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10万文字の先に
今回は、長編執筆を通して感じたことを書きます。
こちらとも繋がりがあるかと思いますので、合わせてご覧ください。
普通とはちょっと違う私。
私の頭の中には、いつだって物語があります。
歩いている時でも、料理をしている時でも、
靴を履いている時ですら、私の頭の中ではたくさんの御伽話の流れがあるのです。
私の頭の中を覗いてみると、考え事の8割はきっと空想が占めています。
幼い頃からずっとそうでした。
私にとって強風は竜巻で
小説は未知の世界への扉で
ちょっとした路地が冒険の始まりでした。
何か考えていても、すぐに物語で塗り替えられていく。
大好きな漫画やアニメのキャラクターたちのifストーリーや
自分で生み出した物語のワンシーンが、映像のように鮮明に流れてきて
果たしてどれが現実なのか、幼い頃はめちゃくちゃだったように思います。
それが普通ではないことに、最近ようやく気がつきました。
ずっと物事を考えてしまい、頭が常にフル回転の状態の私は
その分エネルギーとして甘いものがたくさん必要で、
物語が佳境だったり、すごく気になる展開を思いついたりしてしまうと
眠れなくなってしまうこともあります。
また、中学時代に同級生や先輩、さらには教員からも
相当ないじめを受けてしまった私は、
頭の中の物語とは別に、その当時のことを鮮明に思い出してしまうことがあります。
相手の口調や表情の機微、その場の空気の匂いまで。
頭が高速回転しているからこそ、
想像上の話ですらリアルに感じてしまいがちな頭だからこそ、
きっと人一倍きついのだと思います。
そこから逃げたくて、逃げたくて
生きるのが辛い日々が続いていました。
ある日、主治医の先生が、私に言いました。
その頭の高速回転を、止めることはできるよ、と。
そうすれば、過去の出来事をまざまざと思い出して苦しむことが軽減されるし、不眠も解消すると思う。
でも、それはあなたの大切な個性でもあるし、それと上手く折り合いをつけながら生きている人たちもいる。
あなたはどうしたい?と。
私は、すぐに答えました。
辛いこともあるけど、これを止めることはしたくないです、と。
ここまで生きてこれたのは、物語があったからなのです。
悲しい気持ち、苦しい気持ちはきっと、物語を作るためにあるんだ、と自分に言い聞かせながら、たくさんのキャラクターを作りました。
どんなに辛い境遇でも、みんなをハッピーエンドにすると決めたことで
自分も救われるような気がしていました。
中学校の時も、読書や創作活動に逃げることで自分を保っていましたが
その時間すらも無くなってしまったことで、決定的に壊れた自覚が、私にはありました。
私の中で、いつも一緒に生きてきた物語が止まってしまうということは、ある意味での終了を意味するのではないかと思いました。
まるで、泳ぎ続けないと死んでしまうマグロのように。
いよいよ、人生に意味が見いだせなくなると感じたのです。
10万文字を超えて、枷が外れた。
今回、小説が読めない状態の中でも
記憶の奥底にある、過去の読書経験を頼りに小説を書いてみる、という
無謀にも思えることに挑戦してみました。
それは、私の思考過多を存分に発揮することでもありました。
正直、完結するとは思っていませんでした。
どこかで挫折する危険性の方が高かったです。
小説を読むこと、書くことがいじめられていた記憶と結びついてしまっているらしい私にとって、小説を書くことは危険と隣り合わせでした。
でも、心の中で、やってみたいと叫ぶ私がいたのです。
書いていけばいくほど、完結させたい気持ちが湧き上がってきたのです。
当初は長編小説の最低文字数、とネットの世界で言われている8万文字を越えればいいと思っていましたが、
「10万文字を超えると、何かが変わる」というのをどこかで目にした時に、
私も変わりたいと思えて、そのためにかなり無理をして
10万文字以上の長編を書くことに成功しました。
10万文字を超えたちょうどその時だったと思います。
書いていたとき、心の奥の何かが外れる音が聞こえました。
それは、小説の主人公・あやめと茅早のように
苦しみを超えた瞬間だったのかもしれません。
消えないと思っていた苦しみの枷が、外れた音だったのかもしれません。
とにかく、言えることは
これまでの私とは大きく変わることができたということです。
ずっと頭の中に流れていた物語を、
今まで、アウトプットしようとしても設定資料にしかならなかったそれらを、ようやく小説にして、完結させることができたのです。
改めて、自分は書くことが好きなんだと思いました。
それを仕事にしたいんだとわかりました。
頭が高速回転するという、普通の人とは違う個性を持って生まれてきたのは、きっとこのためなのだと感じました。
この個性を上手く使って、幸せになりたいと思えたのです。
感想記事をいただきました!
昨日、みくまゆたんさんから感想をいただけて、こんなふうに思っていただけるんだ、と発見がたくさんあって嬉しかったです。
幸せになろう、と思えた。
普通とは違う私。
生きづらさがたくさんある私。
それでも、書くことが大好きで、いつかまた小説を読めるように頑張りたいと言う気持ちは本当です。
だからこそ、書くことで幸せを掴みたいです。
いえ、絶対に掴んでみせます。
それは、長編小説を完結させることができたからこそ思えたことです。
これからも、私の挑戦は続いていきますが、
今回得た知見は、大切にしていきたいなと思います。
もっともっと、幸せを感じるためにも。
ぱにゃにゃんだ、私!
今日も読んでくださり、ありがとうございました✨
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