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【半夏生】たこ焼きと明石焼きの違い

結論

  • 明石焼き→人工宝石の原料じゃない方と眼の前の海でたくさんとれるタコを使って玉子焼きとして売り出したら、好評だったから誕生した。

  • たこ焼き→明石焼きを元に独自のラジオ焼きを生み出したが、タコが一番相性よかったため、タコ入りのラジオ焼きに落ち着いた。

7月2日正午は一年の折返し

うるう年を除くと、7月2日正午が1年の折り返し地点(うるう年の場合は7月3日0時)です。年々、月日の流れが、あっという間に感じます。毎年、新たなことにチャレンジせず、ボーと過ごしていると時の流れが速くなっていきます。一日一日、新たな取組を少しずつ進めたいものです。みなさんは、2023年の前半、充実した日々を過ごされていますか?

半夏生

7月2日頃は、「半夏生」と呼ばれています。半夏生とは、夏至から数えて11日目となる7月2日頃~七夕(7月7日)の約5日間のことを指します。この時期になると、「半夏ハンゲ」という薬草が茂るから、半夏生と呼ばれるようになりました。過去の経験から、田植えを終わらせる目安とされています。地方によっては農作業に体を休める期間になっているところもあります。

半夏生を境に、東北地方南部〜九州南部では、梅雨の後半に差し掛かります。南から湿った暖かい風が梅雨前線に流れ込みやすくなります。梅雨前線が活発になり、大雨をもたらし、土砂災害のリスクが増します。毎年のように、西日本を中心に、災害が起きているように思います。災害への備えは非常に大切です。

半夏生に食べるものは地域によって異なります。関西では、タコ、香川県では、うどんを食べます。

今回は、関西を中心に、半夏生にタコを食べる理由、関西のタコ料理の代表であるタコ焼き、明石焼きについて解説します。

 香川県のうどん文化については、こちらの記事をお読みください。

なぜ、半夏生にタコを食べるのか?

タコは、一般的に腕が6本、脚が2本あります(以下、まとめて脚と記述)。このように脚が多いことから「多脚」、「手許多(てここら)」と呼ばれていました。タコの脚は切れやすく、再生するときに1本増えます。鳥羽水族館では、86本の脚をもつタコの標本が見られます。タコは脚の吸盤を使って岩場にしがみつき、潮の流れにも耐えてじっと居続けることができます。それにあやかって、「苗がしっかり大地に根を張りますように」「稲がタコの脚のようにたくさん生えてきますように」という願いがこめられています。

日本は全世界でとれる60%のタコを消費しています。中東や地中海に面していないヨーロッパの地域など、一部の国ではデビルフィッシュなどと呼ばれ、ゲテモノ扱いされます。タウリン、ビタミンB2、亜鉛など栄養豊富で、疲労回復などの効果が期待されます。

明石焼き

日本の標準時子午線(東経135度)を通る街が明石市です。

日本標準時子午線のモニュメントのある街

明石焼きは、明石市のローカルフードです。地元では「卵焼き」と呼ばれています。明石焼きは、たこ焼きの原型と言われています。卵と小麦粉を出汁で溶いた生地、タコを、銅板で作った型に流し込み、たこ焼きのように焼きます。出汁につけて食べます。明石市内には70店舗、明石焼きを提供しているお店があります。専門店だけではなく、喫茶店でも食べられます。食べ比べても楽しいです。

歴史

大正時代、向井清太郎が卵焼きの屋台を始め、評判になったことがきっかけと言われています。当時、明石では、「明石玉」という人工のサンゴのような宝石が造られていました。その原料に卵白が使用されていました。余った卵黄と明石海峡でたくさん獲れるタコを使った卵焼きが評判になったと言われています(諸説あり)。1989年、明石の地名を広めるために「明石焼き」と名付けられました。

明石市でおいしいタコが豊富に獲れる理由

明石市は、兵庫県と淡路島の間、明石海峡に面しています。明石海峡は海底の砂がなくなるほど潮の流れが速い海峡です。明石海峡に棲むタコは、この速い流れに耐えるため、岩場に張り付きます。その結果、腕が筋肉質に発達します。さらに、潮の流れがぶつかり合うことにより、海面が変化し、潮目が発生します。海底から栄養が巻き上げられ、それらを餌とするプランクトンがたくさん発生します。プランクトンに集まるエビ、カニを食べて成長することによってタコのおいしさが増します。

たこ焼きとの違い

銅鍋で焼かれて、たこ焼きと見た目がそっくりです。食べると、生地のもったり感が、明石焼きにはありません。茶碗蒸しのような、サラサラ感に近いです。明石焼きの生地には、卵と出汁をたっぷり入れています。粉は、小麦粉のグルテンを除去し、でんぷんだけ残した、じん粉を使用しています。じん粉は、中華料理の点心、和菓子の原料にも使われています。じん粉は、グルテンを含まないため、加熱しても硬くなりにくいです。

出汁に浸すという独特の食べ方も、たこ焼きとはちがいます。たこ焼きはソース、マヨネーズなどかけて食べます。それに対し、明石焼きは出汁に浸して食べます。厚焼き玉子のようにフワフワで、タコのコリコリ感も味わえます。出汁が上品で、飲み干したくなります。

地元の喫茶店で食べた明石焼き500円

たこ焼き

たこ焼きは、大阪発祥です。大阪に移住した会津出身の職人が明石から来たお客さんと出会い、たこやきが誕生しました。1933年、大阪の屋台として現在の会津屋が誕生しました。タコが入る前は、こんにゃく、すじ肉、豆などを具として、「ラジオ焼き」と名付けられました。当時、ラジオは目新しく、家庭にとってあこがれの存在でした。ハイカラな名前をつけて人々の目をひきつけました。

しかし、発売当初の評判は低かったです。特に、スジ肉は冷めると硬くなり味も落ちます。冷めても美味しい具材とはなにか考えたとき、お客さんの「明石ではタコを入れている。」という話を聞いて、タコを入れてみたところ、人気になりました。また、明石と大阪は新快速で40分ほどで行くことができるほど近く、タコが手軽に入りました。

たこ焼きはソースとマヨネーズをかけて食べるものがメジャーです。しかし、会津屋のたこやきは、生地に醤油味がついています。会津屋のたこやきの味のモデルは、創業者の故郷の会津地方の郷土料理、こづゆと言われています。こづゆとは、豆麩、干し貝柱、キクラゲ、干し椎茸、糸こんにゃく、サトイモ、ニンジンという7種類の基本的な具材に加えて各家庭で海の幸、山の幸の具材を追加した具だくさんのしょうゆベースの汁物です。乾物が多く、さまざまな具材から出汁が出ています。19世紀前半、庶民のごちそうとして広まり、現在では冠婚葬祭のときに、提供されるおもてなし料理として定着しています 。

こづゆ

会津屋のたこ焼きは、出汁の効いた醤油味でした。

会津屋のたこ焼き

世界各地のたこ焼き

たこ焼きは、関東では、銀だこのように表面をカリカリに揚げ焼きにしたイメージがメジャーだと思います。一方、大阪など関西で見られるたこ焼きは、柔らかく、トロトロなタイプが多いように思います。

ちなみに、台中にある夜市では、ワサビたこ焼きが販売されていました。一般的に売られているソース味のたこ焼きの上に大量のワサビをかけます。見た目から、涙が出るほどツーンとするだろうと思います。しかし、食べてみると、マヨネーズなどの油分のおかげか、辛味をほとんど感じず、さっぱりマイルドな味わいになります。帰国して以来、タコ焼きにワサビをかけて食べることが定番になりました。現地に住んでいる方に薦められ、逆輸入していく食習慣は、こうしてできたと感じました

皆さんも、ぜひ、たこ焼きにワサビをかけて食べてみてください。世界観が変わります。

また、クアラルンプールで販売されていたたこ焼きは、イイダコが使われており、たこを食べているのではなく、生地だけ食べており、甘みのない生カステラを食べている感覚でした。日本のたこ焼きには、マダコが使われており、タコの種類が味に大きく影響していることが分かりました。ちなみに、クアラルンプールで食べたたこ焼きの値段は訪問時、150円でした。(経済成長により値段が変わっています。)

クアラルンプールのショッピングモールで購入した、たこ焼き

皆さんは、銀だこのような表面カリカリ、中トロリのたこ焼きと、露店で見られるような外フワ、中トロリのたこ焼き、どちらが好きですか?

また、オススメのたこ焼きのお店があればコメントで教えていただけると嬉しいです。

参考文献

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たびてく@一人旅ガチ勢
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