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歩いて日本縦断《沖縄一周編》1日目『天国の扉』那覇

知ってるか?
今、天国では海の美しさを語るのが流行ってるんだ。
天国ではみんなが語る。
海のこと、夕日のこと、
情熱的な赤い光は海と溶け合って消える。
そしてロウソクの光のように残るんだ、心の中にな。

映画「ノッキンオンヘブンズドア」より




2023年8月

鹿児島から帰った後、
手の骨折で通院していたのも終わり、
倉庫の仕事も復帰。
仕事内容も人間関係も細かく変わっていて、
かなり馴染めずにいた。



手の骨折で色んな事が狂ってしまった。
だけど、日本縦断旅だけは完結させたかった。

『8月15日終戦記念日の誕生日。戦争のあった沖縄で旅を完結させる』

全て狂ったがこれだけは、なんとしても達成したかった。
執念なのか、執着なのか。
日々の生活の濁流の中で流されまいと
衰弱した自尊心が最後にすがりついているような。
そんな感じだった。


沖縄に行く為に航空機チケットをとらなければならなかった。

シーズンの沖縄は高いので、
チケットは3か月以上前にとる予定だったが、
骨折で予定が狂い、チケットをとらないままでいた。

それにこの年(2023)の大型台風6号が猛威を振るい、
飛行機が飛ばない状況だった。

そんな中で何とか安くなる方法を見つけ、
奄美大島への飛行機が安くなっていて、
飛びつくように予約。
奄美大島から沖縄へフェリーで乗り換えれば、
安くなりそうだった。

帰りのチケットもとれ、
奄美大島経由で準備を進める。

荷物を引きずるキャリーカートが問題で、
クロネコヤマトで送れないか営業所に行く。
しかし、沖縄や鹿児島の離島は台風の影響で荷物を受け付けていなかった。
台風がもう少し落ち着いたら受付開始するとの事だったが、間に合いそうにない。

リサイクルショップなどに行き、
飛行機に載せられそうなバッグを探すも、
どれも使い勝手が悪そうだし、試すには高すぎた。

飛行機に搭乗する日に、クロネコヤマトで受付再開している事を願い、
駄目なら飛行機で乗せられるか相談。
さらに駄目そうなら分解して飛行機に乗せてもらう事にした。

仕事のシフトをできるだけ入れていたので、
準備がバタつき毎日身体が休まらなかった。

出発予定の前日に仕事行く前に、
席の予約をしようとチケットサイトをチェックしていると、
奄美大島への飛行機がどうしても検索に引っかからず、
席を選択できない。

おかしい。

何度やり直しても該当する飛行機が見つからない。
試しに帰りの飛行機を検索したらちゃんと見つかった。

なん十分も格闘して
チケットの情報をよく見てみると
なんと
来年のチケットだった。

サイトを飛びまくってチケットをとったから、
日付ばかりチェックして年と月を見てなかった。
どおりで安いわけだ。

血の気が引く。

どうにもならないので、急いで別の便を探す。
もはや高くてもいいから、沖縄に着けるやつを探した。

2日ズレるが、何とか朝の便を見つけ予約。
奄美ルートの飛行機とフェリーをキャンセル。

これでなんとか、飛行機で行って帰れる。

搭乗の当日。
荷物の問題があるので、早く来たかったが、
始発できても40分前になってしまった。

今まで格安空港だったので、受付がシンプルだったが、
今回はANAで受付がややこしく、
荷物の相談もあるので人を探すも人がいない。

チェックインカウンターと書かれている所に並ぶも
10個ある窓口の2、3個しか動いていない。
行列が動かず時間が迫る。
30分前になったので痺れを切らして、列から外れてスタッフをつかまえる。
端末でチェックインできると言われ、そちらに並ぶ。

端末にチェックインしようとするとエラー。
エラーをスタッフに告げようとするもなかなか捕まらない。

ようやく、スタッフにいうも、顔もむけずひらがなで名前をうたずにローマ字でいれてください。

そう言われ、また端末へ、しかしまたエラー。

別のスタッフに相談すると、
チェックイン時間が過ぎていますので、
「チェックインカウンターへ行ってください。
次の便が案内できるかもしれないので」
最初に並んだあそこにまた並ぶのか・・・・。

しかし、行くしかないので指示通り並ぶ。
列はさらに大きくなって確実に次の便も間に合わなさそうだった。
ここでようやく出勤してきたのかスタッフが補充され、
並んでいる人の中から優先的に案内してくれるようになる。

