【日常】初めての帯状疱疹 / とんだ回り道をした話
朝夕の涼しさと乾いた空気。ここ仙台にも秋が訪れてきたようです。
本日も東奔西走しておりましたが、頭上に広がる青空は心なしか秋めいてきて・・・って、此度はそんな清々しい話題ではありませんでした。
とにもかくにも、興味のある方はどうかお付き合い下さい。
初めての帯状疱疹 / とんだ回り道をした話
体調が芳しくなかったこの夏。
大きな要因のひとつには「度を越えた連日の酷暑」があるのでしょうけれど、落着いて考えてみると、五十半ばという年齢的な問題に加えて、性質の異なる要因が複合的に絡み合うことで不調に陥ったことが見えてきました。
その様なわけで、此度は「初めて患った帯状疱疹」について綴らして頂くわけですが、予め私自身の健康状態を明らかにしておくべきと考え、下にまとめてみました。
といったところが、私の通常時の健康状態です。
まぁまぁ、普通ですよね(笑)。
1:体からの小さな声(8月19日)
小さな変化はお盆を終えたころに起きました。
大学の寮に戻る次男坊を見送った日の晩のことです。
入浴して頭を洗っている最中に、頭の右半分の表皮に激痛が走りました。今まで感じたことのない様な痛みのために、私は手にしていたシャンプーブラシ(シリコン製の柔らかい物)を落してしまいました。
そこで、頭皮を触って確認したところ、擦り傷・切り傷といった怪我の痕跡や吹き出モノの様な凹凸も感じられなかったため、自分の手で洗髪を済ませ、何ら不安を感じることなく就寝しました。
2:目に見える症状が発現(8月20日)
翌20日は、朝から現場検査があったので、午前中の間、ヘルメットを着用して仕事をしていました。一旦仕事から自宅へ戻り、シャワーを浴びて身支度を整えようと鏡の前へ立ったところ、自分のオデコの右側が腫れていることに気付きました。
腫れている部位の一部に、赤い咬み跡のような痕跡があったことから、現場で虫に刺されたと考えた私は、シャワーを浴びた後に痒み止めの薬を塗布してから、予定していた眼科の診療へ向かいました。
3:眼科医にて(8月20日)
この日の眼科診療は、予てからの眼精疲労と右目の違和感(瞼の開閉不良と目ヤニ過多の症状)を診てもらう事が目的でした。
ドクターは、平素の検査に加え、眼底検査も行ってくれました。
諸々の検査結果に異常はなかったものの、眼精疲労については、老眼の進行が早く、現在使用している遠近両用の眼鏡でデスクワークや彫刻を行うことが不適であることを伝えられました。やはり、作業状態に合わせた専用の老眼鏡を作るしかないようです。
また、一番不安を覚えていた右目の開閉不良については、非ステロイド・抗炎症抗アレルギー点眼剤で経過を観察するように言われました。
ところが、眼科医から帰宅してから暫くすると、後頭部の周辺に針を刺すような痛みが断続的に起き始めました。また、その症状と時を同じくして、右耳の付根が腫れてきていることに気付きました。
耳下腺炎やリンパ節の炎症が想定されたため、かかりつけの耳鼻咽喉科へいこうと考えましたが、当該部位に酷い痛みもななく、翌日の予定が詰まっていたこともあり、翌々日(22日)になっても改善しないようであれば、耳鼻咽喉科に出向くことを決めて就寝しました。
4:耳鼻咽喉科にて(8月22日・8月27日)
案の定、右耳の付根の腫れは引くことはなく、電気が走るような痛みを伴うようになってきたので、予定していた通り、翌々日の8月22日にかかりつけの耳鼻咽喉科へ向かいました。
耳と口腔内を診断した医師の見立ては、想像通りの耳下腺炎で、抗生剤を処方してもらい様子をみることにしました。
ただ、私自身は、耳下腺炎になるような身に覚えが無かった(菌が入るとか、唾液腺を火傷するといった原因)ので、曰く難い不安を覚えながら薬を飲んでいたわけですが、やはり薬の効果を感じることがないまま抗生剤が底をついてしまったため、8月27日に改めて耳鼻咽喉科へ向かいました。
医師は、改善が無かったことを鑑みて、異なる抗生剤を処方してくれましたが、私自身は「これは、耳下腺炎やリンパ節自体に原因があるわけではないぞ。」と思い始めていました。それは、8月19日の夜半以降続いていた頭部右側に発現する針を刺すような痛み(或いは電気が走るような痛み)が続いていたからでした。
これらの不安を嫁に伝えたところ、とりあえず内科医へ行ってみるべきではないかと諭されたこともあり、翌8月28日にかかりつけの内科医へ行くことに決めたのでした。
5:内科にて(8月28日)
家族ともどもお世話になってきた我がホームドクターは、80歳を越えた御仁ながらも矍鑠としており、インフォームドコンセントというカタカナ言葉よりもむしろ、世間話の中から患者の問題を見い出すことに優れた人物です。(患者の話もよく聞くが、自身の見立てに基づく意見も結構な勢いで伝えてくるタイプのドクター。)
そんなドクターに、これまでの経過をつぶさに説明すると、彼は私のおでこにできた腫れと僅かに出ている発疹を観察し、頭部右半分をつぶさに触診した上で「帯状疱疹の可能性が高いね。」と穏やかな声色で言いました。
「えっ!こんなのが、あの帯状疱疹なのですか?」と思わず口にしてしまった私に、ドクターは「もしかすると、右目の違和感や耳の症状も帯状疱疹が悪さをしていたかもしれないね。」と言いながら、淡い発疹が首から右耳の裏側を経てオデコまで繋がっていることを丁寧に教えてくれました。
これらの発疹は、帯状疱疹にありがちな明確な水ぶくれを伴うものではなかったものの、赤く傷ついていいる部分もあるとのこと。(※日常的に現場用のヘルメットを被ることが多いため、着用時に擦れてしまい、発疹が赤くなってしまったのだと思われます。)
ドクターは、飲み薬と塗り薬を処方してくれましたが、その一方で「帯状疱疹の症状が出てから時間が経ってしまっているから、この薬が効果を発揮しない場合もあるからね。」と神妙な面持ちで伝えてきました。
この矍鑠たるドクターの先を見据えたコメントには納得せざる得なかった私ではありますが、診療の後に訪れた薬局で、薬剤師さんから「伝さん、薬が効かなかった場合、発疹がおさまっても痛みが続く場合があるからね。」とも言われた時には、さすがに困惑を隠せませんでした。
これには参りましたね。当の私は、薬を処方されたとあらば、効果があるものと期待して服用(フラシーボ効果)する単細胞な人間なので、鼻から「効かないかもしれない」と言われてしまうと落胆してしまうのです。
しかし、今回ばかりは観念しました。(何故なら、あの針を刺すような痛みに閉口していたから。)この痛みが多少でも治まってくれさえすれば・・・そんな藁をも掴むような思いで服用することにしたのです。
6:ことの顛末は?
結果的に、処方薬は効果を発揮しました。
投薬から2日後の8月30日には、針を刺すような痛みが「じわっとするような鈍い痛み」に変化してきたことを感じました。加えて、痛みが発現する回数が明らかに減ったことからも効果が窺われました。
8月30日は、予てから同院で特定健診を受けることにしていたので、経過観察よろしく帯状疱疹の様子も診てもらいました。ドクターは、薬が効果を発揮したことを聞いて一瞬破顔したものの、数年おきにしか特定健診を受けない私に対する苦言も忘ることはありませんでした(汗笑)。
※診断結果は出ていませんが、心電図や血圧、尿に関しては何ら問題はありませんでした。但し、血液の方は相応の指摘が予想されます(笑)。
9月4日現在は、痛み止めを服用せずに過ごせています。右頭部の痛みは、日が経つごとに淡くなってきており、我慢できる程度に治まってきているので、このまま治癒に繋がることを願うばかりです。
7:教訓と決意
あれほど耳にしていた帯状疱疹・・・。
帯状疱疹を経験した親父や、同業の先輩達、高齢のクライアントが一様に口にしていた「剣山を押されたような痛み」「ビリビリする様な痛み」という症状を認識していたにもかかわらず、初期的に表れた発疹・腫れや独特な痛みを、帯状疱疹に結び付けて考えることができなかった私。
症状の発現から投薬に至るまでの時間が長くなってしまったことに不甲斐なさを感じているところです。
いずれにしても、五十半ばの身なればこそ、病気の症状は「自分の体からの声」だと真摯に受け止める必要がありそうです。
従前からアルコールや煙草を嗜むことは止めていますし、大好きな珈琲(カフェイン)も一日1〜2杯までに抑えているものの、甘味をささやかな愉しみとしている者としては、これまで以上に留意せねなりませんね。
こんな愁傷なことを書いてきましたが、私自身は健康オタクではありませんし、食生活も大らかそのもの。また「長生きしたいから健康でありたい」という気持ちは全くありません。
むしろ、不健康でいることで周囲に迷惑をかけたくない(人手的・時間的・金銭的にも)という思いが強いことから、なるべく医療機関や薬の世話にならないように過ごしたいと考えている類の人間です。
さればこそ、『皆に起こりうることは、自分の身にも起こりうる』と考え、これまでの人生で得てきた知識や耳にしてきた言葉を、適切そして柔軟に発動させようと決意しているところです。
かような「病気ネタ」が皆様のお役に立つとは思えませんが、少なくとも、相応の年齢に達すれば「帯状疱疹」に罹る可能性が高まると認識しておけば、伝吉小父のような回り道をする羽目に陥ることはないと思われます。
それでは、稀有で酔狂で賢明な読者の皆様のご健勝を祈念して筆を置くことに致しましょう。ご一読を賜り、有難うございました。