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【娘におくる手紙】1歳10か月、ことばの海原

▼1歳9か月、おおきいとちいさいを知る

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こんにちは。1歳10か月のあなたは、ことばがだいぶ増え始めました。
先月からポツポツと二語文も出はじめて、一段とおしゃべりに磨きがかかっています。

前に、あなたのことを赤ちゃんと感じられないと書いたけれど、貫禄あるおしゃべりを聞いてさらにその確信は増しています。

小さい子特有のあいまいな言葉をあなたはほとんど使いません。
どんな風に話すかというと、『おかわりする』『くるま、あっちからきたよ』『いまおしごとしてるの』『チンパンジーおきた』『○○がやってみたい』など。
単語も、昔から言っている「わんわん」や「にゃーにゃ」など以外は、大人とほとんど同じ単語を使ってはっきり話します。

さらに驚いているのがお母さんの呼び方を使い分けているところ。
普段家ではお母さんのことを『かか』と呼ぶあなた。
でもそれが、保育園にお迎えに行くと、お母さんを見つけた瞬間に『ママーーー!』と雄たけびをあげて喜びます。
叫びながら、先生に『ママ、きた!ママ!ママ!』と報告に行く。
「かか」なんてひとことも言いません。
だけど帰り道では、『かか、こっちだよー』と呼んで公園へ誘導する。(おかげで相変わらずなかなか家にたどり着きません)
さらに、おばあちゃんはお母さんのことを「おかあさん」と呼ぶから、おばあちゃんが遊びに来るとあなたもお母さんのことを『おかあさん』と呼び始める。

誰に教わったわけでもないのに、「お母さん」を表す表現が複数あって、だれにどんなことばで話せば伝わるのか、しっかり理解している。
その様子にただただ感心してしまいます。
バイリンガルってこんな風に自然にことばを身に着けながら育っていくんだろうな、と子どもの能力の片鱗を感じています。

バイリンガルといえば、お母さんが最近よく見ている動画があります。
サッカーの久保建英選手のインタビューやラジオ出演の動画です。
(久保選手のサッカーはちゃんと見たことがないのになぜかインタビューはたくさん見ています。)
インタビュアーの質問にネイティブそのもののスペイン語でこたえている久保選手は、日本語で話すよりものびのびしていて、自分の気持ちとことばが近い感じで、なにより自然体。
なんかいいなぁ。と思ってつい何度も見てしまいます。

久保選手は9歳からスペインで暮らして、現地の学校でまわりの子たちとの会話の中で真似しながらスペイン語を身に着けていったと知りました。
「勉強」の姿勢で向き合うのではなくて、自分と世界をつなぐことばを、環境を通して身に着けていく。
(もちろん久保選手はサッカーもスペイン語もものすごく努力をしたと思うけれど。)
今のあなたもまったくそれと同じだなぁと思って、なんだか親近感を感じています。
こんな風に久保選手の動画を見ている人なんてほかにはいないでしょう。
世の中にあるものの見方すら変えてしまうなんて、これが親ばかってやつかなと思うとそれも面白いです。

あなたは目下、保育園とおうちのバイリンガルとして、日々ことばの海原を広げていっています。
先月「おおきい」と「ちいさい」が言えるようになったと思ったら、今月は『もうちょっと、ちいさくする』と言ってきました。
バナナを一口大に切ってほしかったみたいです。
また最後が 食い意地の張った話になっちゃった。

それでは、また書きますね。


保育園帰りのスーパーで。『○○もリュックやりたい!』。母の苦肉の策によるビニール袋リュックをしょってご満悦でした。



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原田 理恵 | 喫茶 手紙寺分室 note 編集長
「誰かの想いを翻訳・編集して磨き上げ、多くの人に伝えていく」が信条。旅と、時間が経って朽ちた風合いや佇まいがあるものがすき。ペンのインクはブルーブラック派。喫茶で最高のクリームソーダを出すのが夢。
Smiles: Project & Company 所属。

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