【連作】ヨッチのこと3
新学期の昼休みはまだどこか落ち着かない。
「な、お前絵上手いんだろ?キメツ描いてよ!」
ヨッチがおもむろに自由帳を差し出してきた。
*****
「…できたよ。」
描き終わり顔を上げると、僕の周りには誰もいなかった。
校庭からは皆が楽しそうにサッカーする声が聞こえてくる。
(…あぁ、またこのクラスでも一人かな。)
そう思った瞬間、
「ごめんごめん!これとこれにも描いてよ!」
連絡帳と国語ノートを持ったヨッチが後ろから駆け寄ってきた。
「…さすがに国語はヤバいでしょ。」
そう言いながらも、僕は特別カッコいいイラストの構図を頭に浮かべていた。
長く感じてた昼休みが、あっという間に駆け抜けていく。
end
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