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お正月の過ごし方🦅🦅【一月二日】

HAPPY NEW YEAR!!🎍🌅  #2025🐍
B.B団の可愛や🍎です。明けましたね〜✨
新年早々に企画をお届けできて幸せ🫰🏻
本年もB.B団を宜しくお願いいたします🙇‍♀️

※本作はB.B団のお正月🎍シリーズの二日目、三が日の連続投稿企画の一環です。
👇🏻企画の趣旨を知りたい方はコチラ🐍
👇🏻初回投稿、【一月一日】編はコチラ🗻

それでは!【一月二日】編のはじまりです🦅🦅


一月二日はどんな日?

歴史書を遡ってみることにしましょう📚
季節🌸🌻🍁❄️の事柄や年中行事をまとめた書物、『歳時記』を足掛かりにします。

🙆一月二日にすると良いこと

まずは『公事根源』📖室町時代の有職故実書で、宮中における一年間の公事や儀式の起源・沿革を述べています。今回は後世に執筆された注釈書、『公事根源愚行』を参照します。

年中行事哥合ニ日毎月朔日にある事なれども正月はことおほき故に二日におこなはるゞとなり…速水房常『公事根源愚行』第二(正月)(1764年)

速水房常『公事根源愚行』第二(正月)(1764年)

→平安時代から鎌倉時代の和歌行事、歌合(うたあわせ)を例に、毎月一日に行う年中行事もお正月🎍はやることが多いので二日に行う、とあります。一月一日のタスクを翌日にスライドする慣習があったことが読み取れます!

つづいて『日本歳時記』📖江戸時代、儒学者の貝原益軒(かいばら えきけん)が指導、甥の貝原好古(かいばら よしふる)によって編纂されました。民間の風俗や行事を季節ごとに紹介しており、歳時記の本元『荊楚歳時記』等の古典を引用しながら由来を説明しています。

今朝卯の刻に起、食時にいたりて、雑煮をくひ、冷酒をのむこと昨朝のごとし。又温飯を食し、温酒をのむべし。きのふ新春の賀に行のこせる所には、今日明日行て賀すべし。

貝原損軒 刪補、貝原好古編録『日本歳時記』巻之一(1688年、日新堂)

起床、食事は昨朝(一月一日)のように行い、お正月🎍の行事が積み残しがあれば行う、と。宮中の過ごし方と似ていますね!

一月二日は急務はなく、一月一日の続きの位置付けとされているようですね📝

🙅一月二日に慎むべきこと

『日本歳時記』📖一月二日の項を読み進めていると、何やら興味深い記述がありました。

去年新たに娶(めとり)し男に、此頃水をかくる事あり。是は永禄の頃、阿波の三好が家臣松永弾正が姪女を、我家の寵臣に妻(め)あはせしより、此戯をなし初しとかや。年わかき輩血気の盛なるにまかせて、此たはぶれをなし、身をそこなひ病を生じ、或は口論闘争に及ぶ事あり。後には酒食を饗させ、酔飽して乱に及ぶ。子弟の輩是等のいやしき戯をなすべからず。父兄も又これを禁ずべし。

貝原損軒 刪補、貝原好古編録『日本歳時記』巻之一(1688年、日新堂)

→新婚の男性に向けて、酒🍶や性生活で羽目を外さないよう、注意を促しています。

ところで、筆者は気になりました💡新年早々、あまりおめでたくない文脈で名前を挙げられた松永弾正(まつながだんじょう)とは、一体どんな人物なのでしょうか…?

悪徳武将は健康オタク?!

戦国時代を智謀と胆力でのし上がった武将⚔️、その名も松永久秀(まつながひさひで)。『日本歳時記』に記載のある弾正は官職名です。

日本史界隈では頗る評判が悪い久秀ですが、武将としては極めて有能で、織田信長にもその実力を認められていました✨久秀の悪行として伝えられる史実も証拠不十分なものが多く、外様から異例の出世を遂げた久秀の活躍ぶりが周囲の嫉妬を買ったと見られます。

戦国武将⚔️は体が資本、久秀は自身の健康管理にもストイックで、養生を心掛けたたそうです。持病の中風(脳血管障害などによる麻痺や半身不随)を予防するために、毎日決まった時間に頭のてっぺんに灸を据えていたとか💭

戦国時代の名医、曲直瀬道三

久秀に灸を教えた人物は曲直瀬道三(まなせどうさん)と言われています。道三は室町・安土桃山時代の名医🩺で、京都に日本初の民間医学校「啓迪院(けいてきいん)」を創建し、800人に及ぶ門人を育て、多数の医学書📚を残しています。天皇や武将から庶民まで差別なく万人を診療した道三の人徳も伝えられています。

道三の著書📚の一つに、『養生誹諧』があります。養生法のポイントを百二十首の歌に詠んでおり、健康術の知恵を楽しく説いています。同書の医学知識は現代でも十分通用する!と評価されていることを知り、お正月🎍に実践したら面白いのでは?と興味を持ちました💡

『養生誹諧』原本は現存しており、毛利博物館(山口県防府市)が所蔵しているそうです。今回は、『養生誹諧』の全百二十首&現代語訳を掲載している下記の書物を参考に進めます。

📖山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)

山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)

