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映画感想文 ありふれた教室
2024年 ドイツ
解説
ある中学校で発生した小さな事件が予想もつかない方向へと進み、校内の秩序が崩壊していく様を、ひとりの新任教師の目を通して描いたサスペンススリラー。ドイツの新鋭監督イルケル・チャタクの長編4作目。
仕事熱心で正義感の強い若手教師のカーラは、新たに赴任した中学校で1年生のクラスを受け持ち、同僚や生徒の信頼を得ていく。ある時、校内で盗難事件が相次ぎ、カーラの教え子が犯人として疑われる。校長らの強引な調査に反発したカーラは、独自に犯人捜しを開始。ひそかに職員室の様子を撮影した映像に、ある人物が盗みを働く瞬間が収められていた。しかし、盗難事件をめぐるカーラや学校側の対応は、やがて保護者の批判や生徒の反発、同僚教師との対立といった事態を招いてしまう。後戻りのできないカーラは、次第に孤立無援の窮地に追い込まれていく。
主演は映画「白いリボン」やテレビシリーズ「THE SWARM ザ・スウォーム」で活躍するレオニー・ベネシュ。ドイツのアカデミー賞にあたるドイツ映画賞で作品賞はじめ5部門を受賞。第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされた。
窃盗事件から始まる学校の様相、
誰も「盗んでない」ということから、
カーラが仕掛ける罠にさえ、「やってない」と言い張り、それは生徒も巻き込み、PTAも騒ぎだし、収集が着かない有様になっていく。
カーラのクラスは、学級崩壊し、1人の生徒が警察に連行される事態にまで進んでしまう。
何がどうなると、こうなるのか、
悪い方、悪い方へと物語は進む。
結論は分からず仕舞い。
学校ってこんなところじゃなかったはず。建前もあり本音もあった私の子どもの頃の学校。
今は親のひと言でざわついてしまう学校がある。また、先生のひとことで騒ぎ出す親もいる。
先生と親は対立する関係ではなかった。あの頃は。
犯人探しより大切なことは、
事態は自分の予想するようにはならないということ。
カーラは、身に染みて感じただろうことを思った時、実際に他人との関わりは、複雑な思いが絡まって信頼や信用で出来ているかどうかが非常に大切なことだと思い知らされた。
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