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『おみおくりの作法』 ジョン・メイの墓碑に贈る言葉
『おみおくりの作法』 2013年公開
その頃、自分は二十代だった。縁あって水上勉さんの若狭一滴文庫で講話を聴いた。その時の言葉がずっと心に留まってる。
「真実の僧侶は市井にいる」
水上氏の『越前竹人形』には船頭の格好をした僧侶が現れる。
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この映画の主人公ジョン・メイも、まさしく市井に生きる真実の僧侶。
孤独のうちに死んでいった一人ひとりに敬意を払い、諦めずに故人の物語を探し出して弔う。
皆自分が生きることに忙しく、生活を優先してる。彼は、縁のあった人たちに、決して無理強いすることなく、悲しい事実だけを告げて葬儀の参列を促す。
そして、孤独のうちに亡くなった彼、彼女らの大切な思い出が決して忘れさられないようにアルバムに収める。
弔い人。
彼の仕事はケースワーカー。決して見栄えのする暮らしではない。ようやく恋の予感が芽生え、ささやかな幸せが訪れるかと思えた矢先に悲しい結末が用意されてた。
ラストシーンが良い。涙が止まらない。
友だちから聞いたフランスで大変人気のあるピエール神父の言葉。
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「たとえ、あなたが一人で、誰もついてこなくても、あなたにとって正しく思える事を、守り続けなさい」
ジョン・メイの墓碑にはこの言葉が似合う。