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02 本当の腹式呼吸
腹式呼吸とは
腹式呼吸とは、吸気時に横隔膜が下降して腹部が膨らみ、呼気時に横隔膜が上昇して空気を押し出す呼吸法のことです。
腹式呼吸を正しく実践してみると、驚くべきことが起こります。「お腹の底からたっぷりとした息を気持ち良く吹き出す」とイメージするだけでも、音色が改善され、本物の音に近づきます。
もちろん、細かいテクニックや劇的な強い表現などは、この単純な呼吸だけでできるわけではありません。ですが、「大自然の中で深呼吸するような」「深い安らぎを得たときのような」気持ちの良い音の出は、すべて正しい腹式呼吸から始まるのです。
いいかげんな息づかいで吹くと、音色が悪くなるだけでなく、演奏しているうちに必ず行き詰まります。いつでも気持ち良く楽器を吹けるようにするために、腹式呼吸をぜひマスターしましょう。
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横隔膜は薄いシート状の筋肉で、肺と腹部を隔てて、その下降により胸郭部を陰圧にして空気を肺に導き入れる
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点線は、腹部の内臓が押し下げられた時の横隔膜の位置
腹式呼吸の息の吸い方
腹式呼吸は、就寝時には無意識に行われている呼吸方法です。仰向けに寝て息を出し入れしてみて下さい。自然にお腹が上下して、息を吸い込み吐き出すことができます。これが呼吸の基本です。
上体を起こした時の横隔膜は、息を吸う時に下降し、空気を肺に導き入れる役割を担います。楽器を演奏するための「呼吸法」では、これを意識的に使う練習をします。
体を起こした状態で、お腹を引っ込めて息を吐き切ってから力を抜くと、お腹は自然に元の状態に膨らみ、息がお腹に入ったように感じます。これは、重力の働きによって、内臓や腹部脂肪の重さだけで横隔膜が下がるようになっているためです。
しかし、この状態では横隔膜が積極的に働かないので、管楽器の演奏には不十分です。訓練によって、もっとお腹の底まで息を吸えるようにする必要があります。より積極的に横隔膜を使えば、深い腹式呼吸で息を吸えるようになるのです。
以下では、この本当の腹式呼吸を習得できる練習法を、具体的に解説していきます。他にはない画期的な「呼吸法」とその訓練法を、ぜひ体験してみてください。
腹式呼吸の息の吐き方
一般に呼吸法というと、吸気ばかりがクローズアップされます。ですが、管楽器や歌唱の演奏には、息の吐き方(呼気)が重要になってきます。しかし、その方法を言葉で説明することは難しく、なかなか教えてもらえないのが現状です。
腹式呼吸によって肺に入った息は、呼気筋(腹斜筋、背筋、臀筋等)の収縮力で押し出されます。その力を上手にコントロールすることで、膨らんだ風船から空気が勢いよく噴き出すように、腹の底から「吹き上げる」感じで、息を吐き出すことができます。
昔から言われる「横隔膜で息を吐き出す」という感覚は科学的には見当違いです。ですが、演奏者の感覚としては「腹筋群で息を吐き出す働きを横隔膜でコントロールしている」感じがするため、そういう表現で説明してきた伝統があります。
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胸式呼吸とは--その隠れた活用法
もう一つの呼吸法である胸式呼吸は、胸郭や肩を使います。「胸で息をする」方法です。胸式呼吸では背筋や肋間筋(肋骨と肋骨の間で呼吸運動に深く関与する呼吸筋)など、胸郭にある筋肉を使います。
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息を吸う時には胸郭が広がり、肩が上がります。腹式呼吸に胸式呼吸を連携させると、最大の肺活量が確保できるメリットあるのですが、伝統的には「してはいけない呼吸法」と言われてきました。胸式呼吸で演奏を続けると、胸郭が狭くなって息の支えを失い、安定した音が出せなくなるデメリットがあるからです。
しかし演奏の現場では、胸式呼吸を腹式呼吸と組み合わせて欠点を補い、互いのメリットを活かした呼吸法を使います。この、演奏に最適化した呼吸法を、私は「完全呼吸」と呼んでいます。
一般に、管楽器の演奏には適さない悪い呼吸法とされる胸式呼吸ですが、「完全呼吸」には欠かせない呼吸法でもあるのです。
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