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自分史コラム 「本当の自分」に出会えてますか?(書評レビューあり)

「自分らしさ」という深い問い

みなさん「自分」についてどれくらい分かっていますか?
そしてその自分をどれくらい信頼していますか?
また、その自分は、他者との関係においてもうまくやれていますか?

私はかなり長い間、こんなことを考え続けてきた自覚がありますが、特に最近は仕事柄もあり、さらに学びたい思いが強くなっています。

私はこれまでいろんな趣味や仕事にトライしましたが、長いあいだ「自分が本当の自分らしく生きれていないんじゃないか」という思いが強く、いつも今ひとつちょっと不安で自信がもてない人間でした。

頑張って生きている人が眩しく見えてしかたがなく、どうしたらそんなふうになれるのか、なにがきっかけでイキイキと生きれるようになったのかを知るために、その人の生きてきた軌跡を聴くのがまさに「癖」だったのです。

それが十年前の東日本大震災や、2,3年前の両親の死を経験し「生命とは有限で、たまたま自分は生かされているだけなんだ」と強く感じたことから、自分が本当にやりたかったこと、自分の望む在り方みたいなものに気づいた、かなりの遅咲きなんです。

ただそれまでも迷いながらも、自分の価値観や判断基準のようなもの、つまり「本当の自分らしさ」について、無意識に考え続けていたのだと感じます。それに向き合う術を知らなかっただけ。私の場合は自分史を通じて、それに気づくことができたのです。

その結果、自分のスタンスがハッキリして、対人のストレスは本当になくなってきたし、自分にも自信がもてるようになったし、運もよくなった(笑)。いくらでも人生は変えられるんだなと、この十年間、自らが実感して生きているのです。

「自分らしさ」と「自分勝手」の勘違い

しかし特に最近、年令問わず多くの人が、本当の自分を見つけられない、または変化を認められなかったり、その時間がとれなかったりで、疲れたり、不安になったり、人といろんな問題を起こしたりとかしているのではと感じます。

また本当の自分らしさを「自分勝手、自己中心でいい」「自分が絶対正しい」と勘違いして傲慢になったり、自分に向き合えない不安の裏返しで人にマウンティングしたりする人もいたりする。それに自信のない人がイヤイヤながら従ったり、過度に崇拝するような構図も見えちゃったりしています。

ひとりひとりが本当の自分らしさを見つけて、それを大事にしつつも他者に敬意をもって関わっていけば、こうした問題は自然と消え、社会は間違いなくよくなるはず。実は多くの人がそれを望んでいるはずだという確信に近いものが私にはあります。

またこの「自分らしさ」って、大昔から人類が問い続けてきたテーマ。哲学だったり社会学だったり心理学だったりと、学問としても研究されています。
私は、最近特にこうした自分らしさに関する情報にアンテナが反応するのですが、そんなある日、この本に出会いました。

あまりにもスラスラ読める自分に驚いた

タイトルは『Be yourself 自分らしく輝いて人生を変える教科書』。文字通り「自分らしく」あるためにどうあるべきか、がテーマ。

著者はあの有名な片づけコンサルタント「こんまり」こと近藤麻理恵さんの旦那さんで、彼女のプロデューサーでもある川原卓巳さん。
この本は彼の初めての著作で、昨年12月に発売され、大きな話題となっています。

奥様のこんまりさんは、自身が考え出した「こんまりメソッド」という片づけの極意で世界的著名人になりましたが、彼女が成功のステップを登りながらも彼女らしくあるために、陰日向で支えつつ、プロデュースしたのが川原さんなのです。

実は私はそんな有名人のお二人を詳しくは知りませんでした(汗)。ただ妻がこんまりさんのファンでもあり、また友人が川原さんと「Be yourself」という名の香水を一緒に世に出したというエピソードもあり、凄いご夫婦だと思っていました。
しかし正直にいえば、エリート的なルートを順風満帆に歩いてきたお二人なんだろうなと、うがった目でしか見ていなかったのです。

しかし先日、たまたま自分らしさについて検索して最初に出てきたこの記事が、あまりにも今の私が思っていることにピッタリきたことがきっかけで、川原さんをちゃんと知りたいと、すぐにこの本を購入したのです。

この本は、彼自身が提唱する「自分らしく生きること」の考え方やアプローチについて書かれた一冊。

読みはじめて、英語バリバリのグローバルエリートというイメージは、私の勝手な偏見でしかなく「彼は心根のいい人で、ご夫婦ともに地道な努力と挑戦の末に自分らしく生きることに成功してきたんだな」と分かりました。
書いてある言葉がとにかく優しく分かりやすいし、それでいて情熱のある誠実な思いを考え抜いて、丁寧に言葉を紡いだのが直感的に分かる、好きな文章だったんです。

自分もライターの端くれなので、そうしたところはわりと敏感なくせに、読書は本当に遅いのですが、テーマや分かりやすさはもちろん、彼の思いが気持ちよく、1時間半ほどで読み終わってしまった自分に驚きました。
ページ数からして、自分の新記録に近いと思います(笑)

「人生を豊かにする要因は『外』ではなく『内』にあるということ」というのもまさに私が自分史でも追求しているテーマそのもの。 
本書のなかで、川原さんは自分らしさをみつけるために

1.自分を知る
2.自分を活かす
3.自分を発信する
4.環境を変える
5.自分を磨き続ける
 
という5つのステップに分けてわかりやすく解説し、それぞれにワークを取り入れて、読者が自分らしさを見つけられるようにナビゲートしてくれる構成になっています。
いまこれを読んでくれている方で、自分らしさを見つけにくいモヤモヤを感じている人がいたら、ぜひこの本を手にとっていただけたらと思います。

また「自分を知る」「自分を活かす」というところにおいては、ぜひ私の自分史講座にも参加ください(笑)。過去を棚卸しして、振り返るのはいまの自分。そこがハッキリすると、これから先の未来の自分の姿も明確に見えてきます。

それにしても、経済的なことよりも、在り方、生き方として成功していると見える川原さんのテーマが私と同じだったことがまた嬉しいです。
これは冒頭で私が推測したとおり、自分らしさを多くの人が求めているこれからの時代のテーマなんだと再認識できました。

時代はこれからこれまで以上にないスピードで変わっていくと思います。
その激しい流れのなかで、変えるべきところは変え、変わらないものは丁寧に補強する「自分らしさのチューニング」が、これからを幸せに生ききるうえで必要なことだと私は信じています。

でも肩肘張って、緊張しながらやらなくてもOK。こんなことを書いている私だって、日々日々このチューニングを無意識にしているし、アップデートは生きているあいだ続いていくものだから。
 
そもそも自分が幸せになることになにかを課すようなスタンスはいらない。だからゆったりと、でも情熱をもって真剣に自分を見つけるチャレンジをたくさんの人にしてほしいなと思っています。


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