7/9 SPIC2019「SaaS×経営課題」カンファレンス振り返り ②
【2.コミュニケーション促進による経営課題へのインパクト】
モデレーター : 田中 道昭 氏 (立教大学ビジネススクール 教授)
ワークスモバイルジャパン株式会社
執行役員 萩原 雅裕 氏
株式会社東奥日報社
編集局社会部長・写真報道部長 珍田 秀樹 氏
Facebook Japan株式会社
Workplace日本事業責任者 宮原 崇 氏
大正製薬株式会社
マーケティング企画部 副部長 相馬 慎也 氏
ツイートと同様になるが、社内コミュニケーションツールの大きな効用は、主に3つ整理できる。
①各社員の業務プロセスの可視化→従業員のモチベーションポイントの創出
アウトプットの仕方が、完成形を出すというあり方から発生から適宜情報を他社員と共有しつつ修正という形になり、記者同士で連携を図ることができるようになった。スピードの質、という本来的な競争点で他社と戦えるようになった。また、社員の業務プロセスに適宜フィードバックが得られるので個々人のモチベーションポイントを創出している。
②他事業部での成功事例の、横展開のきっかけ作り
同じ社内でありながら事業部が異なるだけで、情報が遮断されがちであった。他事業部でのノウハウや施策、成功事例が露出しやすくなり「うちでもやってみるか!」というコミュニケーションが生まれた。
③情報共有と共に、全社としてのブランディング認識の統一化
個人的にこの効果が一番強いと思う。他事業部でのプロダクトにかける情熱、ビジョンの具現化へのプロセスがコミュニケーションツールを通して見える化することにより、全社としてのブランドへの共通認識が醸成された。
【3.エンゲージメント向上で実現する未来の組織マネジメント】
モデレーター : 松尾 慎司 氏 (SBクリエイティブ株式会社 ビジネス+IT編集部 編集長)
株式会社カオナビ
取締役副社長 COO 佐藤 寛之 氏
株式会社ミュゼプラチナム
人事部部長代理 畠中 裕一 氏
Unipos株式会社
代表取締役社長 斉藤 知明 氏
Sansan株式会社
佐藤 琴美 氏
株式会社アトラエ
湊 健二 氏
株式会社グロービス
シニアコンサルタント 青木 茂嘉 氏
全体として、ツール導入の如何よりも、採用環境変化への捉え方を共有するディスカッションに寄っていたが、この2点についてまとめたい。
1.ツール導入→社内でクローズドだった称賛・感謝文化の見える化
「報酬(お金)を送り合うというのは建前で、感謝を伝えやすくするための手段としてあるだけ」というのが印象的だった。また、社内でこれまで見えなかった貢献(している人)を発掘、ソフトな組織課題に取り組む際の裏付けデータの一助(計測ツールとしての運用、合意形成の一材料)が挙げられていた。一方で、人事考課に導入する際の注意点として、必ずしもツールでの数値が当たっているということはなく、階層・入社年度など複数の視点でデータを分析すること、明らかな外れ値は考慮しない(社員同士で癒着して送りあっているケースもありうる)ことが求められると言及されていた。
2.採用環境:終身雇用前提で入社した上の世代と、やりがい重視入社の若い世代の価値観の二分化→個別マネジメント化が求められる。一方で、組織は戦略に従い、戦略は環境に従う、という考えであれば、終身雇用は無くなることはないのでは?
人口減社会で人手不足が叫ばれる現状において、離職を防ぐ手立てを考えるのがメイン戦略となる。そして離職を防ぐには、入社時からエンゲージメントが高い状態を創出する必要がある。このことを背景に現在の採用トレンドは、カルチャーフィット最重視・リファラル採用強化である。
ミュゼプラチナム社では実際に採用において、かつては求人媒体100%だったが、現在では求人媒体30%オウンドメディアからの採用70%となっている。これは、10年先のリブランディング戦略をもとに、企業イメージを自社でコントロールできるようにしているためだ。
このように、これからの人事にはビジョン・組織作り×マーケティングが求められ、また個々人に合わせたエンゲージメント設計が求められる。
③に続く
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