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ルポ 死刑

書名:ルポ 死刑
著者:佐藤 大介
出版社: 幻冬舎
発行日: 2021年11月25日
読了日:2022年1月10日
ページ数:288ページ
1月  :3冊目
年累計:3冊目

私自身は死刑制度に賛成の立場です。
そのため、書評もバイアスがかかっていること
ご承知ください。

さて、この本は少し偏りがある気がしました。
死刑制度の廃止を訴えているわけではないけれども
死刑制度の存廃を議論すべきでないかとの提言がある。
死刑制度にかわる、終身刑があれば
多くの人は死刑制度はなくても良いのではないか?

つまり、現行制度の維持に課題的をする形である。

帯にある「死刑賛成とこれを読んでも言えますか?」
正直、この帯自体は誇張し過ぎな気がした。

極刑の現場は公になる事はないです。
それをインタビューや取材から明らかにした本なので
読み応えはあります。
死刑確定者へのインタビューから
実際の執行する刑務官の心情まで
事細かに描かれています。

先進国で死刑制度があるのは米国(州によっては廃止)と日本だけである。

ただ、死刑囚の立場から書かれていて
それだけの罪を犯したのだから仕方ないのでは?
と素直に思ってしまった。

社会と完全に隔離されて、文通や面会もかなり制限されている。
その日の朝に刑の執行を言い渡させる死刑囚。
そして、絞首刑の残酷さを伝えている。

死刑囚の言葉で
現世を去る際に会っておきたい人、書いておきたい事
自分自身の整理をする事は必要であり、突然執行されると
悔いと恨みが残り、非人道的である。
(一部要約)

死刑囚は複数人を殺害している事がほとんど。
では、その殺された人は死ぬ間際に準備する時間があったのか?
一度しかない人生を理不尽に閉ざされた人がいるのに
なぜ、自分自身の問題になると、ここまで身勝手なことを言うのか。

私は全く同情ができなかった。

刑務官の負担が重いことはある。
そして、失敗が許されない職務であることもわかる。

非情かもしれないが、将来的にはAI・ロボットが自動で
刑の執行を補助する時代が来るのではないだろうか。
そうすれば、善良な人の心が痛むことはなくなる。

大阪の20人以上が亡くなった放火事件。
もし、死刑制度がなければ、どんだけ凶悪な犯罪をしても
一生刑務所もしくは社会で生き続けることができる。

そんな人に社会は更生を望むだろうか?
チャンスをあげるべきだろうか?

終身刑の場合、どんだけ悔い改めて贖罪をしても
社会に出ることができない、これまた究極の刑である。

いずれにせよ、多くの人の命を奪った者に対して
被害者が仇討ちすることは認められてない以上
国家がそれをするしかないのではないだろうか。

そして、死刑確定者はもちろん、刑務官、そして被害者。
犯罪は誰も幸せになることないのである。


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