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クルミの食べ方

このあたりはクルミの産地である。
今では少なくなってしまったが、子どもの頃、シーズンになるとあちこちでクルミを洗っているゴロゴロガラガラという音が聞こえてきた。
実家にも数本のクルミの木が残っている。
両親が拾えるだけ拾って保存している。
木が老齢化していることや猛暑のせいもあり、最近はあまり収穫できない。見た目も悪いし、割ってみると中は真っ黒ということもある。
でも、やっぱりクルミは美味しい。
でも、どうやって食べるのか迷うものでもある。
加工せずにそのまま食べることも多いけれど、下記のようにして食べてきた。

子どもの頃、祖母はクルミあえをよく作ってくれた。もちろん手伝う。
クルミを木槌で割り、中身を出す。
クルミを炒って、すり鉢ですりつぶし、醤油や砂糖で味付けをする。
すごくいい匂いがして、おいしそうなのに、そこにお菜やにんじん、こんにゃくを入れちゃう。
おいしいけど、なんかもったいない気がした。
好きだったのは、おやつ用に作ってくれたもので、炒ったクルミを砂糖でからめたものだ。こちらは本当に美味しい。手間がかかるからか、砂糖とクルミの組み合わせが贅沢だからなのか、めったに作ってもらえなかった。

母は、クルミを砂糖でからめる時に、炒った小魚を一緒に入れた。祖母が作ったものよりも砂糖もひかえめで、小魚も食べられる。こちらもおいしい。
母はこれをたっぷり作り、お菓子の缶などにつめて実家に持っていった。
母の親戚は皆、これをとても楽しみにしていて、缶を開けると歓声が上がった。
ところが、ここ数年、母はくるみ小魚の砂糖がけを作らなくなってしまった。「甘すぎて健康によくない」と言う。祖母の作っていたものに比べると、ずっと甘さ控えめだけど、だからこそポリポリ食べてしまうことは確かだ。
でも、たまには食べたい。

今年、自分で作ってみることにした。
昔、母からもらったレシピを発見したんである。
娘と一緒に無心に殻を割り、中身を出す。ドライバーを使って殻を割ると飛び散らない。
クルミを炒る。小魚も炒る。重さを量って、その半分の量の砂糖を用意する。
中華鍋に砂糖を入れて、そっと日本酒をかける。みるみる溶けていく。
全部溶けたら点火。まわりが泡立ったらクルミと小魚を入れてからめる。
うまくいった。両親からも「うちの味!」と言ってもらって大満足である。
「もう、私は作らなくていいね!」と母に言われたのは想定外だった。
いや、また作ってよ……。割るの大変だから……。

さて、残ったクルミは豆乳や砂糖とあわせてペーストにした。
ちょっと少ないけれど、年越しそばに使えるだろうか。
もう少しクルミを割って、増量しようかな。



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たか
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