伝吉_TellGlad
伝吉の根付や彫刻作品の過程や道具造りの風景をまとめています。
平穏無事を願う伝吉の平凡な日常
今は亡き小学校時代の恩師(認知症を自覚しておられた)が呟いた「記憶より記録だよ」を今更ながら噛み締める伝吉のささやかな足跡録。 (写真:宮城県北部山間と平野を結んだ通称くりでんの車両基地にて)
伝吉の手による根付や彫刻作品を紹介しています。
愛すべき物語の枝先に実る果実(作家、物語の背景など)について素直に綴ります。
§ 息子達へ この二体の仏さまを彫り終えたのは、梅雨の季節には似つかわしい程の酷暑が続いていた6月下旬のことであった。完成して直ぐに、君たちのお袋さんに依頼して縮緬生地の緩衝材を作ってもらい、予てから準備していた桐箱に収めることができたのは、この親父の56歳の誕生日が間近に迫った頃合いになっていた。 それから梅雨の晴れ間を待つこと暫し。 折を見て、家から程近い場所にある田んぼの畦道で仏さまの記念撮影をすることが叶った。君たちは「何故に畦道で?」と疑問に思うだろう。そ
身幅が減り、刃渡りが短くなったモリブデン鋼の牛刀。 平も裏すきも傷だらけ。 無論、他人様に見せびらかす様な代物ではない。 この牛刀は、台所に立つ嫁さんが愛用してきた三本の包丁の中の一本であり、なお且つ、彼女が携えてきた『嫁入り道具』の中で、僕が手入れすることを許された唯一の道具でもあった。 切れない刃物ほど危ないものはない。 だから、台所から「切れないなぁ。」という嫁さんの呟きが聞こえてきた時には、砥石を水に浸して準備した。 泥のついた根菜の下処理をしていた日や、食卓に南
狂言の演目として知られる『釣狐』。 『猿に始まり 狐に終わる』と云われる能狂言の世界にあって、この『釣狐』もまた演者の技量を厳しく問われる演目になっているとのこと。 此度は、この演目の主人公『白蔵主』をモチーフとして製作しました。 念のため『釣狐』の概要を簡単にご紹介させて頂きましょう。 猟師に大勢の仲間を狩られてしまった老狐が、狐釣りを止めさせるために、猟師の伯父で僧侶をしていた白蔵主に化けて、猟師の元を訪ねます。 老狐が化けた白蔵主は、狐が稲荷神であるこ
大掃除には未だ早いタイミングですが、ようやく気候が穏やかになってきたこともあり、夫婦で暇を見つけては自宅の手入れに勤しんでいます。というのも、我が家は父から引き継いだ古家(築40年程)ですので、住人の気遣いと手入れが必要不可欠だからです。 先日は、定期的に嫁さんが確認している屋外の排水桝の内部を清掃しました。特に、キッチンから排出される油分を含んだ排水は、桝の中で水と脂に分離し、蓄積した油脂が限界を超えると、排水不良を引き起こすのだから堪りません。(季節によっては悪臭も
寒暖を繰り返しながら秋が深まってきております。 息子達が順に家を出て行ってくれたこともあり、私達夫婦もゆとりが持てるようになった気がする今日この頃。殊に、弁当作りから解放された嫁さんは、従前より睡眠時間が多く確保できるようになったと大喜び。 かくして、慌ただしくも楽しそうな面持ちでお弁当を作る嫁さんの姿を見れなくなった私は、noteで『日々のお弁当』をアップされている方々の記事を眺めて溜飲を下げるといった毎日を過ごしています。 § 亡き人を偲ぶ 去る祝日(スポー
「酷暑の夏」の記憶を霧散させるように秋が深まってきています。 そんな折、過日受診した特定健診の結果を伺いにドクターの元を訪れたわけですが、驚いた事に全ての項目で顕著な改善(2年前の結果と比較して)が見られました。地道に取り組んできた改善策が功を奏したのでしょう。 各数値は正常範囲内ですし、BMI(唯一の伸び代)も理想に近づいてきているので、このまま改善策を継続していくつもりです。 とか何とか言いつつも、時節は「食欲の秋」・・・。どうにかして誘惑を乗り越えてみせます(涙
