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しゅわしゅわと、思い出すこと

幸せを数えたいときに、
私はいつもサイダーを飲む。

朝起きて、喉が渇いて
甘いものが飲みたい気分。
重たい体を引きずって
夏の朝の青空の下へ。
蝉たちの声が響き渡る中
自販機で買う三ツ矢サイダーは
ひんやりと冷たくて。
私の心が目覚めていく。

パキッ、と思い切りキャップを開けたら、
シュワシュワシュワワ、と泡がお喋り。
零れたらどうしよう、と
一瞬、ひやりとしたけれど。

溢れてこなくて、一安心。
ごくりと一口、飲んでみる。
口内を満たす炭酸の刺激に、目がキラキラと輝いた。
ああ、これだ。忘れてたのは。
子供の頃に飲んだ味が、私を過去に連れて行く。


夏、太陽に負けない笑顔で
プールも旅行も楽しんだこと。
友達とみんなで飲んだサイダーが、今でもはっきり蘇る。
縁日の人混みの中、ついつい買ってしまったのはいつだってラムネ。
しゅわしゅわしゅわしゅわ、ころころり。
透明なあのビー玉は、飲み終わってからのお楽しみ。

炭酸は、楽しい気持ちと一緒にあったものだから。
幸せを感じたいときは、自然と飲みたくなるみたい。

思い出したくないものと
決めつけていた記憶には、
喜びだってあったのだ。
炭酸がそれを教えてくれた。


落ち込みそうになったら、飲もう。
幸せを思い出すために。
炭酸が抜けちゃう前に
私が蓋を開けるだけ。

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朝日みう
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