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水位差を乗り越える技術

水位差を乗り越える技術

航路に水位差がある場合,そのまま水路をつなぐと水路に急激な流れができて船の進行を阻害し、両水面の水位を維持できなくなります。水位差のある水面間を移動する手段は2種類

(インクライン)

インクラインは、二つの水域の間にケーブルカーの設備を設けて、機械的に船を移動させる方法です。斜面に線路を設置し、船を乗せた台車をケーブルで巻き上げたり、降下させたりするもので、琵琶湖疏水などに例があります。

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新幹線の車内を静かにする工夫

新幹線の車内を静かにする工夫

スピードが速くなれば車内で聞こえる騒音も当然大きくなります。でも、JRや私鉄などの通勤電車の車内騒音は約70~80dBで、新幹線の車内は約60~70dBと、車内騒音がかなり軽減されています。
新幹線の車内には、プラスチック製の吸音材が天井・壁・床にたくさん貼り付けられ、車外の音が車内に伝わらないようになっています。窓は3枚のガラスに空気の層をはさんだつくりにし、外の音が伝わりにくくしています。

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新幹線の自動消雪装置

新幹線の自動消雪装置

東海道新幹線は例年、岐阜県や滋賀県の区間で降雪に見舞われる。雪は高速で走る新幹線の台車に付着して大きな氷塊になり、落ちると線路に敷き詰めた石に激しい勢いで衝突する。石が吹き飛んで車体を傷つける恐れがあり、台車の除雪が欠かせない。

雪の日に最大40人の作業員を配置し、高圧洗浄機で除去している。天気予報を基に待機する場合があるなど人的負担が重い。名古屋と新大阪の両駅で実施しておりコストもかさむ。

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車内監視システム

車内監視システム

Hyundai Mobisは、ドライバーを含めた全乗員の姿勢、位置、動作、生体信号などを車内カメラで検知する技術を開発した。この技術は、ドライバーの居眠り運転や携帯電話の使用、シートベルト着用の有無、後席の子どもの状態などを検出する車内監視システム「In-Cabin Monitoring System(ICM)」として、2025年から自動車メーカー向けに販売する。

ドライバーが居眠りをしているこ

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鳥の隊列飛行を飛行機に応用

鳥の隊列飛行を飛行機に応用

空を見上げた時に、渡り鳥が“V”の字や“へ”の字ともいえる、形で飛んでいるのを見たことがあるだろう。隊列を組んで飛ぶことで、前を飛ぶ鳥の後ろに生じる上昇気流を、後ろの鳥が自身を浮かすのに利用しているのである。渡り鳥の中には数万キロという長い距離を飛んで移動する種もおり、飛んでいるときのエネルギー節約はとても重要なことなのだ。
 
この鳥の隊列を飛行機で活かそうと、エアバス社が検証しているのが『fe

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車の進歩 エンジン始動

車の進歩 エンジン始動

 現在の車のエンジンの始動は、「電子燃料噴射」方式が一般的だが、昔の車は「気化器(キャブレター)」仕様だった。

 キャブレター仕様の車を冬季に始動するには、先ず「チョーク」を引いてからセルを回し、エンジンがかかったら、微妙にアクセルで調整して、回転数が安定する様に少しずつチョークを戻す。セルモーターを回す際のアクセルは、その車固有のクセを把握して、ベタ踏みするか、半分程度踏み込んで置くか、アクセ

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車の補器類の進歩 ラジオ

車の補器類の進歩 ラジオ

昔の車はAMラジオだった。ラジオ受信機は、トランジスタになる前には真空管式だから、スイッチを入れてから少し経ってラジオが鳴り出した。

その頃のカーラジオのアンテナは、ロッド式で、大体はフロントフェンダーに埋め込まれていて、アンテナ先端のリング状の窪みに簡単な鍵を差し込んで引っ張り出していた。

 その後、ラジオのスイッチを入れると、1段分が飛び出す方式が普及した。そして上級機種には、モーターで上

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車の補器類の進歩 パワーウインドウ

車の補器類の進歩 パワーウインドウ

 パワーウインドウ(PW = power windows)登場以前は、ウインドレギュレーターという、手回し式ハンドルで窓ガラスの上下をしていた。幼い頃、車に乗って誰が1番早く窓を開けられるか、競争していたのを思い出す。

