

▶音を「聴けなくなる」のはなぜ?

 
ところが、いちばん身近で鳴っているはずのバウンド音や自分のインパクト音を聴けていないプレーヤーは少なくありません。
 
なぜか?
 
もちろん、インパクト音よりもっともっと身近な音がうるさいからです。
 
その音とは「頭の中のバーチャルな思考」。
 
思考が騒がしいせいで、リアルなインパクト音がかき消されるからです。
 
「ボールよりも低くラケットダウンだ!」
 
「左手をボールに向けて肩を入れなきゃ!」
 
「打ちたい方向に体重移動!」などの思考は、耳にとってはペチャクチャとうるさい(音を聴けなくする耳障りな)「セルフトーク」です

▶会話中の脳内見取り図


これは会話にたとえると分かりやすいと思います。
 
私たちは人の話を聴いているようで、自分の話も脳内で同時に聴いていますよね
 
「またこの話か……」
 
「いつ終わるんだろう?」
 
「もっと前向きに考えればいいのに!」
 
そういった自分の話を同時に聴いている最中、相手の話をありのままに聴けなくなります。
 
「アドバイスしてあげなきゃ」と思う親切心かもしれませんけれども、それでは結局相手の話からは離れてしまっていると言えます(関連記事「何とかしようと意識せずに『ただ聴く』」)。
 
テニスでいえば、フォームなどに関するアドバイスを頭の中で聴いている最中、ボールの音が聴けなくなっています
 

▶集中とは「やめる」こと

 
プレー中の「ああしよう」「こうしよう」という脳内のおしゃべりが、ペチャクチャと指示を出せば出すほど、バウンド音やインパクト音が聴けなくなり、リズムに乗れなくなります。
 
リズムの線に乗れないから、タイミングの点を合わせる作業が「手探り」になる
 
ですから打球タイミングを合わせるには、何か「する」というよりも、脳内のおしゃべりを「やめる」。
 
つまり集中「する」とは、足し算ではなく引き算です(関連記事「テニスの上達は『足し算』ではなく『引き算』で上手くいく」)。
 
行き着く先は「無」(関連記事「無心になってプレーするコツを教えて?」)。

▶いきなり「ドン!」ではずっこける

 
セルフトークがなくなれば、現実として鳴っているバウンド音やインパクト音が聴こえてくるからリズムに乗れます。
 
タン・タン・タターン。
 
リズムの線に乗るからこそ、タイミングの点が合いやすくなります。
 
こちらでも述べていますが、徒競走のスタートでいきなり「ドン!」ではずっこけます。
 
「ヨーイ、ドン!」のリズムがあるから、それに乗れてスタートを切るタイミングが合いやすくなります
 
あるいはこちらでご紹介している「シンクロ打法」なども、音ではないけれど、点と点をつないで線にしたリズムに乗る技術と言えます。

▶「分かる」のではなく「身につける」

 
テニスは、頭で考えてプレーするのではなく、視覚、聴覚、触覚(ときには嗅覚「(関連記事「ジョコビッチ、『匂い』を嗅ぐ」)」)といった体を使ってプレーすると、上手くいきます。
 
「分かる」のではなく、「身につける」のです。
 
むしろ分かってはいけません
 
何しろプロ級の方は「どうやって打っているのか自分でもよくわからない」と答えるのですから!

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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero