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【日本のカツ丼 第一話】各地のソースカツ丼を食べ比べてみた
結論:ソースに浸す方式、ソースをかける方式、カツ定食をまとめる方式がある。
みなさんの地域で食べられているカツ丼は、どのタイプでしょうか?
カツ丼は、地域によって主に食べられているタイプは異なります。私の知る限り、玉子とじタイプ、ウスターソースタイプ、デミグラスソースタイプ、醤油タレタイプ、味噌タイプの5種類があります。
みなさんの食べられる地域では、どのタイプのカツ丼が定番になっているのでしょうか?コメントで教えていただけると嬉しいです。ちなみに、私はウスターソースタイプのカツ丼派です。
今回は、全国的に点在するウスターソースタイプのカツ丼について話します。
ウスターソースタイプ
元祖は東京→福井に移った
福井駅前にあるヨーロッパ軒がウスターソースタイプのカツ丼の発祥と言われています。ヨーロッパ軒は福井市を中心に福井県内に19店あります。庶民にウスターソースを認知してもらうために、創業者がウスターソースタイプのカツ丼を開発しました。
玉子とじタイプのカツ丼発祥のお店ある三朝庵と同じく、早稲田で誕生しました。
ヨーロッパ軒の創業者はドイツの日本出身の方々向けのレストランの和食部門で修行していました。しかし、一時帰国のときに、明治天皇が崩御され、喪に服さなければならず、渡航禁止令が発令されました。そのため、ドイツに戻ることを断念しました。
1913年の料理発表会でポークカツレツをウスターソースにくぐらせ、丼に盛られたご飯の上に乗せた料理を披露しました。同年11月、玉子とじタイプのカツ丼の発祥の地お店である三朝庵の近く、早稲田にソースカツ丼を看板にするお店を創業しました。
しかし、関東大震災で店舗が倒壊したのをきっかけに、早稲田にあった店を閉め、地元の福井に戻りました。1924年、ヨーロッパ軒を福井市に創業。関東大震災による東京撤退をきっかけに、ウスターソースタイプのカツ丼は全国に広まりませんでした。
薄くスライスされた豚肉を細かいパン粉につけて揚げて、甘辛いソースを浸していました。パン粉が細かいため、油が吸収されにくく、あっさりしていました。ご飯にもソースが染みます。
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長野県駒ヶ根市
長野駅、軽井沢町にもある明治亭が特に有名です。駒ヶ根市内各地には、ソースカツ丼のお店が目立ちます。御飯の上に千切りキャベツ、ソースに浸したトンカツをのせた丼が駒ヶ根市のソースカツ丼です。1936年頃、浅草の洋食屋で食べたカツ丼の味を再現した結果、誕生したと言われています。
同じタイプのカツ丼は、長野県内でも所々で食べられます。
今回は、駒ヶ岳ロープウェイの入口、ガロで食べました。山盛りされた千切りキャベツ、巨大なトンカツ。トンカツのソースと合わさったジューシーさとパン粉のサクサク感、千切りキャベツのシャキシャキ感がたまりません。非常に食べ応えのあるソースカツ丼でした。
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福島県会津若松市
会津若松市は福島県西部会津地方の中心都市。会津ソースカツ丼の特徴は、丼に御飯を盛り、その上に、キャベツ、トンカツをのせてウスターソースをかけたことです。
会津若松でソースカツ丼が根付いたきっかけは、戦前、会津若松市内の食堂の店主が新たな味を求めて東京からコックを呼び寄せ、誕生した説や、戦後、物資のない時代に手軽に食べられるごちそうとして誕生した説があります。
ソースをかけるタイプのため、衣にソースがかかってない部分もあり、サクサク感が失われず、好きなカツ丼です。ウスターソースがトンカツに染みています。ご飯の上に千切りキャベツが乗ることによって、少しキャベツが蒸されて、より美味しく感じられます。
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山梨県
山梨県内でも、甲府盆地の辺りでは、カツ丼といえば、カツを煮込まず、ソースをかけて食べるカツ丼のことを指します。一方、一般的なカツ丼は煮カツ丼と言います。
甲府盆地付近で食べられているカツ丼とはいっても、カツ定食を一つの器にまとめたもの。ご飯の上に千切りキャベツ、トンカツ、おかずをのせてソースをかけるスタイルです。
明治30年代、甲府市の蕎麦屋さん「奥村」の由井新兵衛が始めたと言われています。東京の食文化を甲府に持ち帰りました。おかずと御飯をまとめることによって、出前の持ち運びしやすくしました。
一つにまとまっていることにより、後片付けも楽というアイデアも詰まっていました。
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今回は、玉子とじタイプ、ウスターソースタイプのカツ丼について話しました。次回、醤油タレ方式のカツ丼について語ります。
参考文献
https://www.komacci.or.jp/katsu/
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