 それよりもっと昔は、引き違いのガラス板をスライドさせていたようだ。

 PWが登場した当初は、PWスイッチは、全ウインドウを操作する集中スイッチが運転席のダッシュ内に設置された

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エレベーターと連携するロボット

エレベーターと連携するロボット

今エレベーターに自動で乗り降りし、フロア間を移動できるロボットが注目されている。

エレベーター連携ロボット「UP(アップ)」の用途は、清掃もできれば配送用に利用することもできる。ロボットには建物のマップ情報が格納され、部屋番号を指定し本体上部に依頼品を入れて扉を閉めると移動を開始。自分でエレベーターに乗って目的階の部屋に向かう。到着後、客が4ケタの暗証番号を打ち込めば中の物を取り出せる。

障害

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パラシュートの歴史

パラシュートの歴史

レオナルド・ダ・ヴィンチは自身のスケッチにパラシュートを使って空に浮かぶ様子を描いている。

パラシュートの概念は1400年代のダ・ヴィンチ以降に生まれたのかと思いきや、それよりもはるか昔に中国で使われていたようだ。
(凧があるのだから、凧を改良する中でパラシュートも考え出されたのだろう。)

パラシュートの使用に関しては、中世の書物『程史』にこんな記述が残っている。

この本は、1192年に広東

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サメ肌塗装で低燃費飛行

サメ肌塗装で低燃費飛行

サメのウロコ1枚には、小さな溝が3本ほど並んだリブレットという構造がある。この構造が、泳いでいる時に体のまわりの水から受ける抵抗を小さくする効果があり、泳ぐために使うエネルギーを減らす事ができる。

JAL、JAXA、オーウエルは、世界で初めてボーイング787-9型機の機体胴体の大部分にリブレット形状の塗膜を施した。さらに、2025年1月中旬リブレット形状塗膜を施した機体を国際線として世界で初めて

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仮想同乗する車

仮想同乗する車

ホンダは、遠隔地にいる家族や親しい友人などが、XR(拡張現実)技術を活用して走行中のクルマに仮想的に同乗してドライブを一緒に楽しむ。そんな「仮想同乗」というクルマの新しい付加価値を模索している。

VRヘッドセットを装着し、あたかもクルマに同乗しているかのように車内や周囲の景色を楽しみつつ、実際にそのクルマに乗っている人たちと会話したり、一緒に音楽を聞いたりできる。

『参考資料』

EVを無限走行させるためのワイヤレス給電システム

EVを無限走行させるためのワイヤレス給電システム

電気自動車の普及を妨げている、航続距離と長い充電時間、これを解決するための技術としてワイヤレス給電システム(DWPT)が注目されている。

東京大学生産技術研究所は、電気自動車の無限走行を実現するためのワイヤレス給電システム(DWPT)の最適配置を、交通シミュレーションに基づき精緻に導出した。

埼玉県川越市を対象に解析した結果、全道路長約150kmの1.6%未満(2,359m)にDWPTを敷設す

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折り畳み自動車「Jo-Car」

折り畳み自動車「Jo-Car」

折り畳み"自転車"ではなく、"自動車"です!!

株式会社DOKEは、折り畳み式電気自動車「Jo-Car」のプロトタイプの動画を公開した。

試作品の開発が着々と進んでおり、ナンバープレートを取得して、公道でのテスト走行段階に入っている。

都市部での駐車スペース不足や渋滞といった課題を解決するために設計。折りたたむと、車両の全長を50%以上縮小し、家に持ち帰ることができるように、スーツケース大に

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