【実践】一月二日の過ごし方

『養生誹諧』に学ぶ健康法

曲直瀬道三が実践した医療は、漢方医学です。漢方とは中国の伝統医学が日本に伝わったものを指し、飛鳥時代に隋との交流が始まったことを機に医学と医書が正式に伝来しました。

中国伝統医学は、「陰陽五行説」に裏打ちされた医術です。簡単に説明すると、下記です。

陰陽:宇宙🪐は陰と陽の二つの「気」によって成立している。人体を「小宇宙」と捉え、病態を陰陽説で観察し、治療の方針とする。
五行:順調に循環🔁している身体=健康。循環が乱れると病気になると考え、身体全体の調和をはかることが治療方針の根幹にある。

さてさて!前置きはここまで🙇‍♀️
『養生誹諧』全百二十首より、年明け🎍でも気軽に実践できる健康法をご紹介しますよ〜。

①起床

💆顔面マッサージ

〈摩面〉 朝毎に 手すりあたゝめ 目も顔も なつれハ帰る 老のさゞなミ──(5)

【意訳】毎朝、欠かさずに温めた手で顔面をさすれば、皺ものびて、皮膚が若返るぞ。

山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)

②食事

🍙腹八分目

〈保胃〉 食ハ只 よくやハらげて あたゝかに たらハぬ程ハ 薬にもます──(6)

【意訳】食べ物は、よく温めて軟らかく調理するといい。そして、食べ過ぎず足りないくらいの量の食事は薬以上の効果がある。

山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)

🥬身土不二

〈土熟〉国々の そだちになれし 養ひハ 志ゐて改め うつらぬぞよき──(7)

【意訳】その土地、土地で定められていることは、あまり無理に変えない方がよい。同じように、人を養い、育てるには、その土地でとれる、長年なれ親しんだ食物を食べるのがよい。

山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)

「腹八分目」…お正月には耳の痛い言葉です笑「身土不二」は初めて知った言葉ですが、素敵な概念だと感じました。近年は健康ブーム、フードロス削減との関連でも注目されているようです👀今年は仕事の都合で帰省が叶わなかったため、知人から入手した地元の食べ物を味わうことで、新年の英気を養うことに✌🏻

体の芯から温まるラーメン🍜
知る人ぞ知る、広島銘菓🌿

🍶適量の酒

〈薬長〉酒とても よハぬ程にて 愁さり 心をたすけ 気もかよふ也──(8)

【意訳】酒をほろ酔い加減の程度でたしなめれば、悩みは消え去り、沈んだ気持ちを払い、気がめぐって身体によい。

山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)
地酒をちびちび嗜む🍶

③入浴・就寝

♨️枸杞(くこ)の湯

〈枸杞湯〉 定めをく 枸杞の湯の日を 忘れねハ つゞがもあらで 延る玉のを──(19)

【意訳】定められた日に、枸杞の湯に入浴すれば、無病息災で命も延びるだろう。

山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)
「枸杞」(くこ)は、ナス🍆科の落葉小低木で、強精作用、不老長寿の薬として薬効が注目され、珍重されてきました。「拘杞の湯」は薬湯のことで、枸杞の全草(天精という)を煎じたお湯で身体を洗えば、病は遠ざかり、また若返ると信じられました。「定められた日」とは、一月一日(元旦)、二月二日のように、その月の数字と同じ日に入ると決められていました。また、別の説では、一月は二日と定められていたとか💭枸杞の湯は平安時代に始まり、安土桃山時代にも行なわれていましたが、いつしか廃れてしまいます。今日では、五月五日(端午の節句🎏)に入る菖蒲湯、冬至に入る柚湯が薬湯の習慣として残っています。
インターネットで購入したクコの茶葉🍃
独特のフレーバーでほっとひと息の図🛁

🦵🏻温活

〈洗足〉温かに 足を洗て いねよ只 水にひやセバ 脚気とぞなる──(26)

【意訳】寝るときは、足を温かいお湯で洗うとよい。しかし、水で洗って冷やしたまま寝ると脚気に罹るぞ。

山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)
足が疲れた時はこれ🦶🏻内側から温まります。

いかがでしたか?戦国時代の健康法、意外と当たり前のことばかり!と思われた方も多いのではないでしょうか💭全体を通じてのポイントは、「体を温める」「何事も程々に、適量を心掛ける」でしょうか。健康は一日にして得られるものではなく、日頃の積み重ねが重要だと痛感しました。筆者もお正月🎍は羽目を外してしまう🤦‍♀️のですが、2025年は粗食と摂生を心掛けて良いスタートが切れました🐍

明日は…B.B団のお正月🎍シリーズ、三日目!✨ラストを飾るのは、団員ぬばたま🌙です。一月三日の過ごし方、お楽しみに!💁‍♀️

2025.1.2   可愛や🍎


参考文献

・『新訂増補 故実叢書』(1951年、明治図書出版株式会社)より 速水房常『公事根源愚行』第二(正月)(1764年)
・貝原損軒 刪補、貝原好古編録『日本歳時記』巻之一(1688年、日新堂)
・山崎光夫『戦国武将の養生訓』(2004年、新潮社)
・山崎光夫『殿、それでは戦国武将のお話をいたしましょう』(2020年、中央公論新社)

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