文豪も愛した、鹿児島でさつま揚げの食べ歩きをしてみた

さつまあげ

 関東では「さつまあげ」、関西では「てんぷら」、鹿児島では「つきあげ」とも呼ばれてます。魚のすり身を塩、砂糖などで味つけし、具材とともに練って棒状、丸形、菱形などさまざまな形に整えてから揚げたもの。すり身の中に、玉ねぎ、サツマイモなどの野菜、イカ、タコなどの海鮮、紅生姜やチーズを練りこむなど、バリエーション豊富です。さらに豆腐を混ぜることにより、ふわふわした食感に変化します。
 ショウガ醤油をつけて食べるのもよいですが、なにもつけないで食べるのが本来のさつま揚げの味を感じられます。
 全国各地のスーパーでも売られてますが、本場で、できたてを食べ歩く旅がオススメです。

栄養素

 1枚(65g換算)当たりのカロリーは90kcalと低カロリー。魚をまるごとすり身にしているため、タンパク質、カルシウムも豊富。2枚食べるだけで1食分のタンパク質が摂取できます。揚げているにも関わらず、脂肪はわずか3gと意外と低いです。糖質は約10g。

歴史

 1846年頃、琉球から魚肉のすり身を油で揚げた食べ物「チキアーギ」が薩摩に伝わり、独特の製法で造り上げたものがはじまりと言われています。油で揚げている理由は、当時、冷蔵庫がなかったため、高温多湿な夏でも保存できるようにするから。
 また、第11代薩摩藩主島津斉彬が江戸のはんぺんやかまぼこの技術を導入して改良させたものがはじまりという説もあります。幕末、薩摩藩から関東に伝来したため、さつま揚げと呼ばれるようになりました。

著名人も愛したさつまあげ

「父の詫び状」の著者として有名な向田邦子さんも、「私のマドレーヌは薩摩揚げである。」と表現するほどのお気にいり。
 父の転勤の影響で小学4~6年の3年間を鹿児島に滞在していた向田邦子さん。クラスメイトのお店や自宅近辺の蒲鉾屋さんでさつまあげの揚がるところを眺めていたほど、生活の一部になっていました。

つけ揚げ

 薩摩揚げの別称。江戸時代の鹿児島県は琉球と貿易しており、琉球経由で中国、東南アジアの文化が伝来しました。琉球の「チキアーギ」から「つきあげ」へ呼び名が変化しています。
 地域によって使用する魚も異なります。使用される魚は、ハモ、エソ、グチ、マアジ、トビウオ、マサバ、サメなど。屋久島では、トビウオのすり身をふんだんに使ったつき揚げ。トビウオは日本の南にある黒潮を回遊する魚で胸ビレを開いて水面を飛行機のように離陸する魚。屋久島は日本一のトビウオの漁獲量。低カロリー、低脂肪、高タンパク質でミネラル豊富な魚です。屋久島では、丸ごと焼いたり、揚げるだけではなくすり身にも利用しています。九州地方では、焼いて干したものを出汁でとった「あごだし」が有名です。さらに、卵は「とびっこ」として知られています。

今回食べ歩いたお店

揚立屋

 1970年創業のさつま揚げ専門店。食べ歩きで1個ずつから購入可能。
棒天、丸天などシンプルなさつま揚げから、季節の野菜を練りこんださつま揚げもあります。さらに、ウインナーをすり身で巻いた「黒豚ドック」などオリジナルの商品もあります。
 原料となる魚は季節によって変わります。スケソウダラ、エソ、イトヨリなどの魚を旬ごとに美味しさを最大限に活かせる配合で作られます。
 魚だけではなく、塩、菜種油、水にもこだわっており、味は塩分、甘さ控えめで素材の味が生きています。食の安全を創業時から考えており、添加物不使用。

営業時間 10:00~19:00
定休日  不定休
アクセス 天文館通り駅から徒歩1分

魚やUu

 JR南の終点、枕崎駅から、徒歩15分。枕崎港が目の前にある小さなお店。
枕崎の海の幸を味わえたり、お土産もそろう枕崎おさかなセンターの向かい側にあります。
 枕崎で獲れた魚を主原料に、地元の野菜も練りこんでいます。揚げたてを食べることができ、価格も100円でおつりがでるものもあり、リーズナブル。食べ歩きにピッタリ。
 揚げたてはアツアツ、甘みが効いています。
 目の前の海で獲れた新鮮な魚も販売。

営業時間 9:00~18:00定休日  第1,3水曜日アクセス 枕崎駅から徒歩15分

屋久島で民宿をやってました

 鹿児島の島飯にも登場したお店。元屋久島で民宿を経営していたオーナーが経営している居酒屋。
 そこで味わえるトビウオのつきあげ。トビウオは青魚のためか、黒味を帯びています。プリプリの食感で優しい甘みも感じられます。
 お店について、詳細は下の記事をご覧ください。

営業時間 16:16~22:22
定休日  火曜日
アクセス 天文館通り駅から徒歩3分

 さつま揚げ、味も魚も形も地域やお店によって異なります。手軽に食べられるのでさつま揚げの食べ比べして、自分好みのさつま揚げを探すのもオススメです。

愛媛のじゃこ天

 愛媛県には、独自に発展した練りものの天麩羅があります。その名は「じゃこ天」。詳しくは、下記の記事をごらんください。


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たびてく@一人旅ガチ勢
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