「先延ばし」を克服する3分の術:行動科学で習慣づくり【005】
「先延ばし」を克服する3分の術:行動科学で習慣づくり
「あとでやる」「もう少ししてから取りかかろう」と、つい後回しにしてしまうことはありませんか?私も多々あります。むしろとても苦手でした。仕事、運動、資格勉強、部屋の片づけ……日常には先延ばしの誘惑が至る所に潜んでいます。今日の記事では、心理学・行動科学の研究をもとに、わずか3分で「先延ばし、後にしよう」という心のクセを整え、行動に移しやすくする簡単な工夫をご紹介します。
なぜ先延ばししてしまうのか?
先延ばしは怠けや意思の弱さだけで起きるわけではありません。心理学では、先延ばしは短期的な快感追求や不快回避が原因とされています。たとえば「勉強を始めると面倒」「運動は疲れる」というネガティブなイメージが強いと、人はその行動を後回しにします。逆に、行動による長期的なメリット(スキルアップ、健康増進)は、すぐには実感しにくいため、脳は「今やらなくてもいいや」と判断しがちなのです。
解決策:実行意図(Implementation Intentions)を活用する
「先延ばしをやめたい」と漠然と思っても、具体的な行動プランがなければ再び先延ばしてしまいます。そこで有効なのが、「実行意図(Implementation Intentions)」という心理学のテクニックです(Gollwitzer, 1999)。
実行意図とは「もし◯◯が起こったら、私は◇◇をする」という形式で、あらかじめ行動と状況をセットで決めておく方法。たとえば、「朝10時になったら、英単語帳を開く」「夕食後、10分だけ部屋を片付ける」といった具体的なタイミングと行動内容をセットにします。これにより、いざその瞬間が来たとき、あなたは「どうしようかな」と迷わず行動に移りやすくなります。
3分でできる習慣づくりステップ
行動を明確にする:
やろうと思っている行動を、1ステップで終わる具体的なアクションに落とし込みます。
例:「英語の勉強」ではなく「英単語帳を10分読む」、「ジムに行く」ではなく「ジム用シューズを玄関に用意する」。きっかけを定義する:
行動を起こすきっかけとなる時間や状況を、はっきり決めます。
例:「19時になったら(仕事から帰宅したら)英単語帳を10分読む」「朝起きてコーヒーをいれる前に、ストレッチを5回する」可能なら「ご褒美」や「セット行動」を追加:
行動に楽しみをプラスすると、先延ばしが減ります。たとえば、「英単語帳を10分読んだら、その後好きな音楽を聴く」「ウォーキングをしながら楽しみなポッドキャストを聴く」など、行動と快感を結びつける「誘惑バンドル(Temptation Bundling)」という手法も効果的です(Milkman et al., 2014)。
テストしてみましょう
今から3分だけ時間を取って、1つの行動を明確にし、その行動を起こす条件(タイミング)を決めてみてください。
行動:英語の単語帳を見る
タイミング:夜20時、夕食後すぐ
ご褒美:終わったら好きなドラマを1話視聴
これをメモ帳に書き出し、できればスマートフォンのリマインダーやカレンダーにセットすると、忘れにくくなります。
一緒に進んでいきましょう
いかがでしたか?先延ばしを減らすテクニックは、複雑なものではなく、事前に「もし~したら~する」と決めておく小さな工夫です。ぜひ明日から、あるいは今この記事を読み終わった直後から実践してみてください。初めての挑戦は、どんなに小さくても「行動し始めた」という前進です。
あなたの体験談や成功例があれば、ぜひコメント欄で教えてください!次回は、この実行意図をさらに強化する方法や、習慣形成理論との掛け合わせについて解説予定です。X(旧Twitter)でも随時ミニハックを発信中。#先延ばし克服 #実行意図 #誘惑バンドル で情報交換しましょう。
参考文献
Gollwitzer, P. M. (1999). Implementation Intentions: Strong Effects of Simple Plans. American Psychologist, 54(7), 493–503.
Milkman, K. L., Minson, J. A., & Volpp, K. G. (2014). Holding the Hunger Games Hostage at the Gym: An Evaluation of Temptation Bundling. Management Science, 60(2), 283–299.