シン映画日記『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』
TOHOシネマズ日比谷にて広瀬すず、櫻井翔主演映画『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』を見てきた。
テレビドラマ「ネメシス」は日本テレビ系列で2021年4月11日から6月13日まで毎週日曜22時30分から23時25分に日本テレビ系列『日曜ドラマ』枠で放映していたテレビドラマで、広瀬すずか演じる世界初のゲノム編集ベビーの天才探偵助手美神アンナと櫻井翔が演じるポンコツ探偵の風真尚希、江口洋介が演じるベテラン探偵の栗田一秋&3人を助けるチームネメシスの面々による探偵推理サスペンス。
本作はアンナの出自である立花ゲノム研究室で作られた遺伝子研究のデータが秘められたネックレスを巡る富裕層が操る組織とそれに対抗する武装勢力の攻防がメインになるんだけど、
富裕層関連組織によるお金に物を言わせた超ハイテクと力技と、残念なぐらい脳筋な武装勢力軍団によるスリルをはらむ展開が上手く回っているようで微妙。
テレビドラマ版のアンナの出自と橋本環奈が演じる菅朋美のエピソードが映画版のエピソードの要になるので、このあたりを押さえておかないと本作は厳しい。
さらに、本作のアンナ周りにタイムループのような仕掛けが起こるんだけど、これがめちゃくちゃ力技。やってることは『エターナル・サンシャイン』のイライジャ・ウッドがやってたことを大掛かりにしたような仕組みで、ミッシェル・ゴンドリー監督の『エターナル・サンシャイン』や『恋愛睡眠のすすめ』、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』を見てればある程度は分かる。
しかしながら、結局はデータの奪い合いと経済格差の問題を根源にはおいてはいるが、思いの外、ストーリーに深味がない。
それは主人公の天才のわりには探偵助手&フリーターだったり、探偵ネメシスも周りの警察も「探偵物語」や「あぶない刑事」等の日テレドラマオマージュばかりがハナについたり、IT担当から手品師や怪しい中華料理人までいるのにあまり有効に使えてなかったり、
映画だけでなく、テレビドラマの段階から作品の練り込みが足りない。
いや、練り込んではいるんだろうけどテレビドラマ版の総監督で映画版の監督である入江悠監督の『AI崩壊』とか『聖地X』のような科学・化学系や怪現象系の作風が個人的に相性が悪い、とも考えられる。
もちろん映画は監督だけでなく、日本テレビ系のプロデューサーやワーナー・ブラザース系のプロデューサーらの企画段階からの方向性にもいかがかと思える部分もある。
乱暴な言い方をすれば、本作はドラマのファンとキャストのファンが見ればあとはどうでもいいというフシも見受けられる。
主演の広瀬すずに元・嵐の櫻井翔、江口洋介といった三頭体制に、元AKB48の大島優子、前田敦子の元旦那の勝地涼、人気女優の橋本環奈に、復活しつつある真木よう子、往年のアイドルの南野陽子に元格闘家の魔裟斗、超ベテランの佐藤浩市に笹野高史、ととにかく全方向にスキがないキャストだけでも稼げるんじゃないかな、と。
そこに来ると「コンフィデンスマンJP」シリーズや「ガリレオ」シリーズ、「イチケイのカラス」のフジテレビ、「99.9-刑事専門弁護士- 」のTBSの方が日テレよりもいいんじゃなかろうか?
いや、日テレでも「今日から俺は!!」や「極主夫道」などテレビドラマも映画版もそこそこ良かったやつもある。
ということで、『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』はテレビドラマ版のファンであることと、キャストに“推し”クラスのファンがいる人以外には厳しいかな。