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【詩】不在
パートナーの急逝という人生で最も衝撃的で悲痛な経験をした後、生まれて初めて書いた詩です。彼女への挽歌です。
不在
風に揺れる木々の若葉から
木洩れ陽がはだらに落ちる日
あの美しい初夏の日に
君は忽然とこの世界から消えた。
その日を境に
世界は決定的に変わってしまった。
夜が明けないわけではない。
日が昇り日が沈まないわけではない。
星がまたたかないわけではない。
風が頬を撫でないわけではない。
陽が額に差さないわけではない。
木々の緑と花々の色が脱けたわけではない。
でも、世界は変わってしまった。
もう、絶対に、もとに戻ることはない。
朝、目を覚ます。
カーテンと窓を開ける。
空を雲が流れる。
君はいない。
この世界に。
君のいない世界は、ある。
世界は君がいないままに、ある。
不在は言葉にすることができない。