草刈り鎌、鉈、孤高の日本の山道具
横浜から東海道線で1駅の戸塚、そこから地下鉄で桜木町側に進んで1つ目の舞岡駅、その近くに舞岡公園という、自然が色濃く残る公園があります。
舞岡公園は、里山文化を守るNPOが運営をしており、稲作や畑、また、雑木林の管理や伐採した木材から炭焼きなどをおこなっています。
自分もその活動を手伝っており、主に雑木林の管理と炭焼きをおこなっています。
雑木林の作業では、刃物は主に草刈り鎌と鉈を使用するのですが、そのどちらも鋼出来ています。最近はステンレスの鎌や鉈もあるそうですが、基本的に販売されているものの大半は鋼で作られたものです。
当然自然環境の中で作業するわけで、湿気や水滴から逃れられず、鋼は錆ますので、マメな手入れが必要です。
ではなぜステンレスではないのでしょうか?包丁などは錆に強いステンレスの方が主流ですよね。
理由単純です。切れるからです。
鍛造された鋼は、びっくりするくらい硬く、また、刃物を構成する粒が細かいので、切れ味が鋭いです。硬い笹薮や、コナラの枝等、ばっさばっさ切り落とすことができます。また、柔らかい雑草もスッパリと切断できます。
確かに、錆やすく、硬い分欠けやすい、というデメリットもあります。が、そのデメリットを覆す切れ味があります。例えば日本の鍛造鉈等は、海外でも非常に評価されています。
日本は歴史的に鍛造の文化なので、鋼の道具が常に身近にありました。そして、ここがポイントなのですが、この鎌や鉈といった鍛造で作られている、手間暇かかってい作られている道具がびっくりするほと安い値段で売られているのです。これは誰も言わないのですが、品質と値段のバランスが取れていないと思います。こんな高品質の鎌がこの値段?!といつも驚かされます。包丁なんかは、白紙鋼なんか使った鍛造ものはそれなりの値段がします。が、鎌や鉈といった造園用道具ときたら!
超高級鋼材、青紙スーパーの、草刈り鎌が、この値段です。包丁の10分の1どころか100分の1です。これ、何でなのか自分も、よく分からないのですが、安すぎますよね。自分はいい道具で作業できているんだな、と嬉しくなります。
草刈り鎌、ほんとやってる人はわかると思いますが、切れるもの切れないもので、はかどり方が全く違います。
世界に類を見ない、日本の鍛造文化と山道具たち、もう一度見直してみるのも良いのでは無いでしょうか。
次回は鉈について書いてみます。