『ニトラム』見た直後の雑記
シネマカリテでオーストラリア映画『ニトラム』を見てきました。
こちらは、実話ベースの作品で、1996年4月28日にタスマニア・ポート・アーサーで起こったポートアーサー事件の犯人マーティンが事件に至るまでの物語。ニトラムというのはマーティンのあだ名で、マーティンのスペルを逆さに読むと、ニトラムなるという。
で、このマーティンは軽度の知的障害者で、基本的にはマーティンの日常から描いている。マーティンは母親と父親と3人暮らしで、いわゆるニートなんだけど、両親はある程度はマーティンがやりたいようにさせているので、その危うさがなんとも絶妙。
その中でキーになる人物が何人かいる。母親、父親、マーティンと仲良くなる金持ちおばさんのヘレン、マーティンが惚れているライリー、サーファーのジェイミー。
特に金持ちのヘレンとの関係は友達のような恋人のような不思議な感じ。このヘレンも金があるとは言えちょっとおかしい感じで、ある意味波長が合っているんだけど、やっぱり危なっかしい。
どことなく、ヘレンって元女優で歌手でもあるから『サンセット大通り』のノーマみたいな感じで、この二人の展開の読めなさもなかなかいい。
結局の所、徐々に事件を起こす運命に吸い寄せられていき、そこの転落、というか辿る道程がエモーショナル。
終着点をあそこにおいて事件までの道程を描いたという点では偶然にも秋葉原のあの事件までの道程を描いた『ぼっちゃん』に似てはいるが、それ以上に知的障害者が主人公の映画としても見られる。
できれば肝心の事件ももう少し描いて欲しかったがこれはこれでいいかな。