1984年 ジョージ・オーウェル
書名:1984年
著者:ジョージ・オーウェル
出版社:早川書房
発行日:2009年7月18日
読了日:2020年1月5日
ページ数:512ページ
1月 :6冊目
年累計:6冊目
正月休み最終日に読み終わった。
ディストピア小説としても有名で
名作の1984年。浮かばれない〜。
イギリスの作家・ジョージオーウェル。
これが発刊されたのは1949年。
そこから35年後の1984年を描いた作品。
今の2020年から逆算すると36年前の世界。
独裁国家の元で国民全員が監視・管理される世界。
・ニュースピーク
・二重思考
といった概念が出てきます。
非常に興味深い。
二重思考は心理学でいう認知的不協和なのかな?って思います。
昨今、AIや中国の増え続ける監視カメラが話題になってますが
もしかしていつの日かこういう社会が来るのでは?っ
て思わせるくらい
結構リアルで恐ろしい世界観です。
国家にとって好ましくない思考や行動は全て罰せられる。
たとえそれば表情であってもである。
公共の場や”テレスクリーン”の補足範囲内で
無意識のうちに出る不安、独り言、異常性を感じさせるもの
そうした事を見せたら危険な世界。
初めからいなかった人として扱われる。
どっかの国でもありそうな…。
言論の自由どころか、思考の自由すらないのである。
それは思考犯罪、表情犯罪として罰せられる。
不都合な過去は改竄されて、修正される。
現状と矛盾する場合には記録に残される事はない。
歴史は書かれた文字を消して、その上に上書きされる。
主人公のウィンストン・スミスの仕事は
改竄、偽造、変造を日々する事である。
その証拠はそれを改竄したスミスの頭の中にだけ存在する。
これってものすごく恐ろしい事ですね。
記憶はいつしかおぼつかなくなり
文字記録が偽造されるとき
それが現実となる。
そしてその審議を確かめるために参照すべき
基準が存在しないから確認のしようがない。
「思考」させないって事はそもそも反乱分子すら
生まれさせないという事である。
そして、”ニュースピーク”という新語法により
語彙の削減や略語化される世界。
国民が言葉によって知力をつけ反逆しないようにしている。
goodの反対はbadだが、ungoodで良いではないか?
そういう事である。論理的思考力が削がれる。
怖すぎる…。
本文にも出てくるが
”はっきりとした意識を持つようになるまで、かれらは決して反逆しない。”
”全体を見通す考えを持たないので
不満をいくつかの取るに足らない個別の
原因に帰着させるより他なかった”
自分自身で考える事をさせない
そうした情報を与えない
権力者の思い通りに洗脳されてしまう。
”自由とは2+2=4であるといえる自由である。
その自由が認められるならば、他の自由は全て後からついてくる”
これは上が白といったら、下のものはみんな黒と従う。
こんな事があってはならないだろう。
そしてこの国家は階級社会。
・党内局
・党外局
・プロール(85%)
この階級社会についても興味深い言及がある。
”階級社会は貧困と無知を基盤にしない限り、成立しえないのだ”
何を言っているかというと
プロールという最下層が読み書きを習得し自分で考える力を持つと
中間層以上に反逆するという事を示している。
”人は社会的地位が高くなるにつれ、
戦争ヒステリーが強まっていくという事実だ
戦争に対する態度が一番まっとうであるのは
係争地域に住んでいる服従を強いられた人々である”
正直、日本でも公文書の管理など
色々問題が起きていますが
何が真実かわからなくなるというのは非常に危険です。
権力というのは富以上に恐ろしい事を認識しないとダメ。
そして、イランと米国の緊張が極限にまで高まっている現在。
イラン市民は戦争なんか望んでいないという
当然の声が上がっている。
幸い今の日本は自分で判断ができる社会です。
但し、何を判断材料にするかがポイントです。
それはテレビなのか?新聞なのか?ネットなのか?
一次情報?二次情報?
まずは正しい情報を見極める事
多面的に物事を見ていく事
そうしないといつのまにか偏って
思考停止に陥ってしまう。
そんな事を思いました。
これは2020年に改めて多くの人に
読んでほしい1冊である。