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ありがとうを伝えた話

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悲しい救急現場を体験したことがきっかけで、家族に「ありがとう」を伝えてきました。「こんないい歳になった男が」と思いながらも、恥ずかしさを乗り越えてようやく伝えてきました。伝えたこ…
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いてくれてありがとう

自分の子どもたちには「生まれてくれてありがとう」 母には「産んでくれてありがとう」 父には「育ててくれてありがとう」 ずいぶん年数はかかりましたが、私はようやくそう伝えてきました。 「いてくれてありがとう」と伝えた人もいます。 その相手は妻でした。 私が消防士時代から、彼女はうつになり、長いあいだ大量の薬を服用していました。 私が早期退職をしてからは、いっしょにいる時間が増えましたが、それで全快するわけではありませんでした。 少しよくなりかけては、また状態が悪くなり、内

「生まれてくれてありがとう」奇跡のような幸せの中で生きている

子どもたちが幼い頃の誕生日は、いつかケーキを前にして、妻が子どもに、 「生まれてくれてありがとう」 と言っていました。 子どもたちの意識はバースデイケーキに集中しているので、気にもしていない様子でした。 私は、そんな言葉をいう妻を「すごいなぁ」と思うものの、自分は言葉にすることはありませんでした。 そんな私が、2人の幼い息子を抱きしめて、 「生まれてくれてありがとう」 というようになりました。 どうしてかというと、一瞬にして自分の気持や考え方が、ガラッと変わった経験をし

「ありがとう」を伝えてくれた生徒たち

以前、母と父に、それぞれ「ありがとう」を伝えた話を投稿しました。 そのエピソードを、小~高校の保護者会、中学校・高校の生徒さんに講演で話す機会があります。 「みなさんも、今日おうちに帰ってから、お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんに『産んでくれてありがとう』『育ててくれてありがとう』と伝えて下さい。 恥ずかしかったら、手紙でもいいです。 プレゼントをもらうより、親は嬉しいんですよ」 と話しかけても、恥ずかしそうに目線を外します。 生徒たちの反応は、学校や学年でまち

やっと父に伝えた「ありがとう」

母に「産んでくれてありがとう」を伝えたのは、私が消防局を早期退職した3月末日でした。 実際に言葉にして伝えてみると、自分自身にも予想外の感動と達成感と幸福感が生まれました。 「こうなったらこの勢いで、おやじにも言おうではないか」 と、父に「ありがとう」を伝える決心をしました。 しかし、同じ感謝の言葉を伝えるのでも、母に対するのと父に対するのとでは大きな違いがありました。 それはハードルの高さです。 同性というのもありますが、若い頃はあれだけ反抗しまくった相手を前にして

お母さんのつくったお弁当「産んでくれてありがとう」を伝えるきっかけ

あの出来事がなければ、母に「産んでくれてありがとう」を一生伝えることはなかっただろうと思います。 その青年の顔を、20年たったいまも覚えています。 冬の寒い朝でした。 まだ私が救急隊長ではなく、隊員だった頃の、ずいぶん前のことです。 山陰の冬はかなりな寒さで、道路が凍結することもよくあります。この道路の凍結と雪の降りはじめの日は、交通事故の出動件数が桁違いに増えます。 その朝、バイクの単独事故での救急要請電話が入りました。 凍結した道路に通勤車両がつながっており、な

「産んでくれてありがとう」を伝えるまでのハードル

母親に「産んでくれてありがとう」を伝えようと思ったのは、ずいぶん前でした。 中学、高校と、反抗しまくって心配ばかりかけていたので、社会人になってからいつか言わなきゃ、と思い続けていました。 しかし、友だちにありがとうは言えても、母親には照れくさくってなかなか言えません。とにかく母が元気なうちに伝えておかなきゃいけないとは思っていました。 盆や正月に実家に帰るたびに、母の姿を見ると、 「まぁ、またつぎにしよう」 と、毎年先送りしていました。 子どもたちが呼ぶように、私も