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【マーケ失敗談】タクシー広告に数百万かけたけど大赤字に終わった話
こんにちは!テクロ株式会社でインターンをしている、比留間です。
このnoteも7本目ということで、今回はテクロの失敗談を披露したいと思います。好評であれば、【マーケ失敗談】シリーズ化していきたいですね。
今回のテーマはタクシー広告です。
BtoBマーケティングには様々な手法が存在しますが、タクシー広告はド定番の施策というわけではありません。
そのため、今回のnoteでは
・タクシー広告で失敗してしまった理由
・タクシー広告を実施する企業に向けたアドバイス
などを書いていきたいと思います。
タクシー広告を検討している方の参考になれば幸いです。
▼弊社の失敗に対する考え方はこちら
仕事の失敗から目を背けるな。ただのデータと捉えれば良い点も見つかる?
タクシー広告配信にあたってのあれこれ
テクロが実施したタクシー広告の概要
テクロがタクシー広告を実施したのは、2022年の1月と、今から2年以上前のことです。当時タクシー広告を実施するに至った理由は、2つあります。
1つは、「BtoBのリード獲得ならテクロ」という第一想起を獲得し、指名検索数を増やしていくためです。
当時は全くと言っていいほど認知施策を行っていなかったので、同時にYouTube広告も配信することで一気に認知を広めたい、という思いがありました。
そしてもう1つは、サービス拡充に向けたデータ検証のためです。
当時はタクシー広告が流行していたこともあり、タクシー広告からリード獲得まで、一貫して支援を行うプランの販売を検討していました。実際にタクシー広告の効果や需要はありそうか、自社で検証してみようとなったのです。
概要としては、以下の通りです。
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目的は決裁者への認知拡大で、KPIには、指名検索数・サイトのPV数・新規リード獲得数を設定していました。
リード獲得数は計測しにくい項目のため、お問い合わせフォームの「自社を知ったきっかけ」欄に「タクシー広告を見た」という選択肢を追加しました。さらに、商談時に可能な限り、タクシー広告を閲覧したかヒアリングするようにしていました。
配信開始までの流れ
タクシー広告配信開始までの大体の流れは、以下の通りです。
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2021年の夏頃には、タクシー広告を実施すると決めていました。
動画については、制作会社と内容の相談やCMの撮影を行い、Web施策(YouTube広告)や動画入稿などを準備していきました。
タクシー広告には、大体4ヶ月ほどの準備期間が必要になります。
頑張れば2ヶ月で準備できないこともありませんが、動画制作の部分にはかなり時間をかけた方が良いかと思います。
当然ですが、動画は丁寧に作らないとターゲットがぶれてしまったり、何を伝えたいのかがわからなくなったりしてしまいます。制作会社とこまめにコンタクトを取りながら、丁寧に、視聴者に伝わる動画を作ることが大切です。
タクシー広告からの売上0という現実
配信してみての結果
タクシー広告を4週間配信した結果は、以下の通りです。
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たしかに指名検索数は増えましたが、元が微々たる数だったことや、同時期にYouTube広告も配信していたことも考慮すると、1.5倍というのは良い結果だったとはいえません。
また、商談時に「タクシー広告を見た」という声は一切聞かなかったことから、残念なことに、タクシー広告は売上には1円も繋がらなかったことがわかりました。
タクシー広告が失敗した要因
なぜこんな結果になってしまったのかを振り返ると、タクシー広告の特性上の要因が2つ、テクロの落ち度が2つの、計4つの要因があるように思います。
まず、タクシー広告の特性上の要因1つ目は、ソリューション型のサービスとタクシー広告の相性が悪いことです。
タクシー広告は、20〜30秒という短い時間でサービスの魅力を伝えなければいけません。一方で、テクロの提供しているオウンドメディアの運用代行というサービスは、商談で1時間ほどかけて、やっと魅力を理解してもらえるものです。数十秒という短い時間では、オウンドメディアそのものを理解してもらうことすら難しいでしょう。
その点、Saas系のツールやわかりやすいサービスなら、タクシー広告と相性がいいと言えるでしょう。
2つ目は、地方(福岡と京都)で広告を配信したのが良くなかったことです。
