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蔵出し映画レビュー『ハケンアニメ!』

蜷川実花監督による『ホリック xxxHOLiC』で女郎蜘蛛を演じた吉岡里帆主演による『ハケンアニメ!』。アニメの制作現場の舞台裏を描きつつ、新人女性アニメ監督と天才アニメ監督による対決の構図を徹底していたので最後まで飽きない展開のコメディ映画である。

土曜日の午後5時に2つの30分アニメがぶつかり、その視聴率争いを軸にし、方や新人女流監督、方や天才的なアニメ監督の第一人者の舞台裏を見せる。いわゆる、映画作り、いや、アニメ作りの映画で、そこでの吉岡里帆による新人監督の斎藤瞳が作画担当など製作陣に揉まれながら成長する。

これに斎藤瞳には柄本佑が演じる行城が、中村倫也が演じる天才アニメ監督王子千晴には尾野真千子が演じる有科が共にそれぞれの制作スタジオのチーフプロデューサーながら、斎藤瞳と王子千晴のマネージャー的な役割を果たしている。行城は新人監督の斎藤瞳を振り回し、逆に有科は天才監督の王子千晴に振り回される真逆の構図になっていて、対照的で面白い。

アニメそのものも凝った作りで、どちらもマニア向けな作風が列ぶ。これを土曜日夕方午後5時のアニメ枠を見る子供には厳しいんじゃないかな? どちらかというと深夜2時にひっそりとやってるアニメっぽくはあるので、それだったらリアリティがあるし、そもそも土曜日夕方よりもニチアサでの視聴率争いにした方が平成・令和らしいのではなかろうか? この辺りは原作があるから変えられなかったのかもしれないが、そのぐらいのアレンジがあってもよかったはず。

新人監督の成長譚や天才監督との視聴率争いとしては悪くはないが、細部が気になるアニメ製作現場の映画である。アニメ好きならとりあえず見て損はないだろうけど、色々としこりは残りそう。

 

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