シン映画日記『スクロール』
TOHOシネマズ池袋にて北村匠海主演映画『スクロール』を見てきた。
うーん、いわゆる20代の男女の群像劇なんだけど、どの人物も言動に主体性がなく、起承転結を成すストーリーが根本的に出来てないぼんやりした青年たちの生活を映像化した作品。
え?
これ、何が言いたいの?
ダメ人間の博覧会ですか?
というか、
この映画、色々酷すぎる。
酷すぎて、パンフレットを買わなかったことを軽く後悔している(笑)。
東京の虎ノ門付近でサラリーマンの主人公・僕は会社で直属の上司・コダマから理不尽なパワハラに遭い、鬱々とした日々を過ごしながらSNSに「死にたい」とアップしている。ある日、僕の携帯電話に大学時代の友人でテレビ番組を制作する会社に勤めるユウスケから友人の森が自殺した連絡があり、同じ頃、僕が勤める会社でOLの「私」がコダマに暴言を吐いて会社を辞めることに。
この他に、
ユウスケ目線の物語と
「私」目線の物語、
「私」が夜に通っているバーの友人・菜穂目線の物語がそれぞれある。
テレビ番組の企画や事件の現場リポーターや大学の教授の講義を撮影をするなどあらゆるテレビ番組を手掛ける(?)テレビマンのユウスケは責任感のない性格からバーで話した女性に場当たり的に求婚をしながら翌日にはなかったことにし、複数の女性とトラブルを起こしている。ある日、ユウスケがバーの常連の女性・菜穂にいきなり求婚をすると菜穂はこれを快諾し、話がトントン拍子で進んでしまう。
まず、冒頭で北村匠海が演じる「僕」が夜にレストランみたいな飲食店で食事をするシーンから始まるが、なぜ夜中に、というかどこを歩いているのかも、なんの目的かもハッキリしないまま、なんとなく通りにあった店に入る。
しかも、店内は客がいなく、ハルと名乗るウェイトレスのみ。
その上、「僕」がメニューを選ぶのではなく、
ウェイトレスが「僕」が好きな物と思われる即席のカップ焼きそばを配膳し、
それを「僕」ががっついと食べる。
って、冒頭シーンを書いただけでもなかなかのドイヒーぶりが伺えるが、
本編の群像劇、オフィスドラマもそんな感じ。
「僕」は一応東京の虎ノ門あたりにある会社でサラリーマンとして働いているが、それが何の会社で、「僕」の職種も営業なのか企画なのかもいまいち分からないが、コダマという上司から毎日パワハラを受けていることだけは伝わる。
それにこの会社、節電しているのか昼間は電気をつけてなく、暗い。
つまり、北村匠海が演じる主体性ゼロな主人公から、現代の「主体性がない人々」を描きたいのかとも思ったが、主体性がないのは「僕」だけ。
ユウスケはテレビ番組制作会社で働きつつ火遊び程度の女遊びがしたいわけだし、
菜穂は恋愛から結婚、幸せな家庭生活、
「私」はイラストレーターなど美術関連、
というようにそれなりの主体性というのはある。
まあ、それでよりいっそう「僕」の主体性ゼロ人間を浮き彫りにしたかったのかもしれないが、
それにしても脚本と演出がズタズタである。
俳優たちがそれなりの演技をしているので
とりあえず世に出して恥ずかしくないぐらい、
というか実写版『デビルマン』よりはましだが、
脚本の酷さはある意味『デビルマン』クラスかあるいは『デビルマン』より酷いと言えるかも。
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