実際に配信して感じたのが、タクシー広告は東京か全国で流さないとほとんど意味がないということです。そもそもタクシー内に設置されているデジタルサイネージの数が、東京以外は極端に少ないようです。予算の関係で地方に限定したのが悪手でした。
タクシー広告を経験した他の会社とも話しましたが、皆さん口を揃えて、「タクシー広告は東京じゃないとダメだ」と仰っていました。
次に、テクロの落ち度1つ目は、タクシー広告で認知→問い合わせに至るまでの導線を確保できていなかったことです。
ただ広告を配信するのではなく、その後検索させるためのキーワード選びや、追加の施策が必要でした。Web広告ならそのままサイトに飛んでもらえたりしやすいですが、タクシー広告ではそうはいきません。やってみよう精神が先行したのもあり、「タクシー広告はリード獲得に直結する施策ではない」という認識をしっかり持てていなかったのだと思います。
2つ目は、シンプルに動画の内容があまり良くなかったことです。
これは制作会社さんの問題ではなく、構成段階で良いものを作ることができなかったテクロが100%悪いです。
こちらが実際に流した動画なので、気になる方はぜひご覧ください。
BtoB企業向け伴走型Webマーケティング支援|テクロ株式会社
配信当時、会社として伝えたいことやブランディングの方向性がしっかりと定まっていなかったこともあり、動画の内容自体が薄いものになってしまいました。
実際に動画を見直してみると、表示される施策が多すぎて何をしてくれる会社なのかイメージがつきません。加えて、あっという間に情報が流れていき、悪い意味でスピード感がある動画になっています。
色々と修正するべき部分はありますが、もし今動画を制作するとしたら、とにかく一定のワードを繰り返して印象付けると思います。
まとめると、とにかくテクロ側の準備不足が原因で大失敗してしまったといえるでしょう。
今後の教訓
この失敗から、どの企業に対しても間違いなくお伝えできるアドバイスは、以下の4つです。
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今後タクシー広告を実施する際は、最低限この4つを押さえていただけるといいかなと思います。
▼弊社の失敗に対する考え方はこちら
仕事の失敗から目を背けるな。ただのデータと捉えれば良い点も見つかる?
まとめ
とはいえ、タクシー広告にもメリットはある
ここまで散々ネガキャンじみたことを書いてしまいましたが、もちろんタクシー広告にもメリットはあります。
まず、広告が乗客の目に留まりやすいので、しっかりと広告を見てもらうことができます。タクシーは個室空間なので、雑音や乗客の視線を阻害するものがないため、広告に集中しやすいです。また、アドケースやデジタルサイネージなどは乗客の目線に合わせて設置されているため、高い確率で乗客の視界に入るでしょう。
それから、他の施策と比べて圧倒的に経営層・富裕層にアプローチしやすいです。タクシーは公共交通機関と比べてこのような層に利用されやすいので、決定権を持った相手を狙い撃ちしやすいでしょう。
タクシー広告が向いている会社とは
最後に、タクシー広告が向いている会社について軽く触れておきます。
まず、予算を出し渋らずに1憶円(最低5000万円)ぐらい出せる会社です。
1週間、全国でタクシー広告を流そうとすると、1000万円程度かかります。効果を出すのに4週間くらいは必要と考えると4000万円。そこに動画の制作費など、諸々の費用を1000万円と考えて追加すると、5000万円は必要になります。
また、Saas系のツールを提供している会社も相性が良いでしょう。
短い広告でもサービス内容や魅力が伝わりやすいため、タクシー広告が効果を発揮するはずです。
それから、他の施策をやりつくしたので、何か新しいことをやってみたい会社も、タクシー広告を試してみる価値はあると思います。
実際にやってみたから見えたことですが、このようにタクシー広告との相性を考えると、テクロはやはりタクシー広告には向かなかったのだと感じます。
タクシー広告で失敗した後は、従来のオウンドメディアでの集客に更に力を入れ、2年間で新しいサービスを提供開始するなどの成長を遂げました。
このnoteを読んで、自社にはタクシー広告は向いていないと感じた方は、ぜひ一度、予算がなくても正しい手順で時間をかければ確実に成果を出せるオウンドメディアを検討してみてください。
▼オウンドメディアを始めてみたい方におすすめのお役立ち資料
Webメディア作成マニュアル | テクロ株式会社
▼既にオウンドメディアを運用しているが成果が出ない方におすすめのお役立ち資料
記事の効果測定方法と原因に合った改善策 | テクロ株式会社
一人でも多くの方がこの失敗談から学び、マーケティングでより良い結果を出せることを願って、今回のnoteはここまでとさせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!