「パートタイム起業」のススメ
column vol.857
最近、「パートタイム起業」という言葉をよく耳にします。
起業と言えば、退路を断って挑戦するイメージですが、パートタイム起業は会社勤めしながら、ゆるやかに働くイメージ。
まずはパートタイム起業の定義から触れさせていただきます。
会社勤めしながらゆるやかに起業
起業家とパートタイム起業家の違いは、事業に充てる時間の長さです。
日本政策金融公庫の基準では、週あたり事業に充てる時間が35時間以上であれば起業家、35時間未満であればパートタイム起業家としています。
〈ファイナンシャルフィールド / 2022年12月2日〉
ちなみに昨年、日本政策金融公庫が6万人以上を対象に「2021年度起業と起業意識に関するアンケート調査」を実施した際、特にパートタイム起業を行うメリットは以下の2点のようです。
やはり、“会社勤めしながら”というのは安定収入が見込まれ、挑戦しやすくなる。
世は兼業・副業時代。
そんな感覚で気軽に始める人も多いはずです。
実際にパートタイム起業家の49.1%が「会社に勤務しながら起業した」との結果も。
また、「起業後に会社に勤務した」人も含めれば、64.6%にもなり、パートタイム起業家の半分以上の人はどこかに勤務しながら事業をしているということになります。
また、私の知人にシングルマザーがいるのですが、育児をしながら短く質良く仕事をすることを目指して、パートタイム起業を選びました。
私も今のところ起業予定はないですが、始めるならこの選択肢を選ぶような気がしています。
時短で稼げる!「SNS運用代行業」
では、どんな仕事がオススメなのでしょうか?
SNSクリエイターに最適なのが「SNS運用代行業」でしょう。
〈bizSPA!フレッシュ / 2022年12月4日〉
SNSが苦手な中小企業に代わり、アカウント作成から製品の情報発信まで行います。
SNS運用代行で稼ぐ島田舞さんによると、「SNSでの宣伝は、フォロワー数の多いインフルエンサーでなくてもできる時代です」と語っていらっしゃいます。
気になる稼ぎについては
とのこと。
しかも、最低でも投稿は週2回、作業時間は1回30分ほど。
つまり、月4時間稼働で7万円なのです!
ちなみに、作業は画像を無料アプリで加工したり、投稿する文章を考える程度。
SNSクリエイターにはタイムパフォーマンスの良い仕事になるのではないでしょうか。
まずは副業マッチングアプリの「ココナラ」などでクライアントを獲得するのがオススメです。
(もちろん、最初から島田さんのようにはいかないと思いますが…)
noterさんの中には向いている方は多いと思いますし、既にチャレンジしている方も多いでしょう。
個人は稼げば稼ぐほど「損」な気分
会社で働きながら個人の仕事をするのであれば、「起業(法人)」と言わず「副業(個人)」でも良いと思う方もいらっしゃると思いますが、ファイナンシャル・プランナーとして、5000名以上のクライアントに運用指南を行ってきた杉原隆さんは「法人設立」のメリットを説いていらっしゃっています。
〈マイナビニュース / 2022年10月5日〉
基本的には、法人をつくることは非常に大変なイメージがあります。
などなど、現実として手間がかかることは周知の通りです。
そして、何より赤字であっても年7万円の住民税均等割は支払わなければなりません。
しかし、それでも杉原さんが法人設立を訴えている一番の理由は、日本の所得税が累進課税であることにあります。
つまり、収入が増えるほど税率は上がっていきます。
とうことで、皆さんは節税するわけですが、「社会保険料」はあまり下がっていません。
例えば、年収1000万円の方の所得税+住民税の合計は約120万円に対して、社会保険料は約149万円です。
さらに、年収1200万円になると所得税+住民税の合計がやっと社会保険料を上回り、税の合計が約187万円、社会保険料が169万円になります。
ちなみに、1200万円を超える給与所得を得ている方は日本のビジネスパーソン全体で10%程度。
ということは、大部分の方は、社会保険料の負担が大きいということです。
それがバカバカしくなり、年収を下げ、税金も社会保険料も下げる方はたくさんいらっしゃるのです。
法人設立の大きなメリット
一方、法人を設立すると大きなメリットがあります。
まず、個人と法人の収入に対する税率の差です。
個人の最高税率は55%、法人税の実効税率は高くても34%と、個人で収入をいくら上げても、可処分所得は増えていきません。
また、法人として企業と「業務委託契約」すると、経費が認められます。
中でも「出張旅費・日当」は大きなメリットで、規定と精算用紙を作れば、出張の都度の領収書は不要となります。
また、支払う側の法人は全額経費計上、受け取る側の社長(貴方)は全額非課税です。
規定に定める宿泊費は極端に高額でなく、社会通念上許される範囲であれば問題ないのです。
宿泊費も日当の額も自分で決めて、自分で受取る。
しかも、非課税=所得にならないので、所得税も住民税も社会保険料も不要。
法人は経費で社長に払うわけですから、法人の利益は圧縮され、法人税額も小さくなります。
さらにさらに、先ほどの赤字決算についても、「欠損金の繰越控除」という制度があり、翌年度以降の黒字と相殺できます。
それも、繰り越せる期間は9年間です。
他にもさまざまなメリットが上記マイナビニュースの記事に書いておりますので、詳しく知りたい方はぜひぜひ読んでくださいませ。
ということで、「パートタイム起業」がなぜ今注目を集めているのか、理解していただけたのではないでしょうか?
終身雇用制度が崩壊し、会社勤めしているといえども、安定は約束されていません。
会社に頼り切りにできない時代において、自分の城(法人設立)を持つことは非常に大切な観点であると言えるでしょう。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。