私は田舎者だ。田舎者として復興に取り組む。
文部科学省から復興庁に出向していた頃、大臣室に配属され、秘書官補佐として仕事をしていました。そのときにお使えした大臣のお一人が島根県選出の竹下亘氏です。
それまでの復興大臣が被災3県選出であったのに対して、竹下大臣は島根県選出で被災地ではありませんでした。そのことを疑問視する声もあり、就任時の記者会見でも指摘されます。
その質問に当時の竹下大臣は「私は田舎者だ。田舎者として復興に取り組む。」と答えます。以降、復興大臣として、この言葉を口癖の様に使っておられました。
竹下大臣は、その言葉のとおり、田舎者の目線で被災地の復興に取り組みます。それは「地方創生」という視点であり、「過疎化・人口減少」への危機感と将来を見据えた復興という視点です。
ハードを整備するときも、それが地方創生につながるものになるのか、維持費が将来の地元の負担にならないのか、そういった視点を持ちながら、丁寧に対話を重ねておられました。
それまで全額国庫負担だった復興事業に、批判覚悟で地元負担を一部導入したのも、被災地の自立を考えての決断でした。
東北の被災地は山陰地方と同じく、震災前から過疎化・少子高齢化による人口減少に苦しんできたという考えが、根底にあったからこその姿勢なのだと思います。
その後、私は地方創生人材派遣制度を利用して島根県の海士町に出向することになるのですが、竹下大臣の側にお使えして、東北や山陰地方が抱える本質的な課題に触れ、過疎化・復興と向き合う自治体職員や住民の姿を見ることができたことが強く影響しています。
9月18日、その竹下亘・元復興大臣の訃報がニュースに流れました。
海士町と出会い、そして、現在、岩手県教育委員会で、復興教育・高校の魅力化(過疎化対策)に携わっていますが、これも竹下氏のお陰様と深く感謝しています。
ご冥福をお祈りするとともに、私自身もその志を継ぎ、「田舎者」として、教育の魅力化を通して、復興や人口減少に立ち向かう地域に寄り添い続けたいとの想いを強くしました。
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