事情を説明すると、間違って案内してしまった事を詫び、
次の便に優先的に案内してもらえる事になった。
その処理もさらに並び、ギリギリ次の便に乗ることになった。

ここで、さらに問題が発生し、
ギリギリなので、荷物が機内持ち込みのみとなり、
自作キャリーカートを分解して持ち込むことに。

しかも、
クロネコの船で送る予定だったそのままの荷物で、
車輪用の油さしスプレーが荷物の奥に入ったままになっていて、
荷物検査で引っかかる。
荷物も多くて警察官もきて事情聴取になって、
身分証をだしたり、急いで飛行機に乗らないといけないのに、
トラブルが続いてしまう。
ANAの人も駆け足で案内してくれ、なんとか飛行機にのる。

その時、初めて気づいたが、なんとファーストクラスだった。
急いでとったチケットはファーストクラスだったのだ。
そこに遅れてボロボロのカートで来たので恥ずかしい。
荷物を上にあげるが、入らない。
恐ろしく狭い通路でカートを分解。
それを荷揚げしてようやく、席に着いた。

ファーストクラスの人に囲まれ、
バタバタとしてしまい恥ずかしくてたまらなかった。

席は窓際で、
台風が通った後の空は雲が壮大に広がっていた。

恥ずかしい自分と裏腹に、
最高の席。
しかも窓を見た時に丁度、虹がかかった。

どうしても8月15日に沖縄に居たいと
ずっと、バタバタと奔走していたが、
とりあえずは一安心。
これで8月15日沖縄はほぼ確実となった。

ANAの案内の人と空港ロビーを走ったので、
息があがって汗もかいていたが、
ファーストクラスの空気感に恐縮して、
息を殺して身体が落ち着くのを待った。

鹿児島から羽田に乗ったときはここまで空気が澄んでいなかったし、
陸地側の窓がとれなかった。

日本縦断の旅は一度、今回ので終わりとするが。
人生の中でいつか太平洋側を通って日本一周をする、その時に
この陸地を通るのだろうか?
そんなことを想像していた。

見事な富士山!
雪がなく、おそらく登山者も多いだろう。

台風の通過後、高度も高いのか空が暗い。

これが沖縄か?とも思ったが、おそらくまだ鹿児島の離島。

沖縄に着いた。
いよいよ日本縦断、最後の旅、念願の旅がはじまる。

降りる時、荷物が多いので、通路をふさがないように最後に降りる事にした。
ファーストクラスの前の人たちから降りていき、
エコノミークラスの人が後から通過していった。
家族連れがおおく、通過する子供たちがぴょんぴょん跳ねながら、
「この辺の席って金持ちが乗ってんでしょー!?」
といいながら通過していった。

「分相応ではない貧乏人が紛れこんでいるんだよ」
そう心で思いながら、幸せそうな家族連れ達の通過を待った。

荷物をおろすとき客室乗務員に、
お礼やら迷惑かけたやらでペコペコしながら、
バラバラにした荷物を組み立てた。

縦断の旅の話もして、
旅を楽しんできてくださいね。と見送っていただいた。

無事に空港を降りて。
すぐに食事にした。
朝はなにも食べてなかったし、
飛行機乗るまで気がゆるめず何も喉に通らなかった。

沖縄そばを頼んだが、台風の影響でネギを切らしているらしく
ネギ無しの沖縄そば。
肉厚でスープが濃すぎず飲みやすい。

中年男性2人組の客が、ビジネスの話をしているのか
「沖縄の人は仕事ぶりがあまい」とぼやいていて。
きもちのいい話ではなかったので、
早々に店を出た。


出口からでて那覇市街方面に歩いていくも、
工事中で引き返し、迂回して空港を出た。

空港から出て数分で汗だくになる。
着ている服も悪かったが、
汗で上着が全部ピタピタに張り付いて気持ち悪い。

歩いてまず感じたのは、異国感。
日本縦断してきて北海道でも感じたが、
どこか日本じゃないとこに来た感覚がある。
南国感は鹿児島でも多少感じたが、
比べ物にならないほど異国感を感じた。

植物なのか?日差しや空なのか?
行き交う観光客なのか?
建物なのか?

すべて鹿児島と違う。

真夏の旅も北海道ぶりなのもあるのだろうか?

