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少年のままでいたい

気づけばもう19歳だ。
がむしゃらに駆け抜けてきた10代も、フィナーレに突入している。
年齢なんて所詮飾りで、人間が生み出した概念だ。
年を重ねること自体で大きな変化が生まれることはほとんどない。
だけど、19歳から20歳。この歳の跨ぎだけは多くの変化が訪れる。
お酒が飲めるようになったり、タバコが吸えるようになったり、ギャンブルができたり、いわゆる大人な遊びができるようになる。
僕らは俗にいう”大人”ってやつに、正式に仲間入りするのだ。

僕はよく友達に「早く20歳になりたい?」と問うことがある。
ほとんどの友達が「うん」と答え、なぜかと問うと、
先ほど述べたような娯楽が解禁されできるようになるから、と答える。
もちろん、お酒などで楽しくなることも増えるだろう。
でも僕は20歳になりたくない。
なんだかもう元には戻れないような気がするから。
何か、明確なラインが引かれてしまうような気がするから。
僕は少年のままでいたいのだ。

少年。
自分の気持ちにまっすぐで、
思いっきり楽しんで、思いっきり喜んで、思いっきり笑って、
思いっきり怒って、思いっきり泣く。
何ふり構わず進んでいく。
「どう在るべきか」よりも「どう在りたいか」を優先する。
人間という生き物のありのままの姿。
それが少年。

でも、少年って本当にそんなんだったっけ。
僕は昔から周りを優先してきた。
喜怒哀楽を隠すことも多くあった。
どう在るべきかを優先してきた気もする。

果たして僕は、一度でも自分が思い描く”少年”だったことがあるだろうか。
僕は少年でいたいんじゃない。
少年に”なりたい”のかもしれない。

でも20歳になったら、もう成れないだろう。
正式に大人になってしまう。
「もう大人だろ」「大人になれよ」っていう言葉で切り捨てられてくことが、だんだんと増えていく。
そうやって切り捨てられいくもののなかにこそ、
人間を人間たらしめるものがあるんじゃないかって思うけど、そんなものに時間を割く余裕なんか世界は与えてはくれない。
それが大人、なのだろうか。

大人になるまでの秒針は刻一刻と進んでいく。
その進行を止めることはできない。
こんなふうに煩悶してるうちに、僕は大人ってやつになる。
でも、それでも少年のままでいたい。
少年になりたい。
諦めの悪い僕はやはり、少年なのかもしれない。



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