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転ぶ

出かけた帰り道、小学一年生が集団下校している場面に遭遇した。
縦一列に並んで、体に対してまだまだ大きなランドセルを背負っている。
カラフルなランドセルの装いに対して、かぶった帽子は一様に目立つ黄色だ。
まるでカルガモの雛が歩くかのように、ぴーぴーと賑やかに、それであっても列を乱すことなく歩いて行く。

一年生になることは成長における大きな一歩だ。
義務教育が始まるこの年齢は、幼児からお兄さんお姉さんへと意識が変わり、
またすでに二学期が始まっているこの時期には、もう慣れた顔つきで堂々と歩いて行くのが印象的だった。

この小さな交差点には、横断歩道がかかり、それは正方形の形を成している。
私はこちらからあちらへと渡り、子どもたちは反対側の横断歩道をあちらからこちらへと渡っていた。
10人以上が列を作っていたと思う。
残りあと数人というところで、一人の男の子が派手な音を立てて横断歩道のど真ん中で転んでしまった。
音に驚いて振り向いた時には、ランドセルに乗っかられた男の子が手足を前後に突き出した、
つまり人間が特殊能力で空を飛ぶ時のような格好になって、地面にうつ伏せに倒れている状態だった。

信号はまだ青のまま。
自動車が突っ込んでは来そうにないが、時間が迫る中、距離がある私は緊張し目を離せなくなった。
子どもたちは足を止めて男の子を見守り、周りの大人もじりじり歩きつつ見守る。
程なくして立ち上がった男の子は、泣くことも、騒ぐこともせず、ささっと横断歩道を渡りきることができた。
ほっと胸をなで下ろし、私も改めて帰路につく。

転ぶ姿は大して成長していない。
まだ顔面からいくのだなと、悪いが少し微笑ましさすらあった。
でも周りの子たちも、本人も、騒がず動じず動く様は、ちゃんと成長しているんだなぁと感心させられる。

地域の関わりが薄くなったと言われる昨今ではあるが、それでも子どもの一生懸命な姿は心に響くものがある。
少子化が進むということは、見守る目がもっと増えるということ。
色んな経験を積んで、失敗して、ぐっと立ち上がってほしい。

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大須絵里子
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