北海道からいよいよここまで来た!
そんな実感がほつほつと湧いた。

目ずらいしい建築。

外来種のアリらしい。
駆除は大変そうだ。

今回の沖縄旅で、日本縦断のなかでも特にアリを良くみる事になった。

長いフェンスのわきを通る。
台風の影響を歩道わきの落ち葉が物語っていた。
これでも空港付近は清掃されていて、清掃職員の前も通った。

ドーム。

よくネタにされる漫湖。

橋を渡るといよいよ那覇市街。
橋を渡るまではほとんど歩行者を見かけなかったが、
渡ってから観光客など歩いている人を見かけるようになった。

那覇市街に入ると、昼時なせいか、路上で弁当を売っている人を良く見かけた。
営業許可、炎天下で傷まないのか、観光シーズンだけなのか?
色々疑問に思いながらも通りすがる。

川が濁っている、台風の影響か落ち葉が多い。

コンビニに立ち寄る。
ジャスミン茶がなく、
そのかわりに、さんぴん茶が並んでいた。
この先よく飲むことになる。

さんぴん茶はジャスミン茶より、
香りは薄く甘いようなマイルドさがあるように感じた。
両方ともジャスミンが入っているのだが、
飲み口は違うように感じる。

個人的にはジャスミン茶の苦みが好きだ。
飲んだ後さっぱりする。

歩いていて、観光客以外の人も沖縄独特に感じた。

平和通り商店街、中を見てみたい気もするがキャリーカートがあるのでやめておく。

今までの日本縦断してきて、観光客の客層が違う。
イケイケ感みたいなものをムンムン感じる。
合間、合間に、地元人らしき老人が木陰で談笑している。

モノレール乗ってみたい。

さっきの平和通り商店街とちがい、大きい建物ばかりになる。

ホテルに着いた。
急遽とったホテルで
サウナはないが朝食が評判良いので選んだ。
沖縄に来るまで立て込んでいたので、
初日だけはちゃんとホテルで休もうと思った。

荷物を置いて、すぐにでも眠りたかったが我慢。
沖縄観光をするために外へでる。

近場にあった美術館へむかう。
やはり、美術館・・・。
観光が下手くそな俺は日本縦断で美術館ばかりになってしまった。

建築が独特。中庭みたいなものがあった。

アリ!

アリの展示は勉強になった。
自然の中より人の作った人工的な環境の方が適正が強く、多い傾向があるようだ。
沖縄でもよく、虫がいなそうなベンチを選んで座ってもアリはたくましく居た。


沖縄の教師が描いた展示を見る。
子供に”伝える気配り””思いやり”みたいな物があって。
独特の温かさが感じられた。
アイデアも豊富だし、
難しい画題も難しさに触れてほしい教育的な思いが感じられた。

一日で完成するものは稀だろうし、
何日もかけて職務の合間に子供たちの顔を思い浮かべて作った思いが感じられた。

AIの描いた展示。CGなどでリアリティーの追求に”不気味の谷”という違和感の課題があるが、この展示では意図的に不気味にしているようだ。

ミニチュアライフ展が行われていて見ることにした。
他に見る所が多い沖縄の中でも好評らしい。
実際、来場者は多く感じたし
解りやすく、みな楽しんでいるのがよく分かった。

撮影OK、SNS公開OKなので
バシャバシャと撮った。
多いので一部を抜粋。

タイトル「TOTOここまで来たか」
ギャグ的なタイトルも多いが、
とにかく分かりやすく伝わりやすい。

すごく刺激を受けた展示だった。

だいぶ疲れていたが、博物館も見に行く。
かなり能が疲れてウトウトしていたが、
これから歩く沖縄の事を展示しているので、
一通り目を通しておきたかった。

旅を終えた今、思うともっとじっくりと見ておけばよかったと思うが、
この日の疲労を思うと無理があった。
いつか、また見に行きたい。

沖縄には昔、鉄道が走っていたようだ。

歩き旅で沖縄を一周するうえでハブが怖かったので、
性質を見ておく。
結局、生きたハブとは一度も会わなかった。

眠くなりながら博物館をでて、夜食を買いにスーパーへ。

台風の影響で品物がスカスカだった。

夕方の少し前にホテルへ戻った。

部屋の中。

テレビはHDMI端子が付けられたので、スマホから動画が見れた。

大浴場がありお風呂は入らなかったが、
洗濯ものを干せるロープがあったので、この日来た服を水洗いして干す。
大浴場は空いていて、眺めも良かった。



夕飯はスーパーで買った焼きそばとオリオンビール。
食べながら寝てしまいそうになるくらい眠かった。
日が沈む前に就寝。


この日歩いた距離 8km

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