詩・短歌 2020
2020年に書いた詩と短歌をまとめました。
深緑 1
紅くぬれた
水溜りに写る
鈍い光
逃げ出した
熱りと焦り
いつも
違うつもりで
大差のない
僅かなちりの
変異の範囲内
浅瀬の艀の上
積荷の足元で
そっと舐めた
麗しくない
みにくい味は
どこにいても
ここにある
深緑色の内臓
平凡な皮の下に
2020.11.19
そっと
オクラの花のように
束の間に日々は去り
しなだれて
新鮮な色合いの脇で
ぎこちなく
ぽと、ぽとほと落ちた
苦しみや哀しみは
誰にも十分にある
歌い、踊ろう
汗を拭き
また歩き出す足取りを
今、思いながら
真夏のマシュマロのように
溶けてくっついた破片
その痕もなくなり
庭は枯れ果てた
山へ行こう
粘らないレジスタンス
また逢うだろうか
そっと見上げた辺り
音が舞い
小さな渦を巻くさなかで
2020.9.4
井戸
進歩の枠を
跨ぐ足元の
おぼつかなさ
ざっくりとした
シンセドラムで
物質は踊る
掘り進めば
表層に達し
遠点は
土嚢に眠る
筋張った草の感触
まだ待ってくれるか
♠️のエースは
2020.4.20
抗い
橋の上で聞く
外のざわめき
内のざわめき
気を付けながら
そっと啜ってみる
こぼれる密めき
不可解な夢より
平凡が怖い
呑み込んだものが
にじり寄るから
関心はなく
無関心も失せ
ぎこちなく進む
僕の上水道から
下水道の端まで
いつか非力なまま
囲まれて
それでも
従いはしません
生きている
からだひとつで
2020.3.28
短歌 1
1. 半ば信じ半ば疑う心持ち
怪しき暗示にうろたえながら
2. 横たわる僕を見ながら妻が言う
最近にないぐでたま感と
3. 日本の同調圧力嫌だねと
問われ同調致しかねる僕
2020.3.1
短歌 2
1. 番地とか電話番号に確信を
持てなくなってじっと汗ばむ
2. 雲行きを机に溜まる書類にて
気が付くけれど何の術なし
3. 知らぬ街2万歩程もうろついて
程々に食べ明日のため眠る
4. 前よりは平気に見せる術を知り
どん詰まる前の逃げどころ得る
2020.1.11
(詩・短歌123〜138 日付はinstagram (philosophysflattail)投稿日)