最終列車
満たされない
心と裏腹に
こぼれる程の
ウイスキーを注ぐ
ロックに
乱反射する
カクテル光線
ここはどこだと
言わんばかりに
酔いは回る
空虚な人形が
あそこでたくさん
踊ってらぁ……
それでも
外に出れば
寂しさも凍える季節
吐く息は白く
ネオンの湯気に
消えていく
背丈分の世界を捕まえて
背丈分の言葉を紡ぐ
噓はすぐに
居場所をなくして
身体をちぎりたがる
苦悩した表情に
誰もが素通りする
交差点を
いくつも渡り
騒がしいフロアから
離れるほどに
仮初の仮面は
剝がれ落ちて
誰でもないまま
最終列車に
揺られている