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偏愛は宝なり

column vol.1321

11月に入ってから「福袋」についてのニュースをよく見かけるようになりました。

気がつけば、2024年残り2ヵ月を切っています…

来年の福袋は、どんな商品が主役になるのでしょうか?

個人的に注目しているのが、大丸東京店「偏愛福袋」です。

〈テレ東BIZ / 2024年10月23日〉

例えば、お笑いコンビ「ヨネダ2000と餅つきができる福袋」や、風水好きの方のための「風水アメジストツイーンドーム福袋」、さらに「ネイチャーアクアリウムオーダーメイド福袋」など、仮に狭くても “強い愛” を持っているお客さんにささる商品が揃っています。

そして今、この「偏愛」がキーワードになっている。

これこそ、AIにはない人間だからこそ生み出せる商品だからです。


「みんなの75点より誰かの120点」

その偏愛商品を取り揃える代表的な小売店が、ドン・キホーテでしょう。


〈FNNプライムオンライン / 2024年11月5日〉

同店がプロデュースする “偏愛めし” は、「みんなの75点より誰かの120点」というスローガンのもと、良い意味で偏った惣菜やお弁当が並んでいます。

例えば、天津飯埋もれるほど “あん” をかけた「あんだく溺れ天津飯」

中華丼見えないほど、キクラゲを上に敷き詰めた「きくらげ中華丼」

厚切りロース肉が何と15枚ものった、背徳感たっぷりの「欲望のままに作った厚切りロースのピラミッド丼」などなど、かなり尖ったメニューが打ち出されているのです。

偏愛めし商品開発責任者の犬塚康太さんは、

「色んなところで物価の高騰だったりそういうところもあって好きなものにはとことんお金だとか自分の趣味のところに時間かけるんですけども、そういった方々へ向けて刺さる商品を作ることが我々の勝機だと思って販売させていただいております」

と、開発にかける想いを語っており、数々の商品をヒット

1年間で約400万個も販売し、今月からさらに進化し、偏愛ぶりも “2倍” になっているそうです。

ほかにも、【空想の力】でも紹介しましたが、

“おかずは1つだけ弁当” として「ウインナー弁当」、「ミートボール弁当」が人気になりました。

以前では考えられなかった企画ですが、お客さんの偏愛心をくすぐることができれば、SNSで拡散が期待でき、大きな宣伝効果を生み出すこともできる。

何でもコモディティ化しやすい時代だからこそ、こうした思い切った偏愛商品スポットライトが当たるのでしょう。

「偏愛」の力で地域おこし

また、偏愛の力は地域おこしにまで及んでいます。

例えば、愛知県蒲郡市では、深海魚主役全国からファンを集めています

〈CBC news / 2024年11月4日〉

その象徴となるのが、「がまごおり深海魚まつり」

今年は11月2日3日2日間で開催されました。

毎年多くの方々が集まり、去年は1万人ほどの集客があったとのこと。

お目当ては、獲れたての深海魚を始め、深海魚のラーメン深海魚のクッキーなどなど、深海魚グルメ

また、希少とされるオオコシオリエビがたっぷり入った原価8万円贅沢な深海魚鍋無料で振る舞われるなど、サービス精神満載なところがウケています。

竹島水族館小林龍二館長

蒲郡っていう場所は、すごく深海の漁があって、いろんなおいしい深海魚が水揚げされる。それをもっともっと知ってもらったり地元の子供たちにも知ってもらって地元の誇りにしてもらいたい」

と、その胸の内を語っていらっしゃいます。

参加者の方々は、セリなどを通して漁師さんと触れ合うこともでき、そうした貴重な体験が、よりファン心をくすぐるのでしょう。

こうしたムーブメントがつくれるのも、やはりSNSがあるからこそ、全国の方々がターゲットになる。

SNS時代は、偏愛を発揮しやすい時代でもあることが、地域イベントからも感じますね。

“エモ”を刺激するデザイン

最後は、マーケターとして“ウマい!”と思わず唸ってしまったキャンペーン施策をお届けして、話を締め括りたいと思います。

私が注目したのは、日清食品・カップヌードル「カプヌのエモい出パッケージ」です。

〈ITmediaビジネスONLINE / 2024年9月14日〉

こちらは、1971年に発売した世界初のカップ麺「カップヌードル」ですが、発売から50年以上にわたって愛され続けているにはワケがある。

そこで同社、

「お客さまが『カップヌードル』を食べて『ウマい!』と感じられた瞬間には、さまざまな思い出が詰まっているのではないか」

と考え、全国の10代から80代を対象に「カップヌードルの思い出」の調査を実施。

すると、家族友人とのエピソードや、アウトドア学校でのエピソードなど、カップヌードルにまつわる "エモい" 思い出 (エモい出)が多数寄せられました。

その数、1,560件

そこで、

「大学の部屋で誰かが食べると食べたい気持ちも匂いで伝染」
「プールで1日中遊んだあと 少し冷えた身体で食べる温かい一杯は格別でした」

など、 "エモい出" 溢れるエピソードを100種類選出し、カップヌードルのパッケージデザインに。

9月16日から限定発売したのです。

日清食品 / 100種類のエモい出

私の一番の思い出は、小学校の時、横浜球場で友達と食べた、ちょっと硬めの「カレー味」が人生最高に “ウマい!” と感じた瞬間でした😊

こうした顧客参加型の企画を通して、偏愛を育んでいく

まさに  “ウマい!” 企画ですね。

このように、偏愛ということがキーワードになっている時代。

これまでは、誰もからも広く愛される商品が求められましたが、今後は景色が一変しそうです。

もしも、ご自身に偏愛が潜んでいるのであれば、今こそそれを発揮する時かもしれません。

そして、ない方は…

それは次回の記事で、またお話ししたいと思います〜

ぜひ、また明日もご覧いただければ幸いです。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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