お正月には長いも
あけましておめでとうございます。
昨年の多くの皆様との出会いに感謝です。
本年もよろしくお願いいたします。
新年早々、「長芋」の話です。
じゃがいももさつまいもも大好きだけど、お正月の長芋もすごいよ、という話。
正月といえばとろろ汁
正月の長芋といえばとろろ汁である。
「おせちに飽きたらとろろだね」というようにとろろ汁を食べた。
祖父はとろろ汁が大好きで、ある時、「職場のみんなに食べさせてやりたい」と言い出した。仕事が終わったら、職場で作って食べたい。
「何言ってんの! 職場の皆さんに迷惑かけちゃうでしょ」
と祖母は言っていた。
想像してほしい。
職場の上司が長芋とすりばち、すりこぎを持ってくる姿を。
すごく迷惑だよ。
祖父が大好きだから正月からとろろ汁を食べるのだと思っていたが、そういうことではなかったらしい。正月にとろろ汁を食べるのはおせち料理の延長なんである。そのことを聞いたのは大学の民俗学の授業でのことだった。
ちなみに、長芋料理は重箱にも入っていた。
さつまいもと同じように長芋をふかし、つぶして砂糖をまぜ、巾着にする。てっぺんを抹茶で緑にする。
雑誌で紹介されていた料理だが、黄色いさつまいも巾着と真っ白な長芋巾着はおもてなしに最適な人気料理だった。
そんなわけで、長芋は正月シーズンに大活躍していた。
ところで、とろろ汁は地味な料理なのに、手間がかかる。
すり鉢に長芋をすりおろし、さらにすりこぎでよくする。そこに卵を入れてさらにすり、最後に出汁醤油を少しずつ入れていく。
トットット、トットットというすりこぎの音が気持ちいい。
皆で交代しながら長いことすりこぎをまわす。
すりばちいっぱいになみなみと完成したとろろ汁が、食卓の真ん中にドン!と置かれ、麦飯もボールに入れて同じく食卓の真ん中にドン!と置かれる。
青のりも置いておく。
他のおかずは野沢菜の漬物くらい。ひたすらとろろ汁を食べるのが楽しかった。
でもまあ、この通り手間がかかるので、たまの休みのお楽しみという料理だった。
ふだんの長芋料理(実家)
ふだんはもっと手軽に長芋を食べる。
朝飯の時に長芋のすりおろしにうずらの卵を割り入れたものを食べていた。
長いもだけだと味が濃すぎるというので、大根の千切りが混ぜてあることもあった。
マグロのさしみで山かけも時々食べた。
実家にいた頃、長芋は「すりおろして食べる」「生で食べる」ものだった。
ふだんの長芋料理(現在)
いまはあまりすりおろさない。面倒くさがりなんで。(すりおろすくらいどうってことないでしょ、という声はあるでしょう。でも、皮をむいて、おろし金を用意してという一連の作業はけっこう手間だと思いませんか?)
お好み焼きを焼くときはすりおろすけれど、そもそもお好み焼きもめったに作らない。
ふだんは短冊に切って小鉢に盛り、ねり梅をちょんと置き、きざみのりをかける。ちょこっと醤油をかけて完成。おろすよりもずっと簡単。見栄えもする。
味噌汁にも入れる。火が入らなくても食べられるし、ちょっと生加減のほうがおいしい。時短味噌汁である。
輪切りにして油で両面を焼くのもおいしい。この時のポイントは「皮をむかない」ということ。きれいに洗った長芋をそのまま輪切りにしてフライパンで焼き、みりんと醤油で味付けする。
あまり火を通さずに皿に盛り付けると、外側はもちっとしていて、内側はしゃくっとしているのがおいしい。
更に、昨年は中華スープを作るようになった。こちらのレシピを試したら大好評だった。ありがとうございます。
薬膳みたい!と子どもたちは言う。体が温まるし、長いも、生姜、人参、卵という組み合わせが、体によさそう。
長いもにもしっかり火が通る。いつもとは違う食感がおいしい。
手抜きのとろろ汁
今でもとろろ汁を作る。子どもたちも大好きだ。
ただし、我が家には大きなすり鉢やすりこぎはない。もっと手軽に作る。
ある程度の大きさに切った長いもと出汁醤油、卵をブレンダーでつぶし、混ぜる。それだけ。
すり鉢をおさえて、かわるがわるすりこぎを持っていたことを考えると、申し訳なくなるような作り方だけど、手抜きのとろろ汁もおいしい。
明後日の夜はとろろ汁にしよう。
青のりも買ってこなくちゃね。