
映画「高野豆腐の春」鑑賞記録
持病がありながらも自分の作る豆腐に誇りを持って仕事をする高齢にさしかかった父親と、離婚して父の家業を手伝う娘の物語。
男相手には気が強いくせに、娘や女性のことになると何も言えなくなる父が、娘に隠れて結婚相手を探すドタバタからストーリーが始まる。
あれ〜、このままドタバタで終わるのかな、とか、お父さんと仲が良くなる女性が出てきて、老いらくの恋の話なのかなぁ、と不安がよぎり出した頃、わが町の桂やまと師匠が登場する。
師匠は映画初出演。最初はちょっとした役だと思って見ていたら、あれっ?あれつ!と大事な登場人物へ。
落語家だからだろうか、表情や言葉のリアクションがキビキビしていて、物語全体の流れも生き生きしてくる。
脇役だからこその見事な演技。
そして、普段のやまと師匠そのままの誠実さがスクリーンに溢れてきて、物語は…
書きたいが、ネタバレになるので辞めておこう。
朝十時から上映にも関わらず、満席。
ユニバーサル映画館ならではで、盲導犬を連れてこられた方や、大きい音では聞けない子ども連れの方が音量を絞って鑑賞できる部屋にいたりして、いろんな人と、一つの映画を鑑賞することができた。
いろんな人と鑑賞できることも、この映画館で鑑賞することの楽しみだ。
今年最後の祝日。映画館を出る。
天気も良いので、自転車にまたがる。
空は澄み、天が高い。街路樹も色づき出した。
浜松町から豊洲方面を目指す。
時々来たくなるこのエリア。
自分は海が好き、というよりも海の近くの空気の感じが好きなのかもしれない。海風がビルの谷間にも流れてきて、ホッとする。
去年の春に亡くなった母と同じ名前の、春海橋に来た。
私は、映画に出てくるような、親思いの子供ではないので、仏壇にお線香をあげたり、墓にもめったに訪れない。
たまに、この橋を通ると、ペットボトルのお茶を少しだけ、川に流す。
スカイツリーが遠くに見えて、なかなかのロケーションだ。映画を観たから来たくなったのかな。
ということで、映画や、ユニバーサル映画館チュプキに興味を持たれた皆さん、今月末までがひとまず上映期間なので、是非ご鑑賞ください。
大きな映画館にはないものが、そこにはあります。