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正しいことってなんだろう? コールバーグの道徳性発達理論


「嘘をつくのはいけないこと」「約束は守るべきだ」「困っている人がいたら助けるべきだ」…

私たちは子どもの頃から様々な道徳的なルールを教えられて育ちます。

しかし大人になるにつれて、物事は単純に「良い」「悪い」で判断できない場面に遭遇することも増えてきます。

「ルールだから」
といってすべて従うべきなのでしょうか?

「みんながやっているから」といってそれが正しいと言えるのでしょうか?

今回は道徳的な判断能力の発達について考察した「コールバーグの道徳性発達理論」をご紹介します。

ストーリー

I君は小学生の男の子。
ある日友達が万引きをしているところを目撃してしまいました。

I君は「万引きは悪いことだ」と知っていますが、友達を告げ口すれば友情が壊れてしまうかもしれません。

I君はどうすれば良いのか悩んだ末、先生に相談することにしました。

先生はI君に「なぜ万引きはいけないのか」を丁寧に説明しI君は自分の行動について深く考えるようになりました。

I君のように人は成長するにつれて道徳的なジレンマに直面し、葛藤しながらも自分なりの判断基準を形成していくのです。

解説

コールバーグの道徳性発達理論とは?

コールバーグの道徳性発達理論は、アメリカの心理学者ローレンス・コールバーグが提唱した道徳性の発達段階に関する理論です。
コールバーグは人間の道徳性発達は以下の3つのレベル、6つの段階に分けられると考えました。
レベル1: 前慣習的レベル(幼児期)
段階1: 罰と服従の段階
罰を避けるため、あるいは権威者に従うためにルールを守る。
「万引きをしたら警察に捕まるからいけない」

段階2: 見返り交換の段階
自分の利益になることをする。
「友達に優しくしたら、自分も優しくしてもらえる」

レベル2: 慣習的レベル(学童期~青年期)

段階3: 良い子であろうとする段階
周囲の期待に応え、良い子、良い人であろうとする。
「友達を裏切ったら、みんなから嫌われる」

段階4: 法と秩序の段階
社会のルールや法律を守ることを重視する。
「万引きは法律違反だからいけない」

レベル3: 後慣習的レベル(成人期)

段階5: 社会契約の段階
社会全体の幸福や人権を考慮し、ルールを批判的に検討する。
「法律は、社会の秩序を守るために必要だが、時には不公平な場合もある」

段階6:  普遍的な倫理原則の段階
正義、公平、人権など、普遍的な倫理原則に基づいて行動する。
「たとえ法律に反していても、人命を救うことは正しい」

I君は「レベル2:慣習的レベル」の「段階3:良い子であろうとする段階」から「段階4:法と秩序の段階」へと移行しつつあると考えられます。

先生との対話を通してI君は、単に「良い子」でいるだけでなく社会のルールや法律を守ることも重要であることを理解していくでしょう。

エピローグ

I君は先生に相談した後、友達に万引きをやめるように説得しました。

友達は最初は反発しましたが、I君の真剣な思いに心を打たれ万引きをやめることを約束しました。

I君は勇気を出して行動することで、友達との友情を守り正しいことを貫くことができたのです。

まとめ

コールバーグの道徳性発達理論の道徳的な判断能力は、年齢や経験とともに発達していくことを示しています。

そしてより高いレベルの道徳性を身につけるためには、自分自身の価値観や信念を問い直し、社会との関わりの中で倫理的な思考を深めていくことが重要です。

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