見出し画像

Vertical SaaSの事業計画Tips

正直、あまり書きたくないテーマです。
「お前偉そうな事書いてるけど、今月達成危ういじゃん」みたいな事思われそうで(苦笑)。

ただ、事業を見る方で本テーマを永遠の格闘対象にされてる人も多いと思うので、これをきっかけに情報交換などできればと思いまとめることにしました。

ズバリ、事業計画の立て方と向き合い方についてです。
不動産領域でSaaS事業を0から作って、たった2年ですが痛い思いばかりしてきました。
与実を外し、期中の対策額の限界に絶望し、学んだはずなのにまた別角度で足元すくわれる。こういうことを繰り返しながら与実との向き合い方を少しずつ磨いてきたのでポイントを3つに絞ってまとめようと思います。

Tips1 : 現場解像度が全て。社内レポートで作ると死ぬ

事業計画って、本当にいろんな数字が並びますよね。SaaSだといろんなメトリクスが絡み合ってマジで項目多い
30分没頭するだけで、数字ロジックを見る用の脳モードに切り替わる気がしています。

数字を作る大元は「過去実績」と「顧客群ごとの定性トピックス」
それを元に数字を作っていくと、 一見ロジックは通ってる良さげな計画が出来上がります。サービス1年目の終わりに実績データもまとまり、2年目の引き直しはこんな感じで作りました。結果、死にました、尋常ならざる未達。

まずかったのは、私自身に現場解像度が全くなかったことです。
VerticalSaaSは、HorizontalSaaSに比べて顧客数は少ないし業種に偏りがあります。だからこそ1社1社の受注理由やKPI実績の裏付けが今後の業績予想を立てる上ですごく重い。

具体的な例を出すと
当時は、過去実績における各KPIの実績伸張に、「まぐれ」要素がどれだけ影響してたかが全く見極められていませんでした。
一口に不動産顧客と言っても、セグメントごとに4つの要素があり、どの要素が強ければ売上見込みとして堅いか or 危ういかが自分の中で定式化していませんでした。
- 1, 会社形態 (従業員規模、エリア、仲介戦略)
- 2, 決済者属性 
- 3, 社風や、メンバー間に漂ってる雰囲気
- 4, SaaSプロダクトの活用方針

直近の数字は良かったけど、それは上記4要素で分解すると・・
3つの要素でレアケースによるものだったよね。
この辺が現場解像度を元に具体化されて、数字の羅列の奥にイメージが湧いているか否かで蓋然性は違ってくると痛感しています。

予算策定に関するブログを漁ってて、SmartHRの倉橋さんみたいに現場介入せずに計画作れる方もいらっしゃるのも事実。この芸当ができるのは尊敬です。

相性もあると思うので、私は泥臭く現場のデータを元に事業計画に反映させて行きたい派です。ZOOM面談をお願いされない限りは、往訪で1日2~3アポとにかく現場を見に行ってます。

Tips2 : 予算決定は現場コミットありき。納得感無しに進まない

上述の通り、VerticalSaaSでは現場の手触り感がとても大事です。
弊社では大枠の目安予算はトップダウンで設定しますが、どこまでやるかの意思決定は現場のボトムアップ型でFIXです。

現場感は、マーケ / セールス / カスタマーサクセスの各部門が一番分かってるのでそこに任せたい。
ただし、それだと事業予算が未達になる可能性もあるので、塩梅は各Mgrと膝を突き詰めて相談です。

各Mgrに予算設定背景をプレゼンしてもらいますが、ここで小姑やります。

- このナーチャリング施策、SQLへの転換率がXX %上がるのは具体的に何をやるから?
- このチャネルからの供給リード、具体的にバイクラで見るとどんな顧客?この顧客群の架電ログ見ると、来期はこの商談転換率は現実的?
- クロスセルで見込んでいるこの顧客群、1社ずつこれだけのARPAが見込める背景は?

正直、Mgr陣からしたらウザいと思います。
ごめん、許して。
お互い納得の上で詰め切らないと、走り始めてからでは遅いし頻繁な計画変更が発生するとコミット感が薄れる
両者の詰めはこれからも大事にしていこうと思います。

Tips3 : 大逆転ホームランはVerticalSaaSに無し。コミットラインを優先させる

異業種からSaaS業界に入ってきて、まず思ったのが1ヶ月未達になるとリカバリがマジで難しいこと。前職は、広告代理店にいたので未達続いても期末に大型受注仕込めばリカバリできました。

ただ、SaaSは月々数万円のコツコツ貯金型。
さらにVerticalSaaSの場合、逆転候補になるエンタープライズの数もHorizontalSaaSと比較すると少ない。
どこかの月で達成率80%切ると、期中のリカバリはキツい。

だからこそ、VerticalSaaSの事業計画は蓋然性の積み重ねがとても重要だと思います。大型受注はもちろん事業計画の中に組み込むけど、折り込み方は中長期で慎重にならして組み込むなどする必要あり。

過度なコンサバは、スタートアップのドライブ感を殺してしまうので禁物ですが、積み上げ幅をシビアに見ることがより求められるなと思います。

最後に

以上が、VerticalSaaS 事業計画Tips3選でした。
シビアな事書きましたが、業界のDX化に深く寄与できるVerticalSaaS業界はめっちゃ面白いですよ。


今回は売上観点の事業計画の話でしたが、お恥ずかしながら人員計画は与実外しまくってて絶賛募集中です。市場に新しい概念を浸透させるSaaSだからこそ、日々挑戦の連続キツい事も多いですがそんな環境に惹かれる方、是非ご一緒させてください!


いいなと思ったら応援しよう!