待望の秋。 秋と言えば、人それぞれの「〇〇の秋」があると思います。けれども、古より四季を愛でてきた日本人の意識の中に組み込まれている「秋」は、恐らく「実りの秋」ではないでしょうか。 此度は、そんな秋の実りを象徴する「栗」を根付に仕立てました。 栗根付に込められてきた縁起(勝栗:武運長久)については、折に触れて記してきましたが、今作に関しては、縁起を担ぐことのみならず、生き辛い時代を生きる人々へのメッセージを込めながら彫り上げました。 それでは、お時間の許す方はお付
「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、ここ仙台も、彼岸入りしてから一気に気温が下がりました。しかし、連休中は秋晴れとは正反対の雨模様。そんな訳柄もあって、ここぞとばかりに、蓄積していた疲労を回復させるべく「不得手な昼寝」に努めた結果、眼精疲労や肩こりが和らぎました。やっぱり、養生って大切ですね(しみじみ)。 とまれ、雨の合間を縫って墓参もできたし、旬の秋刀魚も賞味できたし、夏頃から手掛けてきた作品も幾つか完成したし、なんだかんだ言いながらも「好ましいお彼岸」だったと感じている
先週の木曜日(9月12日)、久しぶりに嫁さんと休みがあったので、気分転換と平素の慰労を兼ねてドライブすることにしました。目的地は、仙台市に隣接する七ヶ浜町という仙台湾に面した町で、私達家族にとっては思い出深い場所になっています。 § 子ども達との思い出が残る港 今回、私達が訪れた七ヶ浜町は、その名が示している通り七つの浜(湊浜・松ヶ浜・菖蒲田浜・花渕浜・吉田浜・代ヶ崎浜・東宮浜)からなる小さな海辺の港町です。 仙台市に近接しており、我が家から車で1時間足らずで行け
先だって「仙台にも秋の訪れが〜」などと書き綴ったものの、翌日からは連日の30℃超え。せめてもの救いは「朝夕の涼しさ」とでも言えれば良いのですが、実際には秋風ひとつ吹くことはなく、相も変わらず高温多湿の熱帯夜。どうやら、睡眠の質が改善することは今暫くなさそうです。 § 大好きな絵本#02 それでは早速「大好きな絵本」の二回目となる備忘記事を綴らせて頂きましょう。今回は「山を舞台にした絵本」という括りで三冊の絵本をセレクトしてみました。いずれも心温まる素敵な絵本ですので、お時
朝夕の涼しさと乾いた空気。ここ仙台にも秋が訪れてきたようです。 本日も東奔西走しておりましたが、頭上に広がる青空は心なしか秋めいてきて・・・って、此度はそんな清々しい話題ではありませんでした。 とにもかくにも、興味のある方はどうかお付き合い下さい。 初めての帯状疱疹 / とんだ回り道をした話 体調が芳しくなかったこの夏。 大きな要因のひとつには「度を越えた連日の酷暑」があるのでしょうけれど、落着いて考えてみると、五十半ばという年齢的な問題に加えて、性質の異なる要因が
酷暑に心底泣かされた今夏。 自身の有様を一言で綴るならば「体調が崩れた夏」といった感じです。とにもかくにも、苛烈な酷暑に加えて、目・首・肩に優しくない仕事があいまって、予期せぬ症状に悩まされる日々が続いています。もはや、これまで行ってきた対処・対策では不足してきた感がありますね。 早くも来年の酷暑を想像して萎えてしまっている伝吉小父でした。 その様なわけで、相も変わらず乏しい「図書館頼み」ではありますが、読書時間の質は低下していないのが唯一の救いと捉え、8月の「図書