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読まないと、書けない。

文章は、いつだって書ける。

考えれば書ける。思ったことを書ける。人と会えば書ける。体験を書ける。過去を書ける。今を書ける。未来を書ける。別に読まなくても書ける。

でも、やっぱり読まないと書けないと思うんだ。

文章をたくさんたくさん読んで、初めて書ける文章があるからだ。

”読む”ということは、書ける領域を広げてくれる。

たとえば”転職”についての文章や記事を読む。そこには転職のノウハウや、実際の体験談、考え方、時期や期間、おすすめの転職エージェントの情報が書かれている。

それを読んだとき、どう思うか?

読んだ感想を書ける、自分との差を書ける、自分のノウハウを書ける。自分の転職記を書ける。自分の転職に対する考え方を書ける。自分が利用したエージェントの口コミが書ける。

僕だったら「ちょーお固い公務員から、社員3人ベンチャー雲泥日記」とか「”天職”のために僕は転職しまくった」とかを書ける気がした。(自分で書いておいて、ちょっとつまらなそうだ。)

ただこんな感じで転職に関する文章を読んだだけでも、いろんな文章を書ける気がしてくる。

読むことで、自分ひとりでは書けなかった文章に出会うことができるんだ。

僕は本が読めない

よく「本を読もう!」という人がいる。

本を読むと賢くなれるし、書くためには本を読まないといけないって。

書く人や偉い人に読む人はたしかに多い。

僕は読書が得意じゃない。

人生で初めて読んだ本が『ハリーポッター』だった。はまってしまって学校の授業中にも読んでいた覚えがある。本当に面白かったのを覚えている。全巻8周くらいした。「いつもすごい本読んでるよね!」とクラスの友だちに言われたことがある。得意げに「本って面白いよ!」と返していた気がする。

「読書、得意じゃん!」と思われるかもしれない。

でも本当は、ちゃんと読んでなんかいなかった。

実際、かなりの部分を読み飛ばしていた。

なんでかはよくわからない。集中が続かないし、ここはいっかと勝手に判断して読み飛ばしてしまう。

分厚い本だから情報量が多すぎるけれど、多ければ多い分、だいたいの部分を把握していれば、だいたいの内容はわかる。

でも面白いと感じたから読んだ。

読めない本ばかりではない。読みやすい本もある。波長が合う文章というのが絶対に存在すると思う。

僕は村上春樹が読みやすいけれど、村上龍は読みにくい。東出圭吾の「秘密」はスムーズに読めたけれど、「容疑者Xの献身」は読みづらかった。

だから、僕は本を読む。

読んで、自分の心地いい文章を探す。見つけて、読む。そしたら書けることが増えてるから。書きたいことができるのを知っているから。

やっぱり書きたいから、読むんだ。

まだ出会ったことのない文章を書きたい。

僕が一番読む文章は、”自分が書いた文章”だ。何度も読み返す。

自分が書いた文章を、いい感じに書けたなって。何度でも読み返したくなる文章を自分が書くために、僕は読んで読んで、得意でなくても読む。

書きたいから読む。読みたいから。

置き換えるんだ

ただ読むだけじゃない。

いいなと思える文章を読むと書きたくなる。でもただ書くだけじゃ広がりは最小限になる。

だから、置き換える。

さっきの"転職"で考えてみよう。はじめは自分だったらどう思うかなと考えて書いていく。

そのうちに"自分以外の誰かに置き換えて書くことができるようになると、さらに書けることが増えていく。

今までだったら出会えなかった自分の文章に出会えるようになる。

大切な親友に向けて。弟や姉に向けて。愛する恋人に向けて。定年目前の両親に向けて。未来の子供に向けて。

まだ出会ったことのない誰かに向かってでも構わない。

そうやって自分や誰かに置き換えて考えていけば、”転職”という一つのジャンルもどんどんと広がっていく。

そうやってひとつからいろんなことに派生させていける思考が身についていくと、気がついたときには無意識で書きたいことが書けるようになっていくと思うんだ。

僕はまだまだそこまで行けてなんかいない。

だから常に読んだら考えるようにしている。自分だけではない誰かの視点から。大好きな人を思い浮かべながら。

そうやって、書いている。

コツコツは勝つコツ。

中学の恩師が言っていた言葉を、今もよく口にする。

コツコツと読んで、コツコツと書いていく。地味で、地道だけど、勝つために一番いい方法だと思う。書けなくても書けるように、書けない自分に勝つために、コツコツと積み重ねてやっていければそれでいいんだ。

読んだから書けた

今日は書けないなと思っていた。とても時間がかかった。

なにかを得たときに始まる人生もある。なにかを捨てたときにはじまる人生もある。 自分の人生がいつはじまるかなんてわからない。 はじまったら、はじまったときにわかる。

いつはじまるかなんてわからない。

だったら書くしかない。書き始めてしまえば、それは立派なはじまりだ。

書くために読むしかない。はじまりに出会うために読んで、とにかく書いていくしかない。

今日も書こうとした。はじまりに出会うために読んだ。だから書けた。

そうやって書いていこう。

まだ出会ったことのない文章に出会うために。

ぼくは明日も読んで、書